2018年度工学院大学 第1部環境エネルギー化学科

熱の輸送現象(Transport Phenomena of Heat)[0337]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
高羽 洋充 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2018/12/14

<授業のねらい>
伝熱は様々な工業プロセスにおいて重要な役割を果たしている。また、省エネルギーなプロセスを実現するためには伝熱の基礎知識が必要不可欠である。本授業では、熱の輸送現象(伝熱)の基礎的理論を理解し、伝熱装置設計の基礎について勉強する。また、授業を通して今日の地球環境問題(地球温暖化、省資源、省エネルギーなど)における伝熱現象の重要性についても学ぶ。

<受講にあたっての前提条件>
特になし。

<具体的な到達目標>
伝熱の基礎理論を理解すること。代表的な伝熱装置である熱交換器を例にとり、伝熱装置設計法の基礎を理解し応用できる能力を身につけること。

<授業計画及び準備学習>
1. 熱移動の三形態:熱伝導(伝導伝熱)、対流伝熱、放射伝熱の概要について理解する。
2. 熱伝導(1) 平板状固体壁:熱伝導の基本的事項であるフーリエの法則を学び物質による熱伝導度の違いを確認する。また、熱伝導方程式を誘導し、平板状固体壁内の定常熱伝導を学ぶ。
3. 熱伝導(2) 円筒状固体壁:円筒状固体壁の伝導伝熱における対数平均伝熱面積の導入を理解する。
4. 熱伝導(3) フィンの伝熱:各種機器で放熱を促進させるためにフィンを取り付けて伝熱面積を拡大している。フィン表面からの伝熱量を求め、フィン効率を理解する。
5. 対流伝熱(1) 対流伝熱の基本的事項:固体壁表面と流体間の熱移動(熱伝達)機構を学び、熱伝達率とニュートンの冷却法則を理解する。
6. 対流伝熱(2) 対流伝熱の基礎方程式:境界層内の運動方程式とエネルギー方程式を導出し、温度境界層、速度境界層の厚さとプラントル数の関係を理解する。
7. 対流伝熱(3) 強制対流熱伝達:運動量およびエネルギーの積分方程式をもとに平板に沿う流れの層流熱伝達、乱流熱伝達について理解する。
8. 対流伝熱(4)  強制対流熱伝達:管内流れの熱伝達で重要な混合平均温度について理解し、円管内層流熱伝達および円管内乱流熱伝達の推算式を学ぶ。
9. 対流伝熱(5) 物体周りの熱伝達:単一円柱の外表面からの熱伝達、円管群の熱伝達について理解する。
10. 相変化を伴う熱伝達:凝縮伝熱および沸騰伝熱の基礎を学び、沸騰曲線の意味を理解する。
11. 放射熱伝達:固体表面からの放射伝熱の機構を学び、地球温暖化との関係を理解する。放射伝熱に関するプランクの法則、ウイーンの法則、ステファン・ボルツマンの法則などを理解する。
12. 熱交換器:熱交換器の種類と特性について理解し、向流型、並流型の違いを理解し、熱収支、対数平均温度差、伝熱面積など熱交換器の設計に必要な項目を学ぶ。
13. 期末試験を行う。
14. 授業の振り返り。学習成果の確認を行う。

なお、2回目以降は学習準備として、前回までの講義内容の復習および次回の講義内容について配布資料をよく読み内容を把握しておくこと。

<成績評価方法>
成績評価は定期試験の結果で評価し、評点(100点満点)が60点以上を合格とする。なお、定期試験の受験資格は、講義出席率が75%(3/4)以上であること。

<教科書>
適宜プリントを配布するので、教科書の購入は不要である。配布されたプリントを毎回持参すること。

<参考書>
「現代化学工学」、橋本健治、荻野文丸 編 (産業図書)、「化学工学のための数学」、小川浩平他 共著 (数理工学社)

<オフィスアワー>
金曜日 11:30〜12:30 12号館210号室。質問及び相談は電子メールでも随時受け付ける。
 高羽: takaba@cc.kogakuin.ac.jp

<備 考>
伝熱現象は工業的のみならず、自然現象や日常生活においても経験し、知らず知らずのうちに利用している身近な事象である。しかしながら、熱移動は目に見えないため具体的なイメージは中々つかみにくい。本授業で学ぶことで、熱の伝わり方を理解し、どのように解析し制御していくかの方法論を学ぶことができる。


ナンバリングはこちら
このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2018 Kogakuin University. All Rights Reserved.