2017年度工学院大学 先進工学部生命化学科

生体物質代謝(Metabolism Chemistry)[2L15]

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2単位
今村 保忠 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2018/09/28

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
生体内の種々の代謝反応は、酵素の調節機構によって巧妙に調節されている。代謝反応を制御する酵素のアロステリック効果と、酵素タンパク質のリン酸化と脱リン酸化による活性化、不活性化の調節機構を理解する。また、多細胞生物において個体レベルの統合がどのようにしてもたらされるかについても、シグナルに対する細胞の応答という観点から理解する。

<受講にあたっての前提条件>
本講義を理解するためには、生物化学I〜III、酵素化学で学んだタンパク質の構造と機能、酵素反応の制御機構、個別の代謝経路に関する知識、遺伝情報発現に関する基礎知識が必要である。上記の講義で使用した教科書「基礎生化学」第4版、ヴォート著、田宮他訳(東京化学同人)を使用するので、予習復習に利用すること。

<具体的な到達目標>
1)細胞内の物質代謝経路が密接に絡み合ったネットワークを形成し、それらが巧妙に調節されていることについて理解できる。2)解糖系の調節、グリコーゲン代謝と糖新生について理解できる。また肝臓と筋肉のホルモンによるグリコーゲン代謝について理解できる。3)細胞のシグナル伝達について、細胞膜上の受容体の役割、Gタンパク質によるシグナル伝達、細胞膜から核へのシグナル伝達について理解できる。

<授業計画及び準備学習>
以下の項目にしたがって講義するが、都合により変更することがある。
1)第1章 代謝概論
 代謝反応の概略と代謝反応における近平衡と非平衡反応を説明する。
 予習復習のため、教科書:286ページ〜291ページを参照
2)第2章 解糖系の調節
 解答系におけるホスホフラクトキナーゼのアロステリック制御について説明する。
予習復習のため、教科書:323ページ〜326ページを参照
3)第2章 解糖系の調節:続き
4)第3章 グリコーゲン代謝と糖新生
 グリコーゲン分解に関与するグリコーゲホスホリラーゼとグリコーゲン合成酵素のリン酸化と脱リン酸化による調節機構について説明する。
予習復習のため、教科書:336ページ〜348ページを参照
5)第4章 グリコーゲン代謝と糖新生:続き
6)肝臓と筋肉のホルモンによるグリコーゲン代謝
 肝臓と筋肉におけるグリコーゲン代謝のホルモン(インスリン、グルカゴン、アドレナリン)による制御機構を説明する。
予習復習のため、教科書:348ページ〜349ページ、504ページ〜508ページを参照
7)中間試験
8)第5章 シグナル伝達序論
 シグナル伝達の概略と研究の歴史的経緯を説明する。
 予習復習のため、教科書:258ページ〜259ページを参照、がん遺伝子については、268ページのBox13.3を参照
9)第6章 細胞膜上の受容体の役割
 チロシンキナーゼ受容体と7回膜貫通型受容体の構造、ホスホチロシン残基を認識するSH2ドメインの役割について説明する。
 予習復習のため、教科書:262ページ〜264ページを参照
10)第6章 細胞膜上の受容体の役割:続き
11)第7章 Gタンパク質によるシグナルの伝達
 三量体Gタンパク質のシグナル伝達について説明する。
 予習復習のため、教科書:272ページ〜273ページ、277ページの図13.23を参照
12)第7章 Gタンパク質によるシグナルの伝達:続き
 低分子量Gタンパク質(Ras)のシグナル伝達について説明する。
 教科書:265ページ、図13.7を参照
13)第8章 細胞外から核へのシグナル伝達
 受容体からのシグナルが核へ伝達されるMAPキナーゼカスケードを説明する。
 教科書:265ページ、図13.7および267ページ図13.11を参照
14)授業のふり返り

<成績評価方法>
学期の8週目に、それまでの授業内容を範囲とする中間試験と、試験期間に授業内容全てを範囲とする学期末試験を実施する。中間試験および期末試験のの評価の割合は3:7。A+〜Fの6段階評価でD以上のものを合格とする。

<教科書>
「基礎生化学」ヴォート著、第4版 田宮他訳(東京化学同人)

<参考書>
「シグナル伝達入門」服部成介著 羊土社
THE CELL 細胞の分子生物学 第5版 ALBERTS他著 中村桂子他訳 ニュートンプレス

<オフィスアワー>
火曜日 17:30〜19:00 新宿キャンパス 1978室

<学生へのメッセージ>
生化学I〜IIIで学んだこと、酵素化学で学んだことなどを各自で復習しながら勉強を進める心構えが必要。これまで、別のところで学んできたいろいろの事柄が、生体機能調節、シグナル応答のネットワークというキーワードで結びつけられるようになるということを実感して下さい。


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