2018年度工学院大学 先進工学部応用化学科
表面工学(Surface Chemical Engineering)[3B25]
2単位 飯田 肇 講師 [ 教員業績 JP EN ]
- <学位授与の方針>
◎ | 1. 基礎知識の習得 | | 2. 専門分野知識の習得 | | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 表面の構造や物理・化学的性質は多様であり、物質や材料の特殊な機能が"表面”で決定されていることも多く、こうした表面機能材料は、今日の私たちの暮らしを支える最先端のナノテクノロジーの主要な部分を占めている。そこで,まず表面とは何かを理解するために,表面の構造、性質、化学的反応性、基本的表面処理、および表面加工について学ぶ。つづいて、表面が直接関与する応用技術について具体的な事例を知ることによって、幅広い分野で用いられている表面機能材料の果たす重要な役割について学ぶ。
- <受講にあたっての前提条件>
- 物理化学や無機化学の基礎知識を必要とする。
- <具体的な到達目標>
- ・固体表面の構造,性質,化学的反応性などについて、基礎を理解し、固体内部との違いを説明できる。
・幅広い分野で用いられている表面が関係する応用技術の事例を挙げ、その技術について表面の性質と関連付けて説明できる。
- <授業計画及び準備学習>
- 【授業計画】
1. はじめに−表面工学とはなにか−先端技術を支える基礎技術 固体表面の特異的な性質が関係する身の回りの現象や私たちの生活を支える先端技術について、幅広い事例をいくつか取り挙げ、概説する。それを通じて、表面工学を学ぶ意義を考える。 2. 表面とはなにか−固体表面と内部(バルク)の違い 表面・界面と内部(バルク)の概念・定義、表面工学が取り扱うスケールについて学んだうえで、表面ナノ構造に起因する表面の特異的な性質がどのように機能材料として活用されているかを学ぶ。 3. 固体表面の構造・特性および反応性 固体(結晶)表面では、配位不飽和結合があることで過剰なエネルギーが生じていること、そのエネルギーを緩和するために種々の変化が起こり、固体表面の特異的な性質の発現につながっていることを学ぶ。 4. 吸着 固体表面における物理吸着と化学吸着の違いや吸着の理論について学んだうえで、吸着現象が応用されている技術について学ぶ。 5. 固体表面の構造・性質および表面吸着種の解析 固体表面の構造解析および表面上に吸着した物質の同定のための分光学的測定の原理と応用について学ぶ。 6. 固体表面における液体の接触 液体の表面エネルギー、表面張力、親水性・疎水性、濡れと接触角など、固体と液体の接触表面に関係する性質とその応用について学ぶ。 7. 接着と粘着 接着・粘着の原理・評価方法を学んだうえで、多分野で活用されている接着・粘着技術について学ぶ。 8. 表面処理・加工 腐食,防食,塗装,摩擦,磨耗と潤滑,表面改質のための表面処理・加工技術とその応用について学ぶ。 9.超微細加工 表面研磨,蒸着,フォトレジスト,プラズマ加工技術やLSI,ナノデバイス設計について学ぶ。 10. 薄膜 メッキやLB膜や自己組織化膜など様々な薄膜の作製方法とその応用について学ぶ。 11. 超微粒子・ナノ粒子 超微粒子・ナノ粒子特有の構造と性質について学んだうえで、それらの作製方法や応用について学ぶ。 12. 生体膜の表面 細胞膜などの生体膜とその表面で起こる現象やコスメトロジーについて学ぶ。 13. 表面の化学機能 固体表面の化学機能を利用して、物質や化学エネルギー変換・環境浄化などに用いられている固体触媒について学ぶ。 14. 学習内容の振り返り 【準備学習】 ・ キューポートで事前に配布された講義資料を読んで予習を行うこと。 ・ 各回の小レポートのテーマについても配布資料に記載されているので、事前調査をしておくこと。。
- <成績評価方法>
- 各回の授業での小レポート(30%)、定期試験期間に行われる期末試験(70%)の内容を、到達目標に照らして、6段階のGrade(A+, A, B, C, D, F)で評価し、D以上の者に単位を認める。
- <教科書>
- 「指定教科書なし」
キューポートで、配信した講義資料を使用します。
- <参考書>
- 「指定参考書なし」
講義中に随時紹介します。
- <オフィスアワー>
- 水曜日 11:00~12:00 A-1972室
- <学生へのメッセージ>
- 前期科目の「電気化学」や後期科目の「触媒設計」も表面現象が密接に関係しています。表面現象の不可思議さと面白さを学びましょう。
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