2017年度工学院大学 先進工学部機械理工学科

流体力学II(Fluid Mechanics II)[3H28]

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2単位
佐藤 光太郎 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2018/09/28

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
航空機,船舶から気象予測や野球ボールの運動まで流体力学が取り扱う分野は多岐多様である.また,一見,流体とは全く無関係に見える工業製品であってもその生産工程では流体力学の恩恵を受けている場合も多い.ここでは機械工学の立場から重要であると思われる内容を中心に,できる限り具体例を紹介しながら授業を展開する.また物理,工業力学等で学習した質点の力学と流体の力学との関係,考え方の同異について考察するよう履修期間中常に求めていく.以下に具体的な達成目標を示す.(1) ナビエーストークスの運動方程式の物理的意味を理解すること.(2)保存則の意味を理解し,使用できること.(3)機械工学で重要とされる基本的な流体諸現象についての概略を理解し,詳細については専門書を参考にしながら考察できること.
(JABEE学習・教育目標)
「国際工学プログラム」
(C)基礎工学・専門工学知識の習得:◎
JABEE基準1の(1)の知識・能力:(d)の(1):◎

<受講にあたっての前提条件>
流体力学T並びに数学,物理,力学系の科目を既習あるいは並行履修していること.特に数学で勉強するテイラー展開について理解しておくこと.本授業では必ず手書きのノートを作成すること.

<具体的な到達目標>
機械技術者として必要な流体力学の基礎的知識を身につける.初歩的なポテンシャル流れの計算ができること,粘性流体の支配方程式を知り,レイノルズ数の物理的な意味を理解すること,クエット流れ・ハーゲン−ポアズユ流れなど代表的な粘性流体の速度分布などが計算できること,層流と乱流の区別がつくこと,境界層厚さという考え方を理解すること.

<授業計画及び準備学習>
毎時間,授業終了後は必ず学習内容を復習しながらノート整理をすること.
1.[ガイダンス]航空機やターボ機械など流体力学の応用例を紹介する.
2.[粘性流体の基礎方程式]ナビエーストークスの方程式について学ぶ.準備学習として第1回目の授業を復習しノートを整理しておくこと.
3.[レイノルズ数およびレイノルズの相似則]レイノルズ数およびレイノルズの相似則について学ぶ.準備学習として第2回目の授業を復習しノートを整理しておくこと.
4.[ナビエーストークスの方程式の無次元化]基礎方程式とレイノルズ数との関係について学ぶ.準備学習として第3回目の授業を復習しノートを整理しておくこと.
5.[ナビエーストークス方程式の厳密解1]代表的な粘性流れの例としてクエット流れについて学ぶ.準備学習として第4回目の授業を復習しノートを整理しておくこと.
6.[ナビエーストークス方程式の厳密解2]代表的な粘性流れの例としてハーゲン−ポアズイユ流れについて学ぶ.準備学習として第5回目の授業を復習しノートを整理しておくこと.
7.[低いレイノルズ数域の流れ]ストークス近似・オセーン近似について学ぶ.準備学習として第6回目の授業を復習しノートを整理しておくこと.
8.[境界層方程式]境界層の概念と境界層方程式について学ぶ.準備学習として第7回目の授業を復習しノートを整理しておくこと.
9.[乱流]乱流とは何かを考え,乱流の観察例を紹介する.準備学習として第8回目の授業を復習しノートを整理しておくこと.
10.[円管内の流れ]ムーディ線図,管路の諸損失について学ぶ.準備学習として第9回目の授業を復習しノートを整理しておくこと.
11.[流関数と速度ポテンシャル]流関数と速度ポテンシャルの定義について学ぶ.準備学習として第10回目の授業を復習しノートを整理しておくこと.
12.[ポテンシャル流れ1]複素関数で表わされる基本的流れ(一様流,角を回る流れ)について学ぶ.準備学習として第11回目の授業を復習しノートを整理しておくこと.
13.[ポテンシャル流れ2]複素関数で表わされる基本的流れ(渦糸,湧出しなど)について学ぶ.準備学習として第12回目の授業を復習しノートを整理しておくこと.
14. 授業の振り返り

授業中に行った演習および宿題は必要に応じて提出してもらうが,その際には必ずノートに提出内容を記述しておくこと.整理して記録を残す能力は理系の研究者・技術者にとっては重要な能力のひとつであることから,本授業ではノート作成を重視する.ノートは授業内で演習・宿題解説時の自己採点にも使用する.提出物の原本を確認したい場合には個別に対応する.また,試験をノート持ち込み可にした場合にはノート提出を求める場合がある.

<成績評価方法>
原則として定期試験で最終成績を評価,Grade D 以上の者に単位を認める.ただし,試験の得点が原因で僅かに合格点に届かない場合でも授業での積極性,演習問題・宿題の状況など,普段の学習状況を総合的に判断し,一定基準以上と認めた者にはレポート提出を認め,レポート内容により再試験を実施する場合がある.本科目では授業の出席確認はカードリーダーで行なう.

<教科書>
「図解によるわかりやすい流体力学」中林功一・山口健二著(森北出版)

<参考書>
「流体力学」日野幹雄著(朝倉書店)
「Fluid Flow」R.H. Sabersky A.J. Acosta E.G. Hauptmann and E.M. Gates(Prentice Hall)
「流体の力学」中山泰喜著(養賢堂)

<オフィスアワー>
火曜日:13:00〜13:30(八王子校舎11号館365室)
金曜日:14:00〜14:30(新宿校舎1713室)

<学生へのメッセージ>
1年次に学習した数学,物理,工業力学の復習を期待する.流体力学の理解が困難な場合には,もう一度,質点の力学の勉強に立ち返ること.

<備 考>
メールでの試験結果・成績に関する問い合わせには応えません.

<参考ホームページアドレス>
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~wwa1038/


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