2018年度工学院大学 情報学部コンピュータ科学科
△セキュアシステム(Secure System)[1H18]
2単位 小野 諭 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | ○ | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 講義では、企業や組織の活動を支えるビジネス情報システムについて、その安心・安全を支えるセキュリティ管理の概念とプロセス、技術について学ぶ。
加えて、関連のある最近の興味深い事例を検討することで、学んだ知識を簡単なシステムに展開する力をつける。
- <受講にあたっての前提条件>
- 前提となる科目はありません。(「情報ネットワーク論」を履修していることが望ましいですが、履修の必須要件ではありません。)
- <具体的な到達目標>
- 以下の各項目について、専門知識を具体例とともに理解し習得する。
さらに、事例検討を通して、比較的単純な場合について、自ら知識を適用できるようにする。 また、最新のトピックスについて概要を紹介し、さらなる学習を自ら進める基礎をつくる。
*セキュアシステムの基礎 *セキュリティ達成の目標とプロセス *セキュリティ・アーキテクチャ *リスク対応策 *業務継続と災害対策 *セキュリティとコンプライアンス *セキュアシステムの技術基盤
- <授業計画及び準備学習>
- 1. オリエンテーション、セキュアシステムの概要とトラブル事例紹介
- システム、リスク、セキュリティ、プライバシー、ディペンダビリティとは - セキュリティの対策とその実現手段とは - ディペンダビリティ授業との相互関係 - 事例検討1: 情報セキュリティに関する最近の重大なトラブル
2. 基礎概念 - セキュリティの基礎 - システム、リスク管理の基礎概念 - 評価尺度:機密性, 完全性, 可用性, 真正性, 責任追跡性, 否認防止 (注: 信頼性は、本講義ではなく、別講義の「ディペンダビリティ概論」で扱う。)
3. 基礎概念 - セキュリティ達成の目標とプロセス1 - 情報セキュリティ目的・目標の設定 - セキュリティ達成のプロセス: リスク管理フレームワーク(RMF) - リスクアセスメントとリスク対応 - 事例検討2A: 米国医療情報システム (米国連邦法 HIPAA) - 事例検討3A: 情報セキュリティマネジメントシステム
4. 基礎概念 - セキュリティ達成の目標とプロセス2 - リスク対応の全体像 - リスク対応の基準: 有効性・妥当性・適切性 - 事例検討2B: 米国医療情報システム (米国連邦法 HIPAA)のリスク対応 - 事例検討3B: 情報セキュリティマネジメントシステムのリスク対応
5. 開発・設計 - セキュリティ・アーキテクチャと技術標準 - 情報セキュリティアーキテクチャ - 情報セキュリティアーキテクチャの構成要素とプロセス - 情報セキュリティ管理策 - 事例検討2C: 重要インフラのための最重要技術的対策 (米国 CAG)
6. リスク対応策 - 管理的・物理的・技術的なリスク対応策 - 管理的なリスク対応策 - 物理的なリスク対応策 - 技術的なリスク対応策 - 事例検討2D: 米国医療情報システム (米国連邦法 HIPAA)のリスク対応 - 事例検討4: 重要インフラのための最重要技術的対策 (米国 CAG)
7. 運用 - 業務継続と災害対策 - 災害対策の必要性 - インシデント対応 - 業務継続計画、災害対策 - システムへの攻撃とレジリアンス - 事例検討5: SOC(セキュリティオペレーションセンター)
8. セキュリティとコンプライアンス - 法令・規制の例 - 内部統制とセキュリティ - 事例検討2E: 米国医療情報システム (米国連邦法 HIPAA)への準拠
9. セキュアシステムの技術基盤 1 識別と認証 - 技術的対策の全体像 - IAAA とは - 識別と認証の技術 - 事例検討6A: Windows Active Directory によるネットワーク認証 - 事例検討7A: Linux, クラウドサービスにおける識別と認証
10. セキュアシステムの技術基盤 2 アクセス制御 - アクセス制御の技術 - 事例検討6B: Windows におけるアクセス制御 - 事例検討7B: Linux, クラウドサービスにおけるアクセス制御
11. セキュアシステムの技術基盤 3 暗号と改ざん検知、電子署名 - 暗号化の技術 - 改ざん検知と電子署名の技術
12. セキュアシステムの技術基盤 4 暗号・電子署名技術の応用 - 暗号化ファイルとフルボリューム暗号化 - PCやサーバ、ネットワークなどの相互認証 - 事例検討6C: Windows におけるファイル・ボリューム暗号化 - 事例検討7C: Linux, クラウドサービスにおけるファイル・ボリューム暗号化
13. セキュアシステムの技術基盤 5 その他 - データ長期保存(タイムスタンプほか) - 個人情報とプライバシー保護技術(リンキング、匿名化技術)
14. 学習内容の振り返り
- <成績評価方法>
- 期試験期間に試験を実施する。講義資料のプリント、自筆ノート持ち込み可。
講義内容を理解し、簡単な課題に応用できるレベル。 単位取得には、授業の 2/3 以上の出席が必要。(初回および補講は出席とみなす。)
- <教科書>
- 資料を kuport にて電子配布する。
必要に応じて、印刷プリントを配布する。
- <参考書>
- 講義の中で、適宜、参考となる資料を紹介する。
- <オフィスアワー>
- 前期の期間、毎週木曜3限
新宿キャンパス A1577
- <学生へのメッセージ>
- セキュリティやセキュアシステムの歴史は長く、それらを扱う体系的な方法や技術が、ある程度確立しています。一方、最近、モバイル、クラウド、対テロ対策などで、新たなリスクが生まれ、より高度な対策が求められています。
この講義では、伝統的・体系的知識と、新しい動きをバランスをとりながら講義していきます。また、学生が身近かに感じられる事例を通して、「安心・安全」の重要性とそれを支える技術基盤について、興味を持ちながら理解し、将来に活用できるようにしていきたいと思います。
なお、この講義ではシステムの信頼性やスケーラビリティ、データ保護に関しては扱いません。これらの分野に興味がある学生には、「ディペンダビリティ概論」の受講を勧めます。
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