2017年度工学院大学 第1部機械システム工学科
○技術者の倫理(Engineer's Ethics)[3H06]
2単位 林 真理 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <学位授与の方針>
| 1. 基礎知識の習得 | | 2. 専門分野知識の習得 | | 3. 汎用的問題解決技能 | ◎ | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 技術者倫理に関する入門的な授業を行います。
「技術者倫理」というのは、専門職としての技術者が身につけておくべき行為規範のことです。といっても単に行為規範を覚えればよいというものではありません。もちろん明確なルールは多数存在しており、それらを知って、それに従うということも大切です。しかし、人が直面する問題というものは、単純なルールをあてはめれば解決するようなものではありません。具体的な場面に即して、どのような行為が倫理にかなっているかを判断できるためには、複雑な状況を理解する態度や、様々な人との関係に配慮することが必要になります。そういった思考と判断の基本を身につけるための授業です。 したがって、受身で情報を受け取るだけではなく、授業中自分で考え、積極的に表現することが求められます。
- <受講にあたっての前提条件>
- 特にありません。
- <具体的な到達目標>
- (1)技術者の倫理的判断にとって必要な基礎的知識と考え方を説明することができる。
(2)倫理的思考と判断になじみ、それを具体的な事例に適用できる。 (3)技術者としての責任を果たすため、人間・社会について知り、考えることの重要性を理解する。 JABEE学習教育・到達目標 「機械システム工学プログラム」:(B)◎
- <授業計画及び準備学習>
- 1.技術者倫理の学習にあたって。
本科目の学習内容、到達度、学習方法、課題等について理解する。 準備学習:シラバスを読んでくる。 2.倫理とは何か? 倫理的な考え方について理解する。倫理的な考え方を使って簡単な事例を考察する。 準備学習:教科書第2章を読んでくる。 3.技術、技術者とは何か? 歴史的、社会的な背景をもとにして、技術者について理解する。倫理綱領を読んで考察をする。 準備学習:教科書第3,4章を読んでくる。 4.企業の中の技術者(1):倫理的ジレンマの存在を知る。 様々な具体的な事例に基づいて倫理的ジレンマの存在を理解する。 準備学習:課題を提出する。教科書第5章を読んでくる。 5.企業の中の技術者(2):倫理的ジレンマの対処法の考え方を知る。 仮想的な事例を用いて行動案を考える。意見交換や議論を行い、様々な考え方の可能性を広げる。 準備学習:課題を提出する。教科書第6章を読んでくる。 6.企業の中の技術者(3):倫理的ジレンマの防ぎ方を考える。 ジレンマを防ぐ様々な方法を理解する。Good Workとしての技術者倫理について理解する。 準備学習:課題を提出する。 7.技術者と公衆(1):製造物責任の考え方 具体的な事例をもとに、安全性に関わる技術者の責任について理解する。またリスクの考え方について知る。 準備学習:課題を提出する。教科書第7、9章を読んでくる。 8.技術者と公衆(2):安全性とリスクの考え方 学んだことをもとに事例を巡って意見交換や討論を行い安全性の多面性を理解する。 準備学習:課題を提出する。 9.技術者と世界(1):異文化、多文化と倫理 グローバル化社会の中で起こりうる技術者倫理の問題を理解し、意見交換や討論を行い、考察する。 準備学習:課題を提出する。 10. 技術者と世界(2):国際問題と倫理 科学技術のデュアルユース問題について理解し、意見交換や討論を行い、考察する。 準備学習:課題を提出する 11.技術者と環境 環境問題と技術者の多様な関わりについて理解する。 準備学習:課題を提出する。教科書第10章を読んでくる。 12.技術者と他の技術者:知的財産権の考え方 知的財産に関する基本的な考え方について、技術者の責任と結びつけて理解する。 準備学習:課題を提出する。教科書第8章を読んでくる。 13.技術者と研究:研究倫理の考え方 研究倫理の考え方について理解し、具体的な事例に基づき、意見交換や討論を行い、考察する。 準備学習:課題を提出する。教科書第11章を読んでくる。 14. 授業内容の振り返り 準備学習:授業内容を復習しておく。
- <成績評価方法>
- 授業ごとに出る次週までの課題(計50点)、授業内に行う演習、ディスカッション、小レポート等(計50点)によって評価します。グレードD以上の場合、上記「機械システム基礎工学プログラムの学習・教育到達目標」(B)は達成される。
- <教科書>
- 林・小野里・小野他編著『技術者の倫理 改訂版』(コロナ社 2015年)
- <参考書>
- 特にありませんが、授業中に参考文献を指示します。
- <オフィスアワー>
- 前期は水曜日の11:00-11:30、後期は木曜日の17:30-18:00。新宿キャンパス27F2714室。その他の時間を希望する場合は、ft12153@(以下皆さんと同じ)のアドレスまでメールで問い合わせて下さい。疑問や相談のある場合は、積極的に問い合わせて下さい。
- <学生へのメッセージ>
- すばらしい技術であればあるほど、それが引き起こしかねない問題も重大なものになります。工学院大学で学ぶ皆さんには、人間や社会に関する深い洞察を持ち、技術のすばらしさと問題点の両方を見きわめられる知性を身につけた社会人として巣立って欲しいと思います。
- <参考ホームページアドレス>
- http://inrta.ns.kogakuin.ac.jp/~ft12153/ 授業アンケート結果やそれに対するコメントを掲載しています。
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