2017年度工学院大学 先進工学部応用物理学科

通信方式(Fundamental Theory of Communication Systems)[3H26]

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2単位
斎藤 秀俊 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2018/09/28

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
現代の情報社会では,多種多様のメディアに対する情報交換が必要であり、通信技術は情報社会を支える基盤技術の一つとなっています.この授業では,通信システムの基礎技術となるアナログおよびデジタルの信号,雑音,変調・復調,信号検出について学ぶことを通して,アナログ及びデジタル通信方式の構成と要素を理解します.

<受講にあたっての前提条件>
本科目を履修するにあたり,「デジタル信号処理」,「デジタル電子回路」,「アナログ電子回路」を履修しておくことが望ましいです.

<具体的な到達目標>
1. 信号の伝送技術を理解していること
2. 信号や雑音を解析する理論を理解していること
3. アナログやデジタル信号の変調・復調技術を理解していること
4. 信号検出の技術を理解していること
5. 各種通信方式を理解すること

<授業計画及び準備学習>
1.信号の表現と伝送(1)
「信号」を表現する手段として必要になる「数学」を学びます.周期信号とフーリエ級数,標本化関数とデルタ関数、線形系の伝達関数について理解します.
 準備:教科書の第1章1.1〜1.3を熟読すると共に,例題を解きます.また,三角関数,複素数の公式を学習します.
復習:教科書の第1章の章末にある演習問題の該当する関連問題を解きます.

2.信号の表現と伝送(2)
「信号」を表現する手段として必要になる「数学」を引き続き学びます.非周期信号とフーリエ変換,相関関数について理解します.
 準備:教科書の第1章1.4及び1.5を熟読すると共に,例題を解きます.必要があれば,三角関数,複素数の公式を学習します.
復習:教科書の第1章の章末問題の該当する関連問題を解きます.

3.雑音解析(1)
「雑音」を解析するための「数学」を学びます.確率分布関数と確率密度関数,モーメントと特性関数,2変数及び多変数の確率密度関数について理解します.
 準備:教科書の第2章2.1〜2.3を熟読すると共に,例題を解きます.
復習:教科書の第2章の章末にある演習問題の該当する関連問題を解きます.

4.雑音解析(2)
「雑音」を解析するための「数学」を引き続き学びます.正領域ランダム変数の解析,相関関数と電力スペクトル密度,狭帯域ガウス雑音について理解します.
 準備:教科書の第2章2.4及び2.5を熟読すると共に,例題を解きます.
復習:教科書の第2章の章末問題の該当する関連問題を解きます.

5.アナログ変調方式(1)振幅変調(AM),搬送波抑圧振幅変調(DSB),単側波振幅変調(SSB),信号対雑音電力比(SNR)と搬送波対雑音電力比(CNR)について学びます.
 振幅変調の原理を理解し,変復調回路について理論的に説明できるようにします.さらに,DSB方式,SSB方式についての理論的解析を行い,その特徴を理解します.
 準備:教科書の第3章を熟読すると共に,例題を解きます.
復習:教科書の第3章の章末にある演習問題を解きます.

6.アナログ変調方式(2)周波数変調(FM),位相変調(PM)の原理について学びます.
 周波数変調・位相変調の原理を理解し,理論的に説明できるようにします.
 準備:教科書の第4章を熟読すると共に,例題を解きます.
復習:教科書の第4章の章末にある演習問題を解きます.

7.中間試験
 1〜6回目の内容について,理解度を確認します.
 準備:教科書およびノートを用いて7回目までの内容を復習し,例題や関連問題が解けるようにします.
 復習:理解していない箇所について,教科書およびノートを用いて7回目までの内容を復習します.

8.デジタル変調方式(1)パルス振幅変調(PAM)と標本化定理について学びます.
  搬送波として周期パルス信号列を用いたパルス変調方式の原理を理解し,デジタル通信の重要な定理である標本化定理を導出できるようにします.
 準備:教科書の第5章5.1及び5.2を熟読すると共に,例題を解きます.
復習:教科書の第5章の章末にある演習問題の該当する関連問題を解きます.

