2017年度工学院大学 先進工学部応用化学科
鉱物と結晶(Mineral and Crystal Chemistry)[4P31]
2単位 村上 ヘ 非常勤講師
- <学位授与の方針>
◎ | 1. 基礎知識の習得 | ○ | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | ○ | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- (1)地球を形成する固体物質(鉱物)の基本、(2) 固体物質を理解するための結晶学・結晶化学の基礎、(3) 物質構造を原子レベルで解析する方法、を学ぶ。鉱物学・結晶学は、対称の概念に見られる群論、固体物質分析の基本となる結晶化学、物質と波の相互作用などの基本的な科学を基礎にして成り立っており、また地下資源の開発や原材料の合成・分析などへの応用、さらには宇宙惑星科学への応用を内包する自然科学である。従って、鉱物学・結晶学を学ぶことで様々な分野と有機的な繋がりが持てるようになる。
- <受講にあたっての前提条件>
- 特になし。鉱物や結晶を学びたい学生は誰でも受講できる。
- <具体的な到達目標>
- 鉱物学と結晶学の基礎知識のみならず、将来の応用にも耐えられるように、その基本的理解をも目指す。具体的には、関係した職業に就いた時、問題点を自ら解決し、さらに、その部門(チーム)をリードする職業人となるようにする。
- <授業計画及び準備学習>
- 1 序論:鉱物・結晶の定義、地球の構造と構成物質の概略、鉱物の進化
2 鉱物・結晶の基礎:対称と対称操作、単位格子、格子定数、晶系;結晶面と面指数、ミラー指数、面間隔、有理指数の法則、晶帯、ステレオ投影法 3 点群:Hermann-Mauguinの記号、対称要素の配置と順序、点群での結晶面(同価点)表記、結晶形 4 ブラベ格子:平面格子、複合格子、並進性、平面空間群、空間格子、ブラベ格子の導出 5 空間群:らせん軸と映進、空間群とその実例、原子間距離・角度と単位格子の体積・密度の計算 6 結晶化学の基礎:固体の結合、最密充填、イオン半径,配位数,Paulingの規則 7 鉱物の分類:鉱物の分類法、鉱物の各論、珪酸塩鉱物 8 鉱物の安定性:安定性、固溶体、相変態、多形、準安定相 9 X線の発生と散乱:発生、特性X線、吸収、散乱 10 逆格子とX線の回折:実空間と逆空間(実格子と逆格子)、X線の回折(LaueとBraggの条件)、逆格子、エバルド球 11 結晶の散乱強度:結晶からの散乱強度の導出、原子散乱因子、結晶構造因子、消滅則 12 X線回折の実際:粉末X線回折の原理と実際、X線組成分析 13 電子顕微鏡:電子線の発生原理、電子顕微鏡の構造、電子回折、コントラスト 14 学習内容の振り返り ◯教科書は指定せず、資料を配布して講義を行う。予習・復習に役立ててほしい。 ◯講義の復習のため、また授業内容を発展させるために、毎回小テストを行い、翌週の講義時に回答用紙を返却し、テストの解説を行う。小テストは講義を聞き、ノートを取っていればできるような問題とする(ノート、参考書の持ち込み可)。
- <成績評価方法>
- 定期試験期間内に行う試験と講義毎の小テストの点数をそれぞれ50点として、学生の成績とする(100点満点)。両方とも、ノート、参考書を持ち込んでもよい。
- <教科書>
- 本講義の内容を一冊にまとめた著書はないので、教科書の指定はない。講義に必要な資料は配布する。
- <参考書>
- 「結晶学・鉱物学」 藤野清志 共立出版
「鉱物の科学」 地学団体研究会編 東海大学出版会 「X線回折分析」 加藤誠軌 内田老鶴圃 「鉱物学」 森本信男、砂川一郎、都城秋穂 岩波書店 「鉱物概論」 原田準平 岩波書店 「化学結晶学入門」 斉藤喜彦 共立全書 「X線結晶学の基礎」 L.V. Azaroff 丸善 「X線回折要論」 B.D. Cullity アグネ承風社
- <オフィスアワー>
- 講義終了後、新宿キャンパス非常勤講師室
E-mailでの連絡、質疑応答もできます:murakami@eps.s.u-tokyo.ac.jp
- <学生へのメッセージ>
- 鉱物学、結晶学の基礎知識は重要ですが、独力で基本的な理解に達するのは結構むずかしいことです。講義でその手助けができれば幸いです。社会に出てからも基礎知識として有用ですので、この機会に鉱物学、結晶学をマスターしてください。
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