2018年度工学院大学 情報学部システム数理学科

クラウドコンピューティング(k)[4E21]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
三木 良雄 教授  
最終更新日 : 2018/12/14

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
情報化社会におけるネットワーク社会構成要素としてクラウドコンピューティング、webサービス・システムの基本構造と具体的な利用方法を学ぶと共に、それらを実現する情報の科学としてネットワーク、プロセッサ、ストレージ(DB)の基本技術とシステムアーキテクチャ設計ができるための基礎知識を学ぶ。

<受講にあたっての前提条件>
広くICTに関わる基礎的専門知識が必要である。しかし、前提とするのではなく、必要であれば受講中に復習して常に自身の専門知識をリフレッシュする考え方に立つことを求める。

<具体的な到達目標>
・情報通信ネットワークとコミュニケーションの実現形態としてクラウドの利用ができる力を養う
・ネットワーク社会のもたらす課題としてサイバー犯罪の技術背景を理解し、予防できる力を養う
・ネットワークの仕組み、情報処理の方法とサービスとして提供されるまでの技術内容を理解する

<授業計画及び準備学習>
第1回 情報通信ネットワークとコミュニケーション
情報と社会とのあり方、情報化が社会に及ぼす影響とコミュニケーションの発展を振り返り、ネットワーク社会、IT革命を牽引したインターネットの位置づけと情報サービス、クラウドコンピューティングとの関係、社会システム、企業システム与える影響を解説する
第2回 コンピュータと情報通信ネットワーク
情報の科学の基礎として、TCP/IPの基本を復習するとともに、IPアドレス、ポート、ブロードキャスト、マルチキャストを確実なものとし、ルーターやスイッチにより実現されるネットワーク構成法について学ぶ
第3回 TCP/IPの応用知識
情報の活用と表現を身に着けるため、MACアドレスとAPR、ドメイン名とルーティングなど動的なネットワーク構成を設計する技術を学ぶとともに、DHCPサーバやNATなどの仕組みも使いこなせる知識を学ぶ
第4回 仮想化技術
クラウドを実現するための、サーバ仮想化、ストレージ仮想化と自在なネットワーク構成を実現するためのネットワーク仮想化技術について学ぶ
第5回 情報サービスを支える技術
HTTP,SMTP,POP3,FTP,SSH,DNSなどのネットワークサービスとREST API, HTMLや文字コード画像、音声圧縮技術等の内容と使い方について学ぶ
第6回 情報技術の進展と情報モラルおよび情報セキュリティ
情報セキュリティの3大要素から各種サイバー犯罪の手法について学び、情報社会の課題と情報モラルの観点から、対策方法としてファイアウォールやDMZといったシステム構成やIDS,IPS,UTMなどの技術を学ぶ
第7回 クラウドの基本
NISTのクラウド定義などの基本を学んだ上で企業システムなど実務においてクラウドを導入するメリット、デメリットについて理解する力を養う
第8回 クラウドサービスを利用した問題解決
問題解決とコンピュータの活用法としてSaaS, IaaSの具体的なサービスを紹介するとともに、ビッグデータ分析として人工知能やHPCサービスを利用する知識を学ぶ
第9回 クラウドを実現する技術
情報の管理と問題解決を理解するために、仮想化に加えアプリケーションコンテナ、RDB対NoSQLなど先端技術に触れ、データセンターの仕組みや、そこにクラウドを構築するためのオープンクラウド基盤について学ぶ
第10回 クラウド導入とシステム開発方法
利用と開発、開発と運用の融合形態としてクラウドを前提としたDevOpsと企業システムをハイブリッドクラウドで実現するためのアプリケーション、事業者選定の方法論を学ぶ
第11回 機能別のクラウド利用方法
BCP, ERP,ゲーム、製造業、IoT、公共サービス、農業、教育、ビッグデータ解析など具体的な機能と活用方法について学ぶと共に未来の展開に向けた課題とその解決方法について洞察する力を養う
第12回 クラウドシステム設計
パブリッククラウド、プライベートクラウド両方の観点から、機能要件、非機能要件、セキュリティ要件の違いによる具体的なシステム構成方法を学ぶ
第13回 クラウドシステム開発
問題解決のモデル化とシミュレーションを実践するために、実際のクラウドサービス上に実務をイメージしたシステムを構築し、従来のオンプレミスシステムとの相違点を理解する
第14回 全体の振り返りと発展
 総復習として,特に理解の足りていない単元と課題について解説する.

定期試験期間中にテストを行う

<成績評価方法>
授業中課題等を20%、期末定期試験を80%として数値化し、A+,A,B,C,D,FのGradeに分類する。D以上を合格とする。

<教科書>
特になし

<参考書>
林雅之、「クラウドの基本」、SB Creative、2016
福永勇二、「ネットワークの基本」、SB Creative、2016

<オフィスアワー>
授業終了後教室またはA2376室にて。別の日時に関してはメール連絡を頂戴すれば調整します。

<学生へのメッセージ>
ICT産業全体がサービスへシフトし、企業内のITシステムも多くがクラウドをベースとした設計に移行してきています。今までのコンピュータシステムの概念をクラウドに置き換えた知識と技術は不可欠となっており、実践力を重要視する学生は本科目や応用情報システム(PBL)の受講を強く勧めます


ナンバリングはこちら
このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2018 Kogakuin University. All Rights Reserved.