2017年度工学院大学 先進工学部応用物理学科

幾何光学(Geometrical Optics)[4H48]

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2単位
阿部 勝行 非常勤講師  
石渡 裕 非常勤講師  
最終更新日 : 2018/09/28

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
 観察物体の画像を取り込むときに、観察物体とレンズの適切な位置関係やレンズ仕様の選定を幾何光学の知識から行えるようになる。
 今後の研究や卒業後の仕事で光学機器を使う場面で、先鋭な画像や正確なデータを得るために光学系の収差などの影響を考えられるようになる。

<受講にあたっての前提条件>
 電磁気学の基礎を理解していることが望ましい。

<具体的な到達目標>
 1) 幾何光学の原理に従って物体から像までの光を光線として追跡することができる。
 2) 薄肉レンズの結像から物体とレンズと像の位置関係及び結像倍率を求めることができる。
 3) 実際のレンズで発生する収差のメカニズムを理解し、その影響を実習で体感する。

<授業計画及び準備学習>
第1回:イントロダクション(担当教員:石渡)
前半にガイダンスを行い、後半で光の基本特性と光線について考える。
第2回:光の物理的表現(石渡)
光の波動性から光線が定義できることを考え、光の反射・屈折を数式表現してみる。
  準備学習:Maxwell方程式等の電磁気学の基礎事項を確認しておくこと。
第3回:幾何光学の基礎(石渡)
幾何光学を考える上で重要な基礎原理(フェルマーの原理、ホイヘンスの原理)と基本法則(反射の法則、屈折の法則)を学ぶ。
第4回:幾何光学を用いた像の伝達(石渡)
反射・屈折の法則を用いて光線がミラーやプリズムでどのように伝達されか、薄肉レンズの考えを用いると物体と像はどのような位置関係で形成されるかを学び、作図を用いて像の伝達を考察する。
第5回:レンズによる結像(石渡)
厚みのあるレンズによる像の伝達を考える方法である近軸理論と、レンズを用いた結像で重要な保存則を学ぶ。
第6回:光線追跡法の基礎(石渡)
薄肉レンズの結像と近軸理論で近似的なレンズの結像を学んだ後に、実際のレンズによる結像を考えるために、光線追跡法の基礎を学ぶ。
第7回:収差(阿部)
1点から出た光が1点に集光しない現象が収差であり、代表的な収差(ザイデルの五収差、色収差)とその特性について学ぶ。
第8回:収差補正の基礎(阿部)
レンズで発生する収差は、物体と像の位置関係やレンズの形状によって変化することと、凸レンズと凹レンズでは収差の発生が異なることを利用して、レンズを組合せることで収差を低減できることを学ぶ
第9回:光学設計の基礎(阿部)
観察範囲全体として収差を低減させるために、構成するレンズの形状を変化させる光学設計の基礎を学ぶ。
第10回:光学設計の流れ(阿部)
決められた製品仕様(焦点距離、明るさ、機械的制約)から構成するレンズ配置を考え、目標性能に到達するために構成レンズをどのように変化させていくかについて学ぶ。
第11回:各種光学機器の特徴(阿部)
顕微鏡とカメラを例に光学機器の設計的な特徴を紹介する。
第12回、第13回:実習(阿部、石渡)
オリンパスの施設で顕微鏡を用いた微細物体の観察とデジタルカメラを用いた実写を体験する。
第14回:学習内容の振り返り(阿部、石渡)

<成績評価方法>
 授業にきちんと出席し参加した学生に対し、課題レポートと授業中に行う演習問題への解答などを総合的に評価し、Grade D以上の者に単位を認める。

<教科書>
 特に指定しない。

<参考書>
 ・ヘクト光学T−基礎と幾何光学− Eugence Hecht著 尾崎義冶、朝倉利光訳 丸善株式会社
 ・光学入門 岸川利郎 著 オプトニクス社
 ・光機器の光学 T、U 早水良定 著 財団法人日本オプトロニクス協会
 ・幾何光学 三宅和夫著 共立出版 (残念ながら絶版のため、図書館等で探してください)

<オフィスアワー>
授業終了後、講師室控え室にて(15:30-16:30)

<学生へのメッセージ>
 企業の研究開発部門の人間が、どのように製品開発に応用するかという目線で授業をします。
 教科書などに載っていない現場の話などをできる限り紹介します。


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