2018年度工学院大学 工学部電気電子工学科
○物理学D(Physics D)[3N11]
1単位 金 哲 夫 非常勤講師
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 物理学C〜Fでは、「物理学A」および「物理学B」で学んだ、力学の諸概念と物理学の考え方をもとに、物理学の諸分野の基礎理論を概観する。物理学Dでは、熱力学の基礎理論について学ぶ。また、これらの学習を通じて、現実に起こる自然現象をどのようにモデル化し、数学的な方法を用いて記述していくかということを系統的に学び、後の工学系の専門科目を学習する際の基礎を築く。
- <受講にあたっての前提条件>
- 「物理学A」および「物理学B」の内容を理解していること。高校数学全範囲および「微分積分A,B」・「線形代数学A,B」の内容を理解し、使えるようになっていること。
- <具体的な到達目標>
- 熱力学の基礎的な概念を理解する。理想気体を事例として,物質の状態変化の熱力学的記述を理解する。熱力学の第1,第2法則を理解し,単純な系に対してそれらを適用して分析できる。状態量の概念の重要性を理解し,内部エネルギー,エントロピーの概念を把握する。
- <授業計画及び準備学習>
- 1. 熱力学の基礎概念と物理量
SIの復習。物質量,絶対温度の意味,熱,熱容量,比熱。理想気体の状態量(p, V, T)と状態方程式の紹介。状態図(pV図など)の読み方。 [準備学習] 「物理学A」および「物理学B」の内容を復習しておくこと。
2.理想気体の状態方程式,気体分子運動論 気体の状態方程式の意味。理想気体の分子論的定義と状態方程式の導出。気体のエネルギーと等分配の法則。 [準備学習] 状態方程式の意味や使い方について理解しておくこと。
3.熱力学の第1法則 気体のする仕事とpV図の関係。状態量の概念と意義および各種の比熱。内部エネルギー。第1法則。 [準備学習] pV図の読み方と状態方程式との関係を理解しておくこと。仕事とエネルギーについて復習して おくこと。
4.気体の状態変化 定積変化と定圧変化。マイヤーの関係式。等温変化と断熱変化。比熱比。気体分子の自由度。 [準備学習] 準静的変化を表すpV図から気体のする仕事が求められるようにしておくこと。
5.熱機関,熱力学の第2法則 熱機関と熱効率。熱サイクル(カルノーなど)の効率。第2法則の各種の表現(効率,トムソン,クラウジウス)と意味。 [準備学習] 様々な準静的変化に対して,気体がする仕事,吸収する熱などを求められるようにしておくこと。
6.第2法則とエントロピー カルノーの定理,クラウジウスの不等式からエントロピーの概念へ。第2法則とエントロピーの増大。エントロピーのミクロな表現。 [準備学習] 熱力学第1法則および第2法則の内容を理解しておく。
7.学習の振り返り [準備学習] これまでに学んだ内容を総復習しておくこと。
- <成績評価方法>
- 期末試験の成績をもとに理解度を評価する。Grade D以上を合格とする。
- <教科書>
- 加藤潔『理工系 物理学講義』(培風館):授業はこの教科書を適宜参照しつつ行う。また,キューポートにアップした「講義ノート」を印刷して授業に参加してください。
- <参考書>
- 他にも、大学レベルの力学の教科書は多く出版されているので、各自に合ったものを少なくとも1冊は購入しておくことを勧める。以下に例を示す。
戸田盛和『熱・統計力学』岩波書店,砂川重信『熱・統計力学の考え方』岩波書店 戸田盛和『 熱現象30講』朝倉書店,田崎晴明『熱力学-現代的視点から』培風館
- <オフィスアワー>
- 1,2期:水曜日3限
場所:1号館 1階講師室 or 3階物理準備室 メールなどによる質問・相談にも随時対応する。
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