2017年度工学院大学 建築学部まちづくり学科

都市空間調査法(Theory of Urban Space Investigation)[2E13]

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2単位
野澤  康 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2018/09/28

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
都市(地区)の計画を立案するにあたっては、対象となる都市(地区)の現状を正しく読み取り、把握・理解する必要がある。この講義では、都市(地区)の調査・分析・評価を中心的なテーマとして、都市(地区)の見方・調べ方、そして読み取り方・解釈のしかたなどを実践的に学ぶ。

<受講にあたっての前提条件>
前提条件ではないが、一部で、2年次の「都市計画」で学んだ知識を用いる。
必要に応じて、その時の教科書・ノートを用いて復習しておくこと。

<具体的な到達目標>
具体的な達成目標は、以下の3点である。
1)都市(地区)に関する情報・データの種類を理解し、その収集・分析方法を習得する。
2)都市(地区)の見方や読み取り方、解釈のしかた、着眼点を、講義と演習を通して、実践的に身につけて、活用することができる。
3)1)2)によって、都市空間の解釈・評価を適切に行うことができる。

<授業計画及び準備学習>
以下の通り、進めていく。適宜、演習課題を交えて、実践的に理解できるように実施していく。
また、各回の授業は、教科書に沿って講義する部分と、対象地区を設定して、グループおよび個人で取り組む演習の部分とで構成する。

1.授業の全体像のガイダンス(講義と演習の枠組み・関連性)、都市空間を読み取るということとは?
☆準備学習:教科書のはじめに・目次(教科書pp.i-vii)を読み、理解する。

2.フィールド・サーベイの実践方法(準備、現場でやるべきこと、記録)
【演習0】グループ分けと対象地区の設定
☆準備学習:教科書pp.57-67を読み、内容を理解する。自分のこれまでの現場の見方を再確認する。

3.都市空間における物的要素の読解(建物、土地、道路、自然など)
【演習1】空間を記述して分析する@(まちの気になる良いところ・課題があるところを記述(スケッチ等)する)
☆準備学習:教科書pp.67-73を読み、内容を理解する。p.73にあげられた参考文献から、様々な現場の見方を学ぶ。

4.ヒアリング調査の実施方法(インタビュー、オーラル・ヒストリー)
【演習1】空間を記述して分析するA(@で記述したものをもとに分析する)
☆準備学習:教科書pp.74-79を読み、内容を理解する。人に話を聞く時の心構えを考えてみる。

5.アンケート調査の実施方法(準備、質問紙の作成、回収方法、分析)
【演習2】対象地区の現状を記述する@(まちあるきの結果を記述する)
☆準備学習:教科書pp.79-82を読み、内容を理解する。自ら経験したことのあるアンケート調査の手法を振り返る。自分で課題設定して、アンケートの質問紙を作成してみる。

6.ワークショップの実践方法(準備、ファシリテーターの役割、記録・とりまとめ)
【演習2】対象地区の現状を記述するA(地区の資源と課題を整理して、地図に記述する)
☆準備学習:教科書pp.84-90を読み、内容を理解する。ワークショップとは何か、文献などで調べてみる。身近な地区で機会があれば、ワークショップに参加してみる。

7.地域資源・課題の抽出(現地での調査をまとめるコツ、公表・公開)
【演習2】対象地区の現状を記述するB(現状分析をみんなに伝える(プレゼンテーション))
☆準備学習:教科書pp.91-100を読み、内容を理解する。まちの調査報告書などの成果物を市役所などで探して読んでみる。

8.歴史を知る方法(資料の種類と探し方、資料調査と現場での確認)
【演習3】歴史を重ね合わせて記述する@(歴史がわかる資料を収集して、現場も確認しながら、地図に描く)
☆準備学習:教科書pp.1-18を読み、内容を理解する。身近な地域の歴史を知ることのできる資料を探して、読み取る。

9.地形を読み取る方法(地形図、地図の立体化、地名と地形、地形と自然環境、資料調査と現場での確認、歴史と地形との関係)
【演習3】歴史を重ね合わせて記述するA(時代の変化を記述する)
☆準備学習:教科書pp.19-28を読み、内容を理解する。身近な地域の地形図を入手し、それを手に現地を歩く。

10.土地・建物の状況を知る(土地・建物利用現況調査、土地・建物の状況を地図から読み取る)
【演習4】資料から得た情報を整理して記述する@(人口や都市計画に関する情報を収集、整理して、地図に描く(情報の種類別に))
☆準備学習:教科書pp.29-38を読み、内容を理解する。身近な市区の土地・建物利用現況調査の結果を示した図を探して、読み取る。

11.人々の生活の状況を知る(国勢調査等の調査結果、住宅地図・地籍図、生活と産業)
【演習4】資料から得た情報を整理して記述するA(@で作成したものを重ね合わせながら、地区の分析をして、新たな地図を描く(情報を横断的に))
☆準備学習:教科書pp.39-45を読み、内容を理解する。2年生で学んだ国勢調査の復習をしておく。身近な地域の住宅地図を入手して読み取る。

12.計画・事業の履歴を知る(都市開発に関わる事業、都市計画図)
【演習5】演習1〜4の成果をまとめて、プレゼンテーション素材を作成する。
☆準備学習:教科書pp.46-56を読み、内容を理解する。2年生で学んだ事業手法、都市計画のフレームの復習をしておく。

13.改めて都市空間を調査し、読解することの意味を考える(ディスカッション)
【演習5】プレゼンテーションをして、みんなに担当地区のことを伝える。
☆準備学習:第13回までの講義の内容を振り返り、ノートを整理する。

14.学習成果の振り返り
☆準備学習:期末試験で解けなかった問題について、復習し、正解を考えておく。

<成績評価方法>
演習の成果物や取り組み状況(60点分)、期末試験(40点分)によって成績を評価する。合計が60点以上を合格とする。

<教科書>
「まちの見方・調べ方−地域づくりのための調査法入門」
西村幸夫・野澤康 編著(朝倉書店)

<参考書>
「建築・都市計画のための調査・分析方法」日本建築学会編(井上書院)
「住環境 評価方法と理論」浅見泰司編(東京大学出版会)
その他、教科書に参考文献として紹介されているものを、適宜参照すること。
また、講義の中でも必要に応じて紹介していく。

<オフィスアワー>
火曜日 10:00〜11:00 (新宿キャンパス26階A-2674号室)
それ以外でもメールでの事前連絡により対応する。
E-mail;nozawa@cc.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
なお、講義開始後の入室は原則として認めないので、遅刻厳禁で臨むこと。
できるだけ、同時進行の「まちづくり演習」(まちづくり学科3年前期)の内容と連動する形で進める。
とはいえ、この講義で扱う内容は卒業研究でも使う素養なので、まちづくり学科以外の学生の受講も歓迎する。


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