2018年度工学院大学 情報学部

生物学基礎論(Introduction to Biology)[5N17]

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2単位
鈴木 基文 非常勤講師  
最終更新日 : 2018/12/14

<授業のねらい>
「いきもの」すなわち生物(生命)は細胞からなっているが、その細胞は物質(分子)からなっていることを知る。生命には必然性(合目的的なもの)と偶然性(確率論的なもの)の二面性があることを理解する。また、生命には普遍性と多様性の両面があることを理解する。遺伝子DNAとその遺伝子を包む細胞には多様性があることを知り、その細胞からなる生命の世界には起源があり進化があることを理解する。生命には自己複製能、修復能、変異能、分裂・増殖能、代謝能、刺激応答能、調節能などがあることを理解する。生命倫理や環境保全の考え方を理解する。

<受講にあたっての前提条件>
生物学に関心をもっていること

<具体的な到達目標>
到達目標は以下の通りである。(1)生命には歴史があり多様性があること、生命の分子は多様な化学構造をもつことを認識し、その生物学的意義を理解できる。(2)細胞の生存・分裂・増殖・分化を細胞周期、アポトーシス(細胞死)、がん化と関連させて、細胞レベルおよび分子レベルで理解する。(3)個体の発生や再生について細胞および分子レベルで理解できる。(4)免疫系、内分泌系、脳神経系が関与する生体の調節の仕組みを理解できる。(5)生物と環境との相互関係に基づく生態、分類、進化について理解できる。ヒトの由来について理解できる。(6)生命科学における生命哲学、生命倫理および環境倫理の重要性について理解できる。

<授業計画及び準備学習>
1. 「概要」 本授業で学ぶ生物学の諸分野の歴史、分子生物学の誕生の意義および現在の生命科学における生物学の位置づけについて学ぶ。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
2. 「生命の歴史」 生命の起源、化学進化から細胞進化へ、そして生命の誕生および生命の多様性について学ぶ。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
3. 「生命と地球」 太陽系における生命と地球の共進化について学ぶ。大絶滅の意義について考察する。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
4. 「分子と細胞」 DNA、RNA、タンパク質の姿と働き、および遺伝情報の流れ(セントラルドグマ)について学ぶ。脂質、膜タンパク、糖鎖の姿と働き、および細胞膜とオルガネラについて学ぶ。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
5. 「生命と遺伝子複製」 遺伝子DNAの複製、細胞分裂と細胞周期の仕組み、およびガン化について学ぶ。準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
6. 「生命と遺伝子発現」 遺伝子の転写、翻訳、突然変異および修復機構について学ぶ。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
7. 「生命と遺伝子工学」 遺伝子組み換え、遺伝子発現の調節機構について学ぶ。準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
8. 「発生と再生」 カエルの個体発生の基本を学ぶ。細胞分化およびアポトーシスの意義について学ぶ。再生医療に向けたES細胞やiPS細胞の基礎を学ぶ。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
9. 「免疫系」 免疫系の自己—非自己の区別と自己免疫疾患、抗体タンパクの構造と機能について学ぶ。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
10. 「内分泌系と脳神経系」 この二つの系が免疫系と密接な関係があることを学ぶ。内分泌ホルモンの働き、神経細胞の伝導と伝達の仕組みについて学ぶ。脳死、臓器移植および生命倫理について学ぶ。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
11. 「分類と進化」 分類学の基本要素である分類体系、命名、同定について学ぶ。進化学における生命の類縁関係や系統について学ぶ。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
12. 「生態」 生態学の基礎となる生物と環境との関係、炭素循環と気候変動、バイオームについて学ぶ。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
13. 「保全生物および生命哲学」 環境保全、生物多様性条約、生命倫理について学ぶ。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
14. 「学習を振り返る」 生物学と工学との関係について考察する

<成績評価方法>
第7回までの授業の理解度をみるための中間テスト(1回)(自分自身で参考書等を参照して調べたり、読んだりして解答するレポート形式で、問題用紙配布後、指定した日に答案を提出する)および定期試験の結果を総合的(原則として中間テスト3:定期試験7の割合)に評価し、Grade D以上の者に単位を認める。

<教科書>
指定教科書なし

<参考書>
「エッセンシャルキャンベル生物学」池内昌彦、伊藤元己、箸本春樹 監訳 (丸善出版)
「生命科学入門」 丸山工作、丸山 敬 著 (東京教学社)
「ニューステージ 新生物図表」 浜島書店編集部 (浜島書店)
他の参考書は授業にて紹介します。

<オフィスアワー>
授業終了後、教室にて質問を受けます。

<学生へのメッセージ>
プリントを中心に授業を行います。授業で、生物学に関する時事ニュース、有名な科学者の伝記、科学の啓蒙書などを紹介し、生物学に興味をいだくきっかけをつくりたいと思っています。自分で資料を調べる努力が大切であると思います。原則として毎回、授業のテーマに関する基本用語の理解度テストを行います。基本用語については、定期試験で再確認いたしますので、復習しておいてください。


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