2017年度工学院大学 情報学部システム数理学科
△システム構築論(k)[1D15]
2単位 三木 良雄 教授
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ○ | 2. 専門分野知識の習得 | ◎ | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- システム技術者の学習において、システムユーザとしての体験的知識からシステム設計や開発プロジェクトの発想に転換することが障害となることが多い。本講座ではシステム関連の専門知識を学ぶ準備、あるいは「データ科学」「経営情報」の観点でITシステムを利活用をするための前提知識として「ITインフラ」、システム設計の基礎を身に着ける。
- <受講にあたっての前提条件>
- 「プログラミング1〜4」「プログラミング演習T〜U」の単位を取得していること
- <具体的な到達目標>
- 企業情報システム、組込みシステムの両分野において、
(1)システムの構築から運用、保守に至るまでの長期間、広範に渡る情報技術の関与を理解する (2)コンピュータ、ネットワーク、データベースなどのシステム面からの機能要件、非機能要件の重要性を理解する (3)情報システムの設計者、利活用者として各種資格試験などに備えるべき基本知識を身に着ける
- <授業計画及び準備学習>
- 1.システムと構成要素
システムの構成要素、ユーザー、サービス提供者、運用者など多角的な視点からシステムを定義する [準備]インターネットサービスプロバイダ、学校の管理システム、銀行システムなどの利用方法 (外部仕様)、運用者、ユーザがどのようになっているのかを事前に整理しておくこと
2.システム構成法 機能仕様、動作仕様、システム仕様など様々仕様レベルからのソフトウェア実現方法を学ぶ [準備]初回に提示するソフトウェア課題に対してコーディング例を作成しておくこと
3.システムアーキテクチャ サーバ、ネットワーク、ストレージの構成方法をシステムの信頼性、可用性などの要件実現の観点から学ぶ [準備]前回作成したプログラム要素を複数連携させるときの信頼性について定量化をしておくこと
4.企業システムと提案依頼書(RFP)の作成 業務の種類とシステムの事例解説から入り、業務プロセスを改善する意義とそれを実現するためのシステム 開発を要求する立場から学び、その結果を提案依頼書あるいは開発プロジェクトとしてまとめることを学ぶ [準備]初回に調査した各種システムに関して、自身が担当、関与するシステムを想定しておくこと
5.企要件定義のまとめ方 企業システム作成側の立場から、システム要求者が求めるシステムの要件、特に後の開発に関する重要事項の まとめ方について学ぶ [準備]前回作成した企業側の提案を詳細化し、第三者に説明可能にしておくこと
6.システム方式設計 システム要件を満たす方式を複数列挙し、その特質を比較することにより想定するシステムに適切な方式を選 択する。これによりコスト、機能、性能とのトレードオフなど考察すべき観点を学ぶ [準備]前回までに取り扱ったシステムの中で自身が取り扱うシステムを決めておくこと
7.ソフトウェア要件定義、ソフトウェア方式設計 システムを実現するためのソフトウェア要件とその方式決定の手法と設計観点を学ぶ [準備]システム方式からソフトウェア部分を切り出し、システム要件を満たすためのソフトウェア要件を 明確化しておく
8.ソフトウェア詳細設計と検証方法 方式設計に基づくソフトウェア詳細設計の方法と考慮すべき観点を学ぶ。併せてソフトウェアの検証方法と 修正ポイントの論理的な追い込み方について学ぶ。 [準備]前回作成した方式設計レベルのソフトウェアについてソフトウェアの概略構造を決めておく
9.既存資産の活用 ソフトウェアパッケージや設計資産(IP)などの活用方法や既存システムの統合について学ぶ。 [準備]学習した企業システムにおいて、他システムにも流用できる機能を切り出しておく
10. 組み込みシステム 世の中一般に普及している組み込みシステムの事例と、その企画や設計にとって考慮すべき設計 トレードオフについて学ぶ [準備]身の周りの家電製品、自動車などに着目し、それらをシステム要素のレベルで構成を検討しておく
11. 組み込みシステムの方式設計 組み込みシステムにおけるハードウェアとソフトウェアのコ・デザイン手法、モデル設計について学ぶ [準備]前回までに想定した組み込みシステムに関して、ハードウェアとソフトウェアの役割分担が異なる 最低2例を考えておくこと
12. 組み込みシステムのハードウェア設計 システムLSIやFPGAなどハードウェアの設計方法、実現方法について学び。ソフトウェアの具体的な関与に ついて理解する。 [準備]システムから想定できるハードウェア部分について具体化しておく
13. システムの運用と保守 システムの運用や保守という業務そのものの理解と業務および運用の評価方法について学ぶ。保守やテストに おける方法について学ぶ [準備]学習した企業システム、組み込みシステムにおいて、社会で使われ何等かの障害が発生したことを 想定しておく
14. 学修内容の振り返り 定期試験、授業内容を総復習するとともに、システム開発、プロジェクト管理、システム工学など次に続く 専門分野との関連性説明と、情報技術者向けの各種試験、資格との関連性を解説する [準備]これまでの講義内容、テスト内容を復習しておく
- <成績評価方法>
- 期末試験にて(60%)、授業中の小テスト等の課題により(40%)を数値化し、それを基に理解度をA+,A,B,C,D,FのGradeにて理解度を評価し、D以上を合格とする。
- <教科書>
- 特に指定してしない。授業にて用いる講義資料を講義後電子的に共有する
- <参考書>
- 次の分野の情報処理技術者試験向けの教科書や問題集が参考となる
「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」「システムアーキテクト試験」
- <オフィスアワー>
- 月曜日1,2,3限O2−504室または教室。月曜日の午後は不定期に学内会議が予定されることがあるので、授業終了時やメールで連絡をしてくれることが望ましい。
- <学生へのメッセージ>
- システムエンジニアを職業として選択する学生が多数であるが、システム設計の対象物や技術者の役割、そして関連技術を知らないまま就職活動をしているように思われる。将来の職業としてシステム設計者を志望する者もしていない者も学んでいる技術がどのように必要となるのかを知るために本授業を受講することを勧める。
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