2018年度工学院大学 情報学部情報デザイン学科
情報ネットワーク応用論(k)[1B14]
2単位 武本 充治 非常勤講師
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | | 3. 汎用的問題解決技能 | ○ | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 現在の情報社会を支えている情報通信ネットワークに関する技術について、基本的概念とその実装、および、その活用例を理解する。
講義は、 ・インターネットの概念の理解 ・プロトコルとレイヤの概念の理解 ・インターネットの基本的プロトコル例の理解 ・インターネット上での基本的サービス例の理解 ・インターネットの発展のための標準化と研究活動の理解 の5要素から構成する。
- <受講にあたっての前提条件>
- 既習科目または並行履修科目は特に必須ではないが、講義中に多くのネットワーク・コンピュータの活用事例を提示するため、パソコン・スマートホン等のコンピュータを通じて情報通信ネットワークを日常的に活用していることが極めて望ましい。
- <具体的な到達目標>
- 本講義の受講後には、今後、情報通信ネットワークを活用した新しいサービスが出現した場に、その解説記事中の用語が理解できるスキル、もしくは、調べることができるスキルを身につけることを目標とする。
・受講生が日常的に利用している、情報通信ネットワークを活用したサービスをレイヤ構造的に理解できる。
・情報通信ネットワークとしてインターネットにおけるネットワークレイヤとトランスポートレイヤの定義とネットワークサービスにおける役割について理解できる。
- <授業計画及び準備学習>
- 基本的に毎回の講義の中で、それまでの内容・前提知識についての復習演習・テストを実施する。
第1回:情報社会における情報通信ネットワークの役割 ・内容:本講義の目的と進め方(全13回の講義内容について、シラバスに準じて説明)、成績評価方法、参考図書、オフィスアワーについて説明する。また、アンケートないしは演習により、受講者のこれまでの情報社会と各種サービスへの意識を測る。 ・事前学習:情報社会に生きている人間として、自分の周囲にあるサービスがどのような技術で実現されているかを調査(・できなければ想像)してくること。
第2回:インターネットについて(インターネットの歴史・基本概念) ・内容:インターネットの歴史・基本概念を解説する。 ・予習:各受講生が「インターネット」から想像するキーワードをノート等に書き出してくること。 ・復習:インターネットの基本概念と現在のインターネットの構成について理解すること。
第3回:情報通信ネットワークで重要となる概念・用語(レイヤ・プロトコル等) ・内容:ネットワークで重要となる概念・用語(レイヤ・プロトコル等)を解説する。 ・予習:前回の講義を踏まえ、「インターネット」の概念を理解すること。 ・復習:「ネットワークは人が構築してきたもの」という考え方を反芻すること。
第4回:インターネットを構成しているプロトコルと対応する機器(下位レイヤ) ・内容:インターネットを構成しているプロトコルと対応する機器について解説する。 ・予習:日常的に使っているサービスにおいて、どのようにデータが流れているのかを調べておくこと(特にハードウェアについて)。 ・復習:第3回講義内容と合わせて、プロトコルとレイヤとハードウェアの例を理解すること。
第5回:インターネットを構成しているプロトコルと対応する機器(上位レイヤ) ・内容:第4回講義に引き続き、インターネットを構成しているプロトコルと対応する機器について解説する。 ・予習:日常的に使っているサービスにおいて、どのようにデータが流れているのかを調べておくこと(特にソフトウェア・サービスについて)。 ・復習:第3回、第4回講義内容と合わせて、プロトコルとレイヤを理解すること。特にネットワークレイヤまで理解すること。
第6回:トランスポートレイヤ(導入) ・内容:主にトランスポートレイヤに関する説明を行う。 ・予習:第3回、第4回、第5回までの用語を使った解説記事を少なくとも1つは読んで来て、理解できたこと、理解できなかったことを、ノート等にまとめてくること。 ・復習:TCP・UDPについて理解すること。
第7回:中間試験(インターネットの基本的な概念とインターネット上での通信動作) ・目的:第1回から第6回までの講義で、インターネットの基本的な概念とインターネット上での通信動作は理解できたはずなので、確認のための中間試験を行う。 ・準備学習:第1回から第6回までの講義を復習してくること。
