2017年度工学院大学 第1部機械工学科

材料力学及演習I(Exercise of Strength of Materials I)[6A02]

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3単位
福田 勝己 非常勤講師  
最終更新日 : 2018/09/28

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
材料力学は,機械構造物の信頼性の確保や性能向上に必須の学問である.機械の実際の強度設計では,応力やひずみの概念を十分に理解し,棒や軸,はりの応力と変形との算出式,また,材料の性質(特性)などがすぐに頭に浮かぶようにしておくことが必要がある.講義終了後に自ら具体的な問題を解き,考え方だけではなく,実際の数値(オーダーや単位)まで身につけて理解を深めることが重要である.
 実際の製品,特に身の回りの簡単に機械構造物を見て,どこがもっとも壊れやすいのか,また,どんな工夫がしてあるのかなどを判断する能力を身につけることも目標の一つである.

<受講にあたっての前提条件>
工業力学及び演習,基礎数学,数学演習などの講義で習得した基礎知識について,十分に理解し,復習しておくことを希望する.

<具体的な到達目標>
実際には,機械部品や機械構造物の強度設計を行う場合には,コンピュータを使用したシミュレーションが主流になっている.しかし,その前に必ず一次近似として手計算で応力の算出を行っている.部品や部材の形状を簡略化して,この手計算で一次近似の応力を算出できるようになり,破壊しないような部品のおおまかな寸法が決定できるよう設計能力を身につけることが本講義の学習目標である.機械工学エネルギー・デザインプログラム;D-2 機械システム基礎工学プログラム;D-1 国際工学プログラム;C-2

<授業計画及び準備学習>
材料力学は,実際の機械構造物の強度設計を行う能力を修得するためには必須の学問である.その名の通り力学であるので,これまでに学習した物理学の力学や工業力学などの基本事項が理解できていないと材料力学を修得することは難しい.材料力学を修得すると,身の回りの機械構造物を見たときに、その信頼性などについて考えることができるようになり,機械構造物の破壊事故の原因などを推定することができるようになる.授業の最後に毎回演習を行うので,演習問題を解きながら基礎事項を理解することが重要である.

<授業計画>
1 材料力学演習への導入
  材料力学の位置づけ,考え方,体系,適用範囲等について学ぶ.材料力学で必要となる数学の復習.
  過去問を例に材料力学問題の捉え方,解き方,計算(有効数字,単位,等)の復習.
2 材料の性質
  棒の引張・圧縮,機械材料の性質,特に応力やひずみについて学習する.簡単な一次元の棒に生じる応力とひ   ずみの計算法を学習する.
3 分布荷重,変断面の棒,不静定な組み合わせ棒の問題
  分布荷重,変断面の場合には微分方程式によるつり合い方程式を作る必要がある.
4 熱応力,組み合わせ棒,締結体
  高温機器に生じる熱応力の考え方,組み合わせ棒に生じる熱応力を学習する.
5 はりの問題,せん断力と曲げモーメント分布図
  代表的な支持方法に対応するせん断力と曲げモーメント分布図の求め方を学習する.
6 はりの曲げ応力
  Bernouilli-Eulerの仮定から,はりの曲げ応力を求める式を誘導する.
7 断面二次モーメント
  はりの曲げ応力を求めるのに必要な断面二次モーメントを学習する.
8 はりのたわみ I
  はりのたわみを用いてはりのつり合い方程式を表す微分方程式を求め,その解法を学習する.
9 はりのたわみII  
  たわみを用いた微分方程式の積分を各種のはりについて実行し,たわみを求める.
10 不静定はり(重ね合わせの原理)
  不静定はりのたわみや応力を,静定はりの結果の重ね合わせで求める方法を学習する.
11 カスチリアーノの定理
  カスチリアーノの定理などを学習する.これらははりだけではなく,軸や棒の問題にも適用できる。
12 軸のねじり,せん断応力
  軸では引張,圧縮の応力とは異なったせん断応力が主に発生することを学習する.
13 コイルばね
  せん断応力の例として軸ばかりでなく,コイルばねにも生じることを学習する.
14 定期試験
  これまでの講義と演習の内容について,もう一度確認・復習する.

<成績評価方法>
講義後に毎回実施する演習の答案を必ず提出すること.成績は,演習のレポートと期末試験の結果とを総合して評価する.レポートを2割,期末試験を8割で評価する.
 上記の採点で合格すれば,機械工学エネルギー・デザインプログラム;D-2  機械システム基礎工学プログラム;D-1 国際工学プログラム;C-2 の水準が満足される.

<教科書>
基礎から学ぶ材料力学 立野、後藤編著(オーム社)

<参考書>
材料力学に関する参考書は,非常に多く出版されており,それらの多くが図書館に揃えられている.それぞれが分かりやすく解説されているので,自分に合った参考書を選び,日頃の学習や演習で分からなくなったときには,教科書や参考書の該当箇所を読み直したり,参考書の類似の例題を参考にしてレポートを提出すること.

<オフィスアワー>
講義と演習との間の時間や演習後の時間.メールによる教員への質問も可.

<学生へのメッセージ>
材料力学は,ものを作る際に非常に役に立つ学問でる.特に,就職試験や各種の資格試験にもよく出題される.基本事項は,何度も繰り返し学習することで深く理解することができる.実戦に即した体系的な講義を通して,材料力学を十分に理解していただきたい.授業には必ず出席し,レポートも必ず提出すること.


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