2017年度工学院大学 先進工学部機械理工学科
△流体力学I(Fluid Mechanics I)[5G26]
2単位 佐藤 允 准教授
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 航空機や自動車といった輸送機器,風車やタービンといった流体機器,さらには気象やスポーツなどなど,「流体」が関係する事象は多岐に渡る.
本授業では,流体の基本的な性質や現象の物理的理解を,工学的な応用事例を踏まえながら学んでいく.特に,高校物理で学習した「質点系の力学」と「流体力学」を比較し,違いを明確にしながら授業を進める.本授業を通して,流体力学における圧力の意味,運動方程式,そして各種保存則を学ぶことで,様々な機械工学の根幹となる流体力学に関する基礎的知識を修得する.
- <受講にあたっての前提条件>
- 物理学(特に力学分野)を履修しているもしくは履修中であること.
基本的な数学(特に微積分とベクトルの分野)を理解していること.
- <具体的な到達目標>
- 流体をつかった工学的技術の理解に役立つ基礎的知識を修得する.高校までに習った質点系の力学と流体力学の違いを理解し,流体特有の性質・現象をしっかりと把握する.具体的には,圧力差によって生じる静水中での力,流速の計算,流れの中に置かれた物体に作用する力を計算できるようになること.
- <授業計画及び準備学習>
- 1.[ガイダンス] 過去から現在までの流体に関わる工学的応用事例を紹介し,流体力学を学ぶ意義を考える.
2.[数学的準備] 本授業を進める上で必要となる基本的な数学知識について復習する. 3.[流体の性質] 流体特有の性質を理解することで,流体力学と高校までに学んだ力学との違いを明確化する. 4.[流れの可視化と現象理解] 目には見えない流れの可視化事例を通して,流れの記述方法について学ぶ. 5.[静力学] 静力学について,特に圧力に注目しつつ学ぶ. 6.[流れの質量保存則] 流れにおける質量保存則の意味を理解し,連続の式の導出と適用方法について学ぶ. 7.[流れの運動方程式] 流れに対する運動方程式を,質点系の力学における運動方程式と比較しながら学ぶ. 8.[流れのエネルギー保存則(ベルヌーイの定理)] 流れにおけるエネルギー保存則の意味を理解し,ベルヌーイの定理の導出と適用方法について学ぶ. 9.[ベルヌーイの定理の工学的応用] ベルヌーイの定理を利用した種々の流速計測方法や,その他工学的応用事例について学ぶ. 10.[流れの運動量保存則] 流れの運動量保存則の意味を理解し,運動量の式の導出と適用方法について学ぶ. 11.[流れの中の物体に働く力] 運動量の式を用いて物体に作用する流体力を計算する. 12.[ポテンシャル流れ(流れ関数と速度ポテンシャル)] 流れ関数と速度ポテンシャルを用いた流れの記述方法を学び,翼周りの流れに関する基礎的知識を紹介する. 13.[粘性流れに向けて(層流と乱流)] 流体力学IIで取り組む粘性流れについて学ぶ.特に,レイノルズ数や層流と乱流の違いについて紹介する. 14.[授業の振り返り]
- <成績評価方法>
- 原則として,各授業において講義と内容理解の演習を行う.演習は試験形式で行い,結果を毎回提出してもらう.
成績評価は,演習点(40%)+定期試験(60%)として算出する.Grade D以上を単位取得の要件とするが,評価によってはレポートの提出や再試験を求める場合がある.
- <教科書>
- 「基礎から学ぶ流体力学」,飯田明由・小川隆申・武井昌宏 著,オーム社
- <参考書>
- 「流体力学」,日野幹雄 著,朝倉書店
「JSMEテキストシリーズ 流体力学」,日本機械学会,丸善 「Fluid Mechanics」,Frank M. White 著,McGraw-Hill Education
- <オフィスアワー>
- 授業後の教場.
新宿校舎の居室A1778にて(火・木の16:00-17:30). メールでの質問も受け付けます.
- <学生へのメッセージ>
- 人が歩くと,その背後には「カルマン渦」と呼ばれる渦が発生するように,人は流体と共に生きていると言っても過言ではありません.本授業を通して,日常の様々な場所で出会う「流れ」を敏感に察知し,現象の流体力学的意味を理解できるような知識を修得していきましょう.
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