2017年度工学院大学 第1部機械工学科 メカノデザインコース

機械工学設計総合演習(Comprehensive Design Exercises of Mechanical Engineering)[1B01]

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2単位
菱田 博俊 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
江澤 良孝 非常勤講師  
奥名 健二 非常勤講師  
田中 克昌 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2018/09/28

<授業のねらい>
2年次までに学んだ機械工学の基礎的な学問を応用して実際の機械を設計し、実際の機械設計には様々な知識が必要である事を体験する事。即ち、4つの課題を通して、基礎的な知識から新しいものを生み出す訓練をする。実際の種々の機械がどのような事を考えて設計されているかを知り、身の回りの機械を見る目が今までと異なってくる事で、機械工学全体の興味が深くなるものと期待する。
 課題はこれまでの科目ごとの講義とは異なり、基礎知識を総合的に応用するな問題である。本年度は、薄板ブラケットの最適設計(江澤)、メカトロ機器の設計(奥名)、ランニングシューズの設計と評価(田中)、鉄琴の設計(菱田)を考え、これらの基本的な設計方法とあわせて加工法などを修得する。

<受講にあたっての前提条件>
2年次までに学んだ機械工学の基礎的な学問である工業力学、材料力学、材料工学、接合工学、機械加工法、製図(図学)等を復習しておく事。また、音響学、感性学、プレゼンテーション等の新しい概念を習うので参考図書等を参考にして予習しておくことが望ましい。

<具体的な到達目標>
・具体的な4つの機械の設計を体感する事。
・関連して、知識から総合的な機械創造演習する事。工学の意味を考え、意義ある工学機械を創造できる様になる事。
・同時に、新しい知識を得る事。
・各課題とも、レポートを作成する。即ち、レポート作成能力を向上させる事。
・レポートによっては、配置や作図等のプレゼンテーション(解って貰える)能力を向上させる事。

JABEE学習・教育目標「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:(E)◎。

<授業計画及び準備学習>
4人の教員が出すテーマについて、(連続2時限×連続3週)×4テーマ=12週掛けて演習する。本年度は、江澤、奥名、田中、菱田(50音順)が担当予定。詳細は3年生用ガイダンスで説明するので、出席する事。そこでスケジュール表も配布する。

江澤:
 薄板構造に生じる応力と変位、及びその計算方法、重量最小の最適設計法等を3DCADにより学習する。薄板構造はあらゆる機械部品で使われている。予め与えられた寸法の範囲内で、荷重条件に対して、応力値と変位を制約した部品の重量を最小とする設計を行う。最小重量を証明する為、重量計算書、応力計算書、製作図面等のレポートを指定の方法で作成、提出する。尚、レポート作成の際には今までに使用した道具は何を使っても良い。
 http://www2s.biglobe.ne.jp/~yyhome/CAD/cad_practice.htmlより事前に資料をダウンロードして印刷してから講義に臨む事。

奥名:
 銀行で利用されるATMを例題にとり、機構の制御や強度設計等を通じて高性能で高信頼なメカトロ機器の設計を体験する。最初にステッピングモータの性質について理解し、機構の性能を最大限に引き出すためのモーター特性について検討する。次に、紙幣の搬送制御を例にとり、基本機能を実現するためのメカトロ機器の制御について学習する。最後に、バネ、歯車や軸の強度設計について具体な事例を例題に設計して設計者として実力をつける。これらの演習のまとめとしてメカトロ部品の設計を行い、レポートとして提出する。

田中:
 ランニングシューズを対象として、機械試験による力学的評価と使用者による官能評価を行うことにより、製品の開発設計に不可欠な評価について学ぶとともに、新たな製品を設計するための提案を試みる。力学的評価では,シューズの衝撃緩衝性を評価するために、着地時の衝撃をシューズに与え、このときの荷重と変形を計測することにより、粘弾性などの力学特性について学習する。また、官能評価を走行試験によって行い、感覚による評価手法について学習する。そして、これらの結果をもとに、必要とされる性能を満たすシューズの設計仕様について考え、これらの内容をレポートとしてまとめる。同時にグループ作業として,シューズの性能を評価するための方法について議論し,よりよいシューズを設計するためのコンセプトについて提案を行う.

菱田:
 自由な発想に基づき、オリジナルの鉄琴を設計し、それを提案(プレゼンテーション)する為の設計書を作成する。初日の講義では物理現象としての音、音程と聴覚、ピタゴラスの音程設計原理、及び現存する様々な鉄琴について説明する。これらを参考にして、先ず用途(主旨・意義・目的)を明確にし、それに対応する音域(音程範囲)や全体形状等をイメージする。そしてそれらを所定のA3用紙×5頁前後に、特に設計した音程を出す鉄琴鍵板の形について正確に、説明文と図面を用いて設計書としてまとめる。

第1回目〜第12回目に上記演習を実施し、第13回目は演習補足や総合討論等を、第14回目は学習内容の振り返りを行う。呼び出しをする可能性もあるので、メールや掲示板を常に注意しておく事。

<成績評価方法>
毎回講義と演習を行う。3回で1課題を学習し、課題ごとにレポートを作成する。各担当者の課題に関する演習レポート、発表、発言内容等を総合的に判断し、理解度をA+、A、B、C、D、Fの6段階で評価する。Grade D以上を合格とする。但し、全ての課題で評価されなければ不合格とする。

<教科書>
指定教科書なし。毎回プリントを配布する。但し、事前に資料ダウンロードを指示されている場合には、それに従う事。

<参考書>
これまで学修した工業力学、材料力学、材料工学、接合工学、機械加工法、製図(図学)等、全てが必要になるので良く復習しておく事。

<オフィスアワー>
江澤・奥名/授業内容に関する質問は、授業後の教室にて受け付ける。
田中/簡単な質問は、授業後の教室にて受け付ける。火曜日12:30〜13:30、新宿校舎A-1776室(スポーツ材料力学研究室)で受け付ける。メールによる問い合わせは随時受け付ける(ktanaka@cc.kogakuin.ac.jp)。
菱田/木曜15:30〜17:00、新宿校舎1714室または人間工学研究室関連各所で受け付ける。メールによる問い合わせは随時受け付ける(at13307@ns.kogakuin.ac.jp)。

<学生へのメッセージ>
これまでに学んだ機械工学の基礎的な科目を応用して実際の機械を設計してみる。設計は総合力であり、これまでの分析的な思考ではなく、全体を組み立てる訓練であり、これまでの科目をよく理解し、実際に応用できるかが問われる。これまでの科目を良く復習しておくことが重要である。


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