2017年度工学院大学 情報学部コンピュータ科学科
ソフトウェア設計法II(Software Design Methodology II)[2P20]
2単位 位野木 万里 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- ソフトウェア製品開発現場では基本的な技術となっている,オブジェクト指向に基づくモデル中心のソフトウェア開発に焦点をあてて,開発プロセスの上流である要求定義からテスト・運用までの一通りについてソフトウェア製品開発プロジェクトを設定した演習形式により開発技術と知識を習得する.
- <受講にあたっての前提条件>
- プログラミング科目およびソフトウェア設計法Tの単位を取得していること.
- <具体的な到達目標>
- 製品ソフトウェア開発を行う上での用語,手法,表記方法を理解し説明でき,それらを用いて開発成果物が作成できる.
- <授業計画及び準備学習>
- 以下の項目に沿って講義を進める.場合によっては順番が前後することもあるが,その場合は事前に告知する.各回で,疑似プロジェクトを想定したソフトウェア開発技術の適用演習を実施する.
1.ガイダンス:ソフトウェア開発プロセスとプロジェクト管理 ソフトウェア開発プロセスと製品ソフトウェアプロジェクト管理手法について概観し,本講義を通して実施する疑似プロジェクトの設定を行う. 準備学習:ソフトウェア設計法Tで習得したソフトウェア開発工程と開発成果物について考え方を確認しておくこと.
2.プロジェクト開始:工程表作成,仕様理解 製品ソフトウェア開発プロジェクトの一員として,対象製品の仕様を理解し,開発工程表を作成する. 準備学習:配布資料のプロジェクト管理手法の部分の事前に熟読し,工程表の案を作成すること.
3.要求定義 製品ソフトウェア開発の要求定義工程における作業プロセスと開発成果物について解説し,疑似プロジェクトの要求仕様書の作成演習を行う. 準備学習:配布資料における要求定義工程の部分を熟読し,ユースケース図,ユースケース記述などの要求仕様の案を作成すること.
4.要求定義レビュー 製品ソフトウェア開発における要求仕様の検証プロセスと検証技法について解説し,疑似プロジェクトで作成した要求仕様書に対する要求定義レビューの演習を行う. 準備学習:要求仕様書を各グループで改善するとともに,事前にセルフチェックを行うこと.
5.基本設計(ユースケース単位) 製品ソフトウェア開発における基本設計工程の作業プロセスを開発成果物について解説し,疑似プロジェクトの基本設計書の作成演習を行う.ここでは,一つのユースケースを選択し,当該ユースケースに関するクラス設計を行う. 準備学習:配布資料における基本設計工程の部分を熟読し,クラス図,シーケンス図,状態遷移図などの基本設計の案を作成すること.
6.基本設計(ユースケース単位での洗練) 一つのユースケースに対する,クラス構造,クラス間相互作用,オブジェクトの状態遷移を相互に詳細かし,反復的に設計全体を洗練させていく方法を解説し,第5回で作成した結果に対して基本設計の洗練演習を行う. 準備学習:配布資料における基本設計工程の部分を熟読し,クラス図,シーケンス図,状態遷移図などの基本設計を洗練するための案を作成すること.
7.基本設計レビュー 製品ソフトウェア開発における基本設計の検証プロセスと検証技法について解説し,疑似プロジェクトで作成した基本設計書に対する基本設計レビューの演習を行う. 準備学習:作成した基本設計書を各グループで改善するとともに,事前にセルフチェックを行うこと.
8.基本設計(製品ソフトウェア全体) 第5回,第6回の一つのユースケースに関する基本設計結果に基づいて,製品ソフトウェア全体の基本設計を行うためのプロセスと設計技法を解説し,対象ソフトウェアを構成する全ユースケースに対する設計演習を行う. 事前学習:第5回,第6回において指摘事項に対応して基本設計書を改善してくること.
9.基本設計(製品ソフトウェア全体)レビュー 製品ソフトウェアの基本設計の検証プロセスと検証技法について復習し,疑似プロジェクトで作成した基本設計書全体に対する基本設計レビューの演習を行う. 準備学習:作成した基本設計書を各グループで改善するとともに,事前にセルフチェックを行うこと.
10.テスト仕様化 製品ソフトウェアのテストプロセスやテスト技法について解説し,疑似プロジェクトで作成した要求仕様書,基本設計書に基づいて,結合テストおよびシステムテストで利用するテスト仕様書を作成する演習を行う. 準備学習:配布資料のテスト工程の部分を熟読するとともに,疑似プロジェクトでのシステムテスト仕様書の案を作成すること.
11.テスト仕様のレビュー 製品ソフトウェアのテスト仕様の検証プロセスと検証技法について復習し,疑似プロジェクトで作成したテスト仕様のレビューの演習を行う. 準備学習:作成したテスト仕様を各グループで改善するとともに,事前にセルフチェックを行うこと.
12.品質管理および製品出荷 品質管理および製品出荷までのプロセスと技法について解説し,疑似プロジェクトで作成したこれまでの成果物一式をとりまとめ,製品集荷に関する演習を行う. 準備学習:疑似プロジェクトで作成したこれまでの成果物をとりまとめブラシュアップしておくこと.
13.製品出荷レビュー 各グループで作成した製品ソフトウェアの成果物を製品として出荷すると位置づけて,各グループによる発表とレビューの演習を行う. 準備学習:作成した成果物一式を各グループでとりまとめて発表資料を作成すること.
14.学習内容の振り返り 準備学習:定期試験で解けなかった問題の解き方を考えておくこと.
- <成績評価方法>
- 講義中に演習課題を実施し,その結果をレポートとして提出する.試験期間中に試験を実施する.期末試験(50%)および課題の評価(50%)による総合得点で,到達目標に照らして,6段階のGrade(A+, A, B, C, D, F)で評価し,D以上の者に単位を認める.
- <教科書>
- 高橋直久,丸山勝久:情報工学レクチャーシリーズ ソフトウェア工学,森北出版,2010
- <参考書>
- 指定参考書なし
- <オフィスアワー>
- 火曜日:16:15〜17:15 新宿校舎A-2315(高信頼ソフトウェア開発工学研究室)
- <学生へのメッセージ>
- この講義ではプロジェクトを設定してソフトウェア製品開発プロジェクトを疑似体験します.単にプログラムを作成することと,製品ソフトウェアを工業的に構築することの違いを習得していただきます.製品ソフトウェアを工業的に構築するのは大変難しいことですが,家を建てる,家電を生産するなどの別の製品開発のアナロジーを適用すると,その違いが分かるようになると思います.
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