2018年度工学院大学 情報学部システム数理学科

システム監査・テスト(k)[5L10]

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2単位
三木 良雄 教授  
最終更新日 : 2018/12/14

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
情報システムならびに情報コンテンツは単に設計するだけでは情報社会を構築するに足らない。設計後にもテスト(検証)、評価が必要であり、問題解決への適用においても、データ分析手法とシステム全体の改善に向けた評価が重要である。この授業では実務経験の少ない学生でも理解できるように、
実際の課題解決に資する上記の力を養う。
具体的にはシステムエンジニアの主要業務であるソフトウェアプログラムのテスト(デバッグ)とシステム全体のテスト、監査に関わる知識と技術を養う。

<受講にあたっての前提条件>
システム構築論を受講していることが望ましいが前提とはしない。

<具体的な到達目標>
・情報システムならびに情報コンテンツ設計における運用・保守の基本技法を習得する
・ソフトウェア開発におけるテスト、デバッグ、評価、改善に関する手法を習得する
・システム品質の向上を通して、問題解決に向けたデータの収集、整理、分析法を習得する

<授業計画及び準備学習>
第1回 テスト、検証の基礎
情報の正しい活用と表現のために設計文書、テスト計画書の作成方法や、エラー、故障、インシデントなど詳細の問題の種類や発生パターンについて学ぶ。また、それらの不備による社会的な問題にも目を向け、社会と情報との関連について理解する。
第2回 欠陥や故障の発生原因
完璧な設計は存在し得ないことを前提に、設計ミスや欠陥が発生する原因を心理面も含めて整理し、具体的に対策として実現可能は方法と構造設計(モジュールの独立性)の重要性を振り返る。
第3回 ソフトウェア開発技法とサイクル
V字モデル、アジャイル開発などの開発モデルとライフサイクルモデルを整理し、品質やテスト容易性との関係を学ぶ
第4回 ソフトウェアライフサイクルとテスト
テストの種類として単体テスト、結合テスト、システムテスト、受け入れテストならびに、機能テスト、非機能テストなど各種テスト方法について学ぶ
第5回 静的技法
動的テストと静的テストの違いを踏まえてレビューの各種方法(非公式レビュー、ウォークスルー、テクニカルレビュー等)を学ぶ
第6回 レビュープロセスとツール
レビュー計画の作成方法として、キックオフ、レビューミーティング、フォローアップの方法と、静的解析、動的解析のツールを学ぶ
第7回 テスト開発プロセス
コンピュータと情報通信ネットワークの技術を網羅的に俯瞰し、テスト開発プロセスを作成する方法(仕様ベーステスト、構造ベーステスト)について学ぶ。
第8回 ブラックボックステスト
同値分割法、境界値分析、状態遷移テストについて詳細を学ぶ
第9回 ホワイトボックステスト
構造ベース、ホワイトボックステストとして、ステートメント、デシジョンなどのテストカバレッジについてプログラム構造との関係、テストの難易度などを学ぶ。加えて経験ベースのテスト方法についても触れる。
第10回  テストのマネージメント
テスト実施のための組織論と立場毎の役割について学ぶ。また、テスト計画を立案するための見積もり方法をソフトウェア開発見積もりと合わせて学ぶ
第11回 テストならびにプロジェクトの管理
情報技術の進展と情報モラルの観点をテストの進捗ならびにプロジェクト全体の管理手法を通して学ぶ。具体的にはテストのコントロール手法について学ぶ
第12回 システム監査の実施
具体的な企業システム(金融、流通、製造等)の機能や役割を整理した後に、その業務とシステムとの関係を前提としたシステム監査の文書や情報の収集、調査方法、と評価ならびに報告書のまとめ方について学ぶ。あわせて情報社会の安全のための関連法規についても触れる(個人情報保護法、不正アクセス禁止法等)
第13回 システム監査の報告
情報の管理と問題解決の観点から、指摘、勧告事項の整理とフォローアップ方法について学ぶと共に、COSOやITILなどのフレームワークを学ぶことで、内部統制やシステム運用も含めた全体知識の定着を図る。
第14回 全体の振り返りと発展
 総復習として,特に理解の足りていない単元と課題について解説する.

定期試験期間中にテストを行う

<成績評価方法>
授業中課題、宿題等を40%、期末テストを60%として数値化し、A+,A,B,C,D,FのGradeに分類した中でD以上を合格とする。

<教科書>
特になし

<参考書>
大西 建児、他「ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第3版」、翔泳社、2011
高橋直久、丸山勝久、「ソフトウェア工学」、森北出版、2014

<オフィスアワー>
授業後、教室またはA2376室にて。別の日時についてもメールにて連絡頂戴すれば調整します。

<学生へのメッセージ>
システム設計やシステムエンジニアリングに従事する予定の学生にとっては基本的な実践力となる科目であるため、強く受講を勧める


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