2017年度工学院大学 先進工学部応用化学科

無機固体化学(Inorganic Solid-state Chemistry)[2E29]

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2単位
大倉 利典 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2018/09/28

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
最近の「固体の科学と技術」の進歩はめざましく,とくに,環境材料,エネルギー材料の分野が急速に発展している。これらの材料(物質)を化学の立場から,構造・反応・物性に着目して考えてみよう。本講義では,無機材料を「固体の化学」として,構造論や反応論の基礎的事項を中心に概説する。さらに,物性論として,主として環境・エネルギー材料,電磁気材料および光学材料の基礎理論と応用を学び,近年目覚ましく展開されつつある新材料の理解を深める。

<受講にあたっての前提条件>
無機化学の基礎を理解していること。

<具体的な到達目標>
(1) 結晶構造を理解し,その把握と描写が的確に行えるようになること,ならびに一般的な酸化物や鉱物について,構造の観点から諸性質の理解ができるようになること。
(2) 化学結合とその結果形成される結晶に関する知識を用いて,相転移や固相反応などを理解する。
(3) 原子,イオン,分子などのレベルで「特性(機能)」を理解できる。
(4) 化学結合や固体構造が「特性(機能)」とどのような相関性をもつかを理解できる。

<授業計画及び準備学習>
A 固体構造論
1. 化学結合と結晶構造
(1)単位格子と晶系(2)ブラベー格子とミラー指数
2. 化学結合と結晶構造
(3)イオン結晶(4)共有結合性結晶(5) 結晶構造の分類と相互関係
3. 結晶構造と格子欠陥
(1)格子欠陥の種類と表示法(2)内因性格子欠陥と外因性格子欠陥
4. 無機結晶とガラス
(1)単結晶と多結晶(2)固溶体(3)結晶とアモルファス(4)ガラスとガラス構造
B 固体反応論
5. 相転移
(1)固相転移(2)多形転移と転移速度
6. 核生成と成長
(1)均一核生成と不均一核生成(2)結晶成長(3)ガラスの結晶化(4)結晶化ガラス
7. 拡散とその工学的応用
(1)拡散の法則―拡散の種類(2)拡散とイオン伝導(3)固相反応(4)焼結
C 固体物性論
8. 固体の誘電性を利用した材料
(1)誘電性の起源(2)結晶中の分極(3)誘電率の定義
9. 固体の誘電性を利用した材料
(4)誘電体の種類(5)分極曲線(6)ペロブスカイト型化合物
10. 固体の誘電性を利用した材料
(7)圧電性(8)焦電性(9)誘電体の応用
11. 固体の磁性を利用した材料
(1)磁性の起源(2)磁性の種類(3)磁区と磁壁(4)磁化曲線
12. 固体の光学特性を利用した材料
(1)光と原子の相互作用(2)レーザ発光の原理
13. 固体の光学特性を利用した材料
(3)発光ダイオード(LED)の特性(4)ガラス光ファイバの種類と損失要因
14. 学習内容の振り返り

準備学習:授業計画に記されたキーワードについて調べておくこと。

<成績評価方法>
授業にきちんと出席することが成績評価の前提である。定期試験の成績を中心に,授業中に課す演習課題に対して提出された回答結果を10%程度加味して評価し,60点以上の者に単位を認める。

<教科書>
講義資料をポータルシステムにより配布する。

<参考書>
授業計画 第1回〜第7回
「工学のための物理化学」(第1章、第4章)永井・片山・大倉・梅村 著(サイエンス社)
授業計画 第8回〜第13回
「工学のための無機材料科学」片山・大倉・橋本・山下 著(サイエンス社)
「入門 固体化学」L.Smart・E.Moore 著,河本・平尾 訳(化学同人)

<オフィスアワー>
火曜日 13:00〜13:30(新宿校舎A-2066号室)

<学生へのメッセージ>
これまでに学習した「数学,物理,化学,無機化学,物理化学」などの科目が基礎となるので重点的に復習すること。


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