2017年度工学院大学 先進工学部生命化学科

ケミカルバイオロジー(Chemical Biology)[4H39]

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2単位
大野  修 准教授  
最終更新日 : 2018/09/28

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
ケミカルバイオロジーは化学(特に有機化学)の知識・技術を活用して、生命現象の謎を解き明かす新しい学問領域です。しかし、そのベースは有機化学と分子生物学であり、歴史ある学問の知識から成り立っています。有機化学と分子生物学の進歩に伴い、それらの手法を組み合わせたケミカルバイオロジーが近年、発展してきました。化学と生物学を融合させることによって、これまで多くが未解明であった低分子有機化合物の生物における役割、働きが解明されてきました。本講義では、この化学と生物学を活用したケミカルバイオロジーの手法を学び、その応用による生命現象解明へのアプローチについて紹介します。

<受講にあたっての前提条件>
有機化学IV、細胞生物学、創薬化学を受講していることが望ましい。

<具体的な到達目標>
ケミカルバイオロジーの成り立ちを学び、生体分子の構造・性質を探るための各種分析法と、生命現象を制御・解析することができる有機化合物の構造を理解する。さらに、それらの応用による生命現象解明の実例について理解する。

<授業計画及び準備学習>
1回目 ガイダンス
 授業に関する注意
 ケミカルバイオロジーの紹介
2回目 ケミカルバイオロジーの歴史
 天然物化学からケミカルバイオロジーへの発展
 歴史を彩る重要な有機化合物について
3回目 ケミカルバイオロジーの理解のために(有機化学)1
 生命現象に関わる有機化学
 有機化合物の構造解析手法
4回目 ケミカルバイオロジーの理解のために(生物学)2
 細胞の成り立ち
 細胞を用いた各種評価手法
5回目 生物活性物質の構造と機能
 一次代謝産物と二次代謝産物
 天然からの生物活性物質の探索手法
6回目 生物活性物質としての医薬品(抗がん剤)の生体内での働き
 がん発症のメカニズム
 各種抗がん剤とその作用発現機構
7回目 自然界における生物活性分子
 生体(個体)間で働く情報伝達物質
 フェロモン、アレロケミカル、アレロパシー物質
8回目 標的分子の解析手法
 アフィニティークロマトグラフィー
 フォトアフィニティーラベリング
9回目 バイオイメージングとクリックケミストリー
 各種蛍光分子を用いたバイオプローブ
 クリックケミストリーを活用した分子標識手法
10回目 生合成
 天然有機化合物の生合成遺伝子
 異種遺伝子導入による物質生産
11回目 メタゲノム
 難培養性微生物のゲノムの活用法
 環境DNAを利用した新物質創製の取り組み
12回目 ケミカルバイオロジーによって解明された生命現象1
 免疫抑制剤FK506の発見と標的分子の解明
 ヒストンアセチル化による遺伝子発現制御機構の解明
13回目 ケミカルバイオロジーによって解明された生命現象2
 サリドマイドによる薬害とそのメカニズム
 骨粗しょう症の治療に寄与する破骨細胞分化抑制剤
14回目 授業内容の振り返り

<準備学習>
授業中に配布するプリントを見て適宜復習すること。

<成績評価方法>
成績評価は、授業中に行う小テストおよび期末試験の成績で評価する。
Grade D以上の者に単位を認める。

<教科書>
なし。

<参考書>
日本化学会編、基礎から学ぶケミカルバイオロジー、共立出版
日本化学会編、生物活性分子のケミカルバイオロジー、化学同人

<オフィスアワー>
オフィイスアワー:木曜日17時30分から18時30分
場所:号室 A-2065
会議や出張で不在の場合があるので、事前に連絡することを推奨する。
電子メールのアドレスは st13515@ns.kogakuin.ac.jp である。

<学生へのメッセージ>
ケミカルバイオロジーは新しい学問領域です。日本が得意としてきた天然物化学の実績をもとに、日本で発展してきた分野でもあります。その魅力的な部分を紹介できればと思っています。


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