2018年度工学院大学 先進工学部環境化学科

ベクトル解析(Vector Analysis)[1B21]

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2単位
鈴木 敏行 非常勤講師  
最終更新日 : 2018/12/14

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
ベクトル解析は電磁気学や流体力学を考えるにあたっては必要不可欠な内容である.これは多変数の微分積分の応用でもあり,高校数学で学習してきたベクトルの幾何の応用でもある.
現実問題に広く応用されるベクトル解析の基本事項を扱うが,計算だけでは意味がつかみにくいので,図形的な考察をも含めてしっかり理解する.

<受講にあたっての前提条件>
微分・積分・偏微分・重積分・線形代数1・線形代数2
ベクトル解析はこれらの科目に続く科目と考えられるため,上記科目の内容を理解していること.

また,ベクトルについての内容を扱うので、高校数学の「平面ベクトル」「空間ベクトル」はしっかり復習しておくこと.

<具体的な到達目標>
(1) ベクトル場とスカラー場の違いに注意して,勾配・発散・回転などを計算し,幾何的な意味が説明できる.
(2) 線積分や面積分の定義を理解し,定積分や重積分に直して計算できる.
(3) グリーンの定理で平面における線積分と領域上の重積分の関係を理解して応用できる.
(4) ガウスの発散定理で空間における曲面の面積分と領域上の体積分の関係を理解して応用できる.
(5) ストークスの定理で空間における曲面の面積分と境界の線積分の関係を理解して応用できる.

<授業計画及び準備学習>
全体を通して,各授業前に前回までの復習を必ず行うこと.
[第01回] ベクトルの内積と外積
ベクトルの基本演算である内積と外積(3次元・空間ベクトルのみ)の幾何的な定義と成分の公式を解説する.時間があれば外積の応用として,空間内の平面の方程式なども紹介したい.
[準備学習] 高校数学のベクトルの内容を復習しておく.
[第02回] 曲線
まず,平面上および空間上の曲線は1つの媒介変数によって表示されることを理解し,そのうえで曲線の長さを積分で求めたり,接線ベクトルや法線ベクトルの成分表示を微分計算で求める.
[準備学習] 微分および積分の各種公式をおさらいしておく.
[第03回] スカラー場とベクトル場
まず,スカラーとベクトルの違いを認識する.そのうえで平面や空間の点にベクトルを対応させたベクトル場を紹介する.それに対して平面や空間上の関数は点に対してスカラーが対応するのでスカラー場ともいう.スカラー場やベクトル場の例を紹介し,演算規則を解説する.
[準備学習] 内積や外積,微分および積分の各種公式をおさらいしておく.
[第04回] 線積分
ベクトル解析で重要である線積分を定義する.また,その線積分をどのように計算するか紹介し,実際に計算演習する.
[準備学習] 定積分の各種公式をおさらいしておく.
[第05回] 平面における積分公式(グリーンの公式)
平面上の線積分の計算で重要な積分公式であるグリーンの定理を紹介する(線積分を2重積分に変形する).また,実際に計算練習を行い理解する.
[準備学習] 定積分および2重積分の各種公式(特に,累次積分によって計算する方法)をおさらいしておく.
[第06回] 曲面
空間における曲面は2つの媒介変数で表示されることを理解する.そのうえで,曲面上の点に対する接平面の方程式や法線ベクトルを求める公式を解説する.
[準備学習] 偏微分および2重積分の各種公式をおさらいしておく.
[第07回] 曲面積
曲面積の計算公式を紹介する.また,それを2重積分を用いて実際に計算演習する.
[準備学習] 偏微分および2重積分の各種公式をおさらいしておく.
[第08回] 面積分
線積分と同様にベクトル解析で重要である面積分を定義する.また,その面積分をどのように計算するか紹介し,実際に計算演習する.
[準備学習] 2重積分の各種公式(変数変換の公式を含む)をおさらいしておく.
[第09回] 回転と発散
空間におけるベクトル場に対して決まる演算である「回転」と「発散」を定義する.その図形的意味を理解して,実際に計算演習を行う.
[準備学習] 偏微分・内積・外積の各種公式をおさらいしておく.
[第10回] ストークスの定理
空間上の線積分と面積分の間にある重要な積分公式であるストークスの定理を紹介する(線積分を面積分に変形する).図形的理解をし,実際に計算練習を行う.
[準備学習] 線積分・面積分・ベクトル場の回転の各種公式をおさらいしておく.
[第11回] 体積分
変数が3つある関数の積分を3重積分というが,ベクトル解析では線積分・面積分に準じて体積分ともいう.2重積分と同様に累次積分で体積分を計算する.
[準備学習] 2重積分の各種公式(特に,累次積分によって計算する方法)をおさらいしておく.
[第12回] 3次元の極座標とヤコビアン
3次元の極座標の定義と極座標で体積分するために必要なヤコビアンを解説し,極座標を使って体積分を計算する.
[準備学習] 2重積分の各種公式(特に,極座標変換によって計算する方法)をおさらいしておく.
[第13回] ガウスの発散定理
空間上の面積分と体積分の間にある重要な積分公式であるガウスの発散定理を紹介する(面積分を体積分に変形する).図形的理解をし,実際に計算練習を行う.
[準備学習] 面積分・体積分・ベクトル場の発散の各種公式をおさらいしておく.
[第14回] 学習内容の振り返り
学習成果の確認 (授業内試験)
[準備学習] 今まで本科目で学習した授業ノート・プリント類をすべて読み返し,理解が不足している単元を重点的に復習し,演習問題を解いておくこと.

予定は以上のとおりであるが,理解度に応じて内容が前後する場合がある.

講義の内容を理解してもらうために,ほぼ毎回レポート問題を課す(計12回予定).採点して返却し,成績にも反映するので,取り組むようにしてください.講義プリントにも問題を載せるので,積極的に解いてください.

<成績評価方法>
(1) 授業内試験の点数(7割)
(2) レポート課題の解答状況(3割)
これで100点満点の素点を計算する.
2015(平成27)年度入学者については,素点に基づきGradeを算出し,Grade D以上を合格とする.
2014(平成26)年度以前入学者については,素点に基づき60点以上を合格とする.

<教科書>
指定教科書なし.プリントを配布する.配布するプリントを整理できるようにファイルを各自用意しておくこと.
なお,KUPORT(キューポート)を活用するので,使えるようにしておくこと.

<参考書>
講義は以下のテキストを参考に組み立てる予定である.
・山内正敏 著「詳説演習 ベクトル解析」培風館

また,「ベクトル解析」と書かれている本は順番は違えど講義と同様な内容を扱っている.図書館や本屋で自分に合った1冊を見つけ用意しておくとよい.
・H.P.スウ 著「ベクトル解析」森北出版
・小林亮・高橋大輔 著「ベクトル解析入門」東京大学出版会

次は微分積分に関する授業のテキストとして用いたものである.
・長谷川研二 他著「理工系のための微分積分」培風館

<オフィスアワー>
授業の前後で受け付ける(12階講師室).念のためにメールアドレスを載せておく. fu41118@ns.kogakuin.ac.jp
授業時以外で質問や何らかの問題が発生した際にはメールで連絡すること.

<学生へのメッセージ>
授業や課題レポートを含め,日頃の学習への取り組み(特に復習・解きなおし)は大事である.学習支援センターなども積極的に活用すること.

<参考ホームページアドレス>
http://t21suzuki.html.xdomain.jp/lecture/


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