2018年度工学院大学 情報学部コンピュータ科学科

応用音響処理(Engineering Acoustics)[1P10]

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2単位
中島 弘史 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2018/12/14

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
本講義では,音のデジタル処理を中心に,その理論的な知識と実践的な応用力を身に着ける事を目的とする。具体的には,音響処理の基礎である,AD変換やDFT,Z変換などの理論を説明するとともに,実際に手を動かしてDFTやZ変換の計算をしたり,MATLABにより音響信号の分析が可能になることをねらいとする。

<受講にあたっての前提条件>
原則として,本講義の基礎となる3つの関連科目(音響工学基礎,信号処理概論,信号処理演習)の単位を修得していることを受講条件とする。また受講希望者数が演習室の定員を上回った場合,関連科目の成績状況を鑑みて,一部の受講希望者には受講を許可しない場合がある。

<具体的な到達目標>
信号の標本化と量子化,畳み込みとインパルス応答,周波数応答,DFT,FFT,Z変換などの信号処理の考え方,基本演算法を身につけるとともに,MATLABを用いてそれらを音響信号の分析に応用したプログラムを構築できるようになることを到達目標とする。

<授業計画及び準備学習>
授業計画は下記の通りである。準備学習として,各回の講義内容についての予習復習を行うとともに,基礎となる数学的な知識についても事前に理解を深めておくこと。例えば3回目の講義では対数計算,5回目では線形システム論,6回目では三角関数と加法定理,8回目では線形代数学,9回目では複素数の性質などについて十分に理解を深めておく必要がある。

1.ガイダンス:授業の進めかた,評価基準,習熟度調査,デジタルとは
2.音データの収録:AD変換とその回路,アンチエイリアシングフィルタ,サンプリング定理
3.音のレベル:RMS値,デシベル,フレーム処理
4.デジタルフィルタ:移動平均,差分,FIRフィルタ,IIRフィルタ
5.残響の付加:畳み込みの定義,物理的意味,手計算の仕方,FFTによる高速化
6.Z変換:定義,計算の仕方,畳み込みとZ変換,周波数特性
7.線形時不変システム:DA変換とその回路,線形時不変とは,インパルス応答,出力信号の計算
8.音の合成:正弦波,矩形波,三角波,音階,AM変調,FM変調
9.音の分析:線形加算モデル,逆行列による分析,内積による分析
10.正弦波の性質:振幅と初期位相⇔sinとcos,複素正弦波
11.周波数特性の分析:複素内積,離散フーリエ変換(DFT),振幅特性,位相特性
12.FFTとスペクトログラム:FFTの原理,窓関数,フレーム処理
13.音質の補正:周波数振幅特性の加工,IFFTによるFIRフィルタの設計
14.学習内容の振り返り

<成績評価方法>
期末試験の結果により,到達目標に照らして6段階のGrade(A+,A,B,C,D,F)で評価し,D以上の者に単位を認める。

<教科書>
指定教科書なし

<参考書>
奥野貴俊 中島弘史「MATLABではじめるプログラミング教室」コロナ社
辻井重男 「デジタル信号処理」 電子情報通信学会編 コロナ社
鈴木陽一ら 「音響学入門」 日本音響学会編 コロナ社

<オフィスアワー>
月曜日4限,新宿校舎,A2472(数理音響学研究室)

<学生へのメッセージ>
ここで扱う音響処理は,デジタル信号処理を基礎としています。デジタル信号処理は,音響以外でも,通信,画像,計測などの広い分野の基礎になっています。これらの分野に興味がある人や,音や画像を扱う研究室への配属を希望する人は必ず受講してほしいと思います。


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