9.デジタル変調方式(2)パルス符号化変調(PCM)について学びます.
  デジタル信号の標本化と量子化の原理を理解し,デジタル通信の変調方式の基本であるPCMを理論的に説明できるようにします.
 準備:教科書の第5章5.3〜5.5を熟読すると共に,例題を解きます.
復習:教科書の第5章の章末にある演習問題の該当する関連問題を解きます.

10.デジタル変調方式(3)振幅シフトキーイング(ASK変調)と周波数シフトキーイング(FSK変調),位相シフトキーイング(PSK変調)について学びます.
  ASK,FSK,PSK変調方式の原理とその特性について理解します.
 準備:教科書の第6章6.1〜6.3を熟読すると共に,例題を解きます.
復習:教科書の第6章の章末にある演習問題の該当する関連問題を解きます.

11.デジタル変調方式(4)作動位相シフトキーイング(DPSK変調),直交振幅変調(QAM変調),M進信号について学びます.
DPSK,QAM変調方式の原理とその特性について学び,さらに多値変調方式について理解します.
 準備:教科書の第6章6.4〜6.7を熟読すると共に,例題を解きます.
復習:教科書の第6章の章末にある演習問題の該当する関連問題を解きます.

12.最適信号検出
  信号検出のための理論について学びます.準最適フィルタとSNRの関係について理解すると共に,最適フィルタ,最適受信機の構成とその特性を理解します.
 準備:教科書の第7章を熟読すると共に,例題を解きます.
復習:教科書の第7章の章末にある演習問題を解きます.

13.無線通信とフェージング
  無線通信環境の一つとしてフェージングを考慮した通信方式について学びます.
  フェージング通信路における信号の統計的性質を理解し,その符号誤り率特性について理解すると共に,ダイバーシティ受信による特性改善の手法を理解します.
 準備:教科書の第8章を熟読すると共に,例題を解きます.
復習:教科書の第8章の章末にある演習問題を解きます.

14.学習成果の確認(これまでの学習がどれだけ身に付いたか,学力の達成度を確認します)

ただし,開講年次により講義で扱うテーマの変更もしく進捗状況を判断して修正する場合があります.その場合には講義などを通じて別途通知します.また,第14回目までの講義に必要となる準備学習については,事前に教科書の指定された箇所や配布したプリントを読むなどの準備をして下さい.必要となる場合には,講義時間中に理解を深めるための小テストを実施する場合があります.講義終了後には,講義で得た知識を基に,与えられた課題を解くことや,各自で不明箇所について復習して下さい.

<成績評価方法>
授業期間内の確認テストや課題による平常点,及び期末定期試験による両者の評価をします.共に,100点満点中,60点以上の評価をされた場合にのみ,D以上の評価を以って合格とします.他の履修条件は,学生便覧に記載されている各種規定に従います.

<教科書>
『通信方式-第2版』滑川敏彦, 奥井重彦, 衣斐信介, 森北出版

<参考書>
『基本を学ぶ通信工学』植松友彦, 松本隆太郎, オーム社
『詳説 ディジタル・アナログ通信システム 基礎編』ラシィ (著) 外山 昇 (訳) 丸善
『詳説 ディジタル・アナログ通信システム 応用編』ラシィ (著) 外山 昇 (訳) 丸善
など,各自で使いやすいものを利用してください.

<オフィスアワー>
水曜日12:40-13:30 新宿校舎A-2274室,もしくは電子メールによる連絡でも良いです.連絡用の電子メールは講義開始後に通知します.簡単な質問は,講義後に教室で受け付けます.

<学生へのメッセージ>
通信方式の知識を得ることで,様々な通信システムのしくみを理解し,その諸問題を解決する基礎力を身に付けることができます.


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