2018年度工学院大学 先進工学部環境化学科
安全化学(Safety in the Chemical Laboratory)[3A20]
1単位 川井 忠智 准教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <学位授与の方針>
◎ | 1. 基礎知識の習得 | ○ | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 最近の科学技術の急速な進歩や社会の大きな変化を考えるとき、科学・技術が安全に利用される上で重要となるのは、科学者・技術者の倫理とともに、安全の確保のための知識と技術が不可欠である。我々の生活や社会の発展には、安全が担保されていることが前提であるが、この基本的要素である安全に慣れてしまい、危険意識の低下と科学技術の高度化・専門化・複雑化したなかでの科学技術者の知識と経験の不足から、重大な事故へと至る事例が近年多発している。
本授業においては、事故事例を交え、特に化学物質の危険性や取扱い、安全環境の整備などについて理解し安全に対する意識を身につけることを目標とする。
- <受講にあたっての前提条件>
- 「科学と倫理」を受講していることが望ましい。
- <具体的な到達目標>
- 化学物質の特性や危険性を調べることが出来るようになる。
基本的な化学物質の特性や危険性、取扱い上の注意を理解できる。 事故事例から化学物質に関係する具体的な危険性の例を知る。 科学・技術に関わる職業に伴う安全に対する責任を理解する。 化学実験や化学物質を扱う作業で安全に遂行できる。
- <授業計画及び準備学習>
- 1. 総論:安全化学の基礎
化学物質の危険性、化学反応の危険性、化学物質への暴露と健康影響、化学物質の環境影響を理解する。 【準備学習】安全データシート(SDS)とはなにか、化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)の絵表示の意味を、調べておくこと。 「安全の手引き」を読んでおくこと
2. 安全化学と法令 消防法、毒物及び劇物取締法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)など、様々な法律が化学物質の保管・使用・廃棄の各段階で規制している理由を理解する。 【準備学習】「消防法」「毒物及び劇物取締法」において、化学物質の使用・保管等を規制している理由を調べておくこと。
3. 化学プロセスの安全(温度、圧力)、貯蔵、廃棄 化学プロセスにおける安全について、理解する。 【準備学習】 1984年12月2日、インド ボパール にて起こった メチルイソシアナートMethyl isocyanate (MIC)漏洩事故、および、アンモニアの製造方法を調べておくこと。
4. 事例研究(1) 日本で起こった大規模事故事例から安全を考える。 【準備学習】以下の事例について、概要を調べておくこと。 三菱マテリアル 四日市工場高純度多結晶シリコン製造施設 爆発火災事故 2014年1月9日 (参考https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2014/pdf/14-0612a.pdf)、 日本触媒 姫路製造所アクリル酸製造施設 爆発火災事故 2012年9月29日 (参考http://www.shokubai.co.jp/ja/news/file.cgi?file=file1_0111.pdf)、 三井化学 岩国大竹工場爆発火災事故 2012年4月22日 (参考http://jp.mitsuichem.com/release/2013/pdf/130123_02.pdf) 東ソー 南陽事業所第二塩化ビニルモノマー製造施設 爆発火災事故 2011年11月13日 (参考http://www.tosoh.co.jp/news/assets/20120613)
5. 化学実験の安全 安全に実験を行うためには、準備と整理、整頓、清潔、清掃、が不可欠であることを理解する。 【準備学習】「安全の手引き」を熟読しておくこと。
6. 事例研究(2) 実験室レベルで起こった事故事例から安全を考える。
7. 学習のふりかえり
- <成績評価方法>
- すべて出席を前提とし、小テスト、レポート、筆記試験を総合し、Grade D以上の者に単位を認める。Grade Dの目安は、100点満点において60点である。なおレポートが未提出の場合には筆記試験を受けていてもGrade Fとする。
- <教科書>
- 工学院大学(編)「安全の手引き」
- <参考書>
- 研究実験施設・環境安全教育研究会(編)「研究室に所属したらすぐ読む 安全化学実験ガイド (KS化学専門書)」講談社 ISBN978-4-0615-4366-9
- <オフィスアワー>
- 水曜日2時限目 八王子5-203
- <学生へのメッセージ>
- 「化学」はプラスの側面だけではなく、マイナスの側面ももっています。このことを理解して、応用化学の専門家になるための「安全」についてしっかり学びましょう。
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