2017年度工学院大学 先進工学部応用化学科
量子化学(Quantum Chemistry)[3E23]
2単位 徳永 健 准教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | ○ | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 化学的現象や反応の多くは、原子や分子の振動状態・回転状態・電子状態を考慮することによって理解することができる。また、化学の分野で使用される測定機器の原理は、量子化学の知識なしには理解できない。この科目の前半では、量子論の基本概念を理解し、原子・分子に当てはめて議論できることを目的とする。後半では、原子・分子の振動状態・回転状態・電子状態と各種スペクトルの関係を理解できることを目的とする。
- <受講にあたっての前提条件>
- ・物理化学III履修程度の知識を有すること。
・高等学校レベルの指数、対数、微分、積分、行列の演算ができること。 ・毎回演習を行うので、関数電卓を持参すること。
- <具体的な到達目標>
- ・量子論の基本概念と特徴的な現象を理解できる。
・量子論を原子・分子に当てはめて考え、反応性を理解できる。 ・分子の回転・振動準位と、それに基づくスペクトルを理解できる。 ・分子の電子状態と、それに基づくスペクトルを理解できる。 ・分子の核・電子スピンの状態と、それに基づくスペクトルを理解できる。
- <授業計画及び準備学習>
- 第1回: 量子論の基礎(1)
[学習内容] 波動関数、物理量、演算子、波動方程式について理解する。 [準備学習] テキスト第8章(8.1 ~ 8.7)を読んでくること。 第2回: 量子論の基礎(2) [学習内容] 井戸型ポテンシャルとトンネル現象について理解する。 [準備学習] テキスト第9章(9.1 ~ 9.3)を読んでくること。 第3回: 量子論の基礎(3) [学習内容] 振動・回転運動と摂動論について理解する。 [準備学習] テキスト第9章(9.4 ~ 9.10)を読んでくること。 第4回: 原子構造と原子スペクトル [学習内容] 原子構造と原子スペクトルについて理解する。 [準備学習] テキスト第10章(10.1 ~ 10.8)を読んでくること。 第5回: 原子価結合法と分子軌道法 [学習内容] 原子価結合法と分子軌道法を理解する。 [準備学習] テキスト第11章(11.1 ~ 11.5)を読んでくること。 第6回: ヒュッケル近似とフロンティア軌道理論 [学習内容] ヒュッケル近似とその反応への応用について理解する。 [準備学習] テキスト第11章(11.6 ~ 11.8)を読んでくること。 第7回: 中間試験 [学習内容] 第6回までの学習の成果を確認する。 [準備学習] 第6回までの学習内容を復習すること。 第8回: 中間試験の解説、分子の対称性と選択律 [学習内容] 分子の対称性と選択律を理解する。 [準備学習] テキスト第12章(12.1 ~ 12.6)を読んでくること。 第9回: 分子の回転と振動 [学習内容] 分子の回転準位と振動準位を理解する。 [準備学習] テキスト第13章(13.4 ~ 13.13)を読んでくること。 第10回: 多原子分子振動と赤外吸収・ラマンスペクトル [学習内容] 分子の振動とそれに関連するスペクトルを理解する。 [準備学習] テキスト第13章(13.14 ~ 13.17)を読んでくること。 第11回: 電子スペクトル [学習内容] 電子スペクトルの原理について理解する。 [準備学習] テキスト第14章(14.1 ~ 14.2)を読んでくること。 第12回: 蛍光とりん光 [学習内容] 蛍光、りん光の原理とその応用について理解する。 [準備学習] テキスト第14章(14.3 ~ 14.4)を読んでくること。 第13回: 核磁気共鳴(NMR) [学習内容] NMRの原理と化学シフトについて理解する。 [準備学習] テキスト第15章(15.1 ~ 15.7)を読んでくること。 第14回: 電子スピン共鳴(ESR)、光電子分光法 [学習内容] ESR、光電子分光法の原理とその応用について理解する。 [準備学習] テキスト第15章(15.14 ~ 15.16)を読んでくること。 第15回: 学習内容の振り返り [学習内容] 学習内容の振り返りを行う。 [準備学習] 前回までの総復習を行うこと。
- <成績評価方法>
- ・中間試験(30%)と期末試験(70%)で評価する。
・中間試験は、前半の基礎的内容から出題する。 ・期末試験は、後半の分子分光を中心に、全範囲から出題する。 ・各回に実施する課題は成績評価に含めない。
- <教科書>
- 「アトキンス物理化学(上)(下)第8版」Peter Atkins, Julio de Paula著、千原秀昭・中村恒男訳、2009(東京化学同人)
- <参考書>
- 特になし。授業中に紹介する。
- <オフィスアワー>
- 質問は、授業前後に教室で受け付ける。また、メール(ft13309@ns.kogakuin.ac.jp)で随時受け付ける。オフィスアワーは第3, 4Qは木曜13:00 ~ 15:00とする。教員の居室は八王子キャンパス(4号館3階306号室)。予約は不要だが、会議や出張で不在の可能性があるので、事前に連絡を取ることを推奨する。
- <学生へのメッセージ>
- 量子化学の基礎を理解すると、物質の性質や化学反応を、新たな視点から見ることができるようになります。毎回、教科書巻末の演習問題を解き、理解を深めます。数学が苦手な人は、高校数学を復習しましょう。
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