第8回:中間試験の確認によるインターネットの基本的な概念とインターネット上での通信動作 ・内容:第2回から第6回までの講義を復習する。 ・準備学習:中間試験で解けなかった問題に関する内容を復習してくること。その時に、講義配布資料以外の資料(ネット上の解説記事等)を参照してくること。
第9回:ネットワークレイヤとトランスポートレイヤの連携による情報通信ネットワーク ・内容:主にネットワークレイヤとトランスポートレイヤに関する説明を統合的に行う。 ・予習:第3回、第4回、第5回、第6回講義の用語を使った解説記事を少なくとも3つは読んでくること。 ・復習:ネットワークレイヤとトランスポートレイヤについて、その関係・役割を理解すること。
第10回:メイルの送受信を実現しているプロトコル ・内容:メイルの送受信を実現する技術について解説する。 ・予習:メイルの送受信の時にパソコン・スマートホンに表示されるメッセージの意味を調べてくること。 ・復習:メイルに関するプロトコルを理解すること。
第11回:Webページの閲覧を実現しているプロトコル ・内容:「Webページ」の閲覧の実現に関する技術について解説する。 ・予習:「Webページ」が閲覧できるまでの流れを調べてくること。 ・復習:「Webページ」閲覧を実現するために必要になっている技術を理解すること。
第12回:ネットワークに関する標準化活動 ・内容:ネットワーク、特に、インターネットに関する標準化活動を解説する。 ・予習:「標準化」の意味を調べてくること。 ・復習:標準化活動の意義、種類、団体の種別について理解すること。
第13回:今後の情報通信ネットワークの研究と実用化 ・内容:IoT等のTVニュース・新聞でも出てくるキーワードを中心にビジネス領域に近いところで活用されるインターネット関連技術を解説する。 ・予習:IoT等が何を意味するのか調べてくること。 ・復習:現在の「インターネット上のサービス」でのビジネスについて理解すること。
期末試験:中間試験を行っているが情報通信ネットワークのレイヤ構成やプロトコルの理解を確認するため、全範囲について試験を行う。
- <成績評価方法>
- ・授業に出席することを成績評価の前提とする。講義中にアンケート、演習・テストを実施するが回答・解答用紙の不提出は欠席扱いにする。
・中間試験は第7回講義にて、期末試験は定期試験期間中に行う。再試験、追試験は原則行わない。中間試験・期末試験の受験においては、筆記用具以外の持込・使用は不可である。
・期末試験を50%、毎回の講義中に実施する演習・テスト(中間試験含む)を50%として、A+〜Fの6段階で評価を行い、D以上の者を合格とする。
・受講者の習得レベルは、既存・今後のサービスを理解できる技術レベルに達しているかどうかの観点で、各講義の段階(概念、基本技術、応用事例)毎に評価する。つまり、試験の終了後には、忘れてしまうようなレベルの習熟度では高い評価は得られない。
- <教科書>
- ・指定教科書なし(13回講義分をカバーする本が出版されていないため)。
・必要に応じて、資料を配布する。
- <参考書>
- ・インターネット白書編集委員会(編):インターネット白書(発行:インプレスR&D)
・竹下隆史、村山公保、荒井 透:マスタリングTCP/IP 入門編 第5版(発行:オーム社)
- <オフィスアワー>
- ・相談事等は、後期の期間の毎週月曜1限の講義終了後の教室で受け付ける。
・質問は講義時間中または講義終了後に受け付けるが、回答を他の受講者へ共有するためにも、講義時間中を推奨する。
・毎回の講義毎にkuport上に質問受付所を作成するので、講義中にできなかった質問等はそこで受け付ける。その質問への回答は原則講義の中で行う。
- <学生へのメッセージ>
- ねらいや目標にも記載していますが、日常使っているサービス(これまでの生活で「サービス」と認識していないかも知れませんが)は、様々な「技術」によって実現されています。そして、「技術」は人の手により創出されています。
また、新しいサービスも次々と生まれていますが、それを実現している「技術」については全く新しいものが突然出現するわけではありません。情報社会で、生きていく上でこれらのサービスは使い続けるので、最低限、どのように実現されているかを理解して頂きたいです。特に、大学の理工系学科で学習した経験のある者として、社会に出た後に役立つスキルを身につけていただくことを目標とした講義とします。
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