2016年度工学院大学 教職課程科目

教育原論(Principles of Education)[9014]

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4単位
山中 和由 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
教師になりたい人、教職に何らかの点で興味を持っている人が、教育や学校のあり方について、教育制度や学校経営を学ぶことを通して社会における教育の意義を深く理解し、更に学校教育の現場での経験からも学び、被教育者としての経験を基にした教育に対する考え方を発展させ、自分の教育観や教師像を形成していくことを目標とする。

<受講にあたっての前提条件>
問題意識を持ち、準備学習をしっかりすること。

<具体的な到達目標>
1.現代の教育に関する課題を認識し、表現することができる。
2.教育の諸思想家の考え、近代公教育制度や日本の学校の歴史等について、その基礎的な知識を理解し、現代の教 育課題と関連させて自分の教育観・教師像の形成につなげることができる。
3.日本国憲法や教育基本法など教育における法制度や子どもの権利条約など子どもの教育に関する国際条約を理解し、現代の子どもの教育課題に適用できる。
4.社会における教育の意義や教育制度を学び、学校経営を通して教師の役割を理解し、自分の教育観・教師像に結びつけることができる。
5.受講生の書いた授業で学んだ事・自分の経験や意見のまとめを参考に、自分の教育に対する考えを深めることができる。

<授業計画及び準備学習>
〔前期〕〈教育の思想や学校の歴史、憲法と教育等を学び、教育とは何かについて考える〉
1.教育とは何かを考える(1)。現代の教育課題のいくつかを考える。被教育者としての体験アンケー
  ト実施。
2.教育とは何かを考える(2)。アンケートのまとめ、意見交換を通して教育を考える。
 自分の教育観に関する問題意識をまとめる。
3.教育とは何かを考える(3)。人間の成長・発達の特徴について及び日本の村共同体における子育て
  を考える。 (「やさしい教育原理」新版補訂版P.1〜38)
4.教育の思想と歴史を学び、考える(1)。人間社会と子どものとらえ方など。ルネサンス、
  コメニウスなど。 (「やさしい教育原理」新版補訂版P.39〜47)
5.教育の思想と歴史を学び、考える(2)。人間社会と子どものとらえ方と教育実践。
  ルソー、ペスタロッチなど。 (「やさしい教育原理」新版補訂版P.8〜10,50,51,203〜205)
6.教育の思想と歴史を学び、考える(3)。子どものとらえ方と教育方法の発展。
  フレーベル、ヘルバルトなど。 (「やさしい教育原理」新版補訂版P.251)
7.教育の思想と歴史を学び、考える(4)。子どものとらえ方と教育方法の発展。
  デューイなど。 (「やさしい教育原理」新版補訂版P.168〜173)
8.近代公教育制度について考える(1)。産業革命、公教育の成立など。
  (「やさしい教育原理」新版補訂版P.39〜55)
9.近代公教育制度について考える(2)。公教育制度の各国における発展。
  (「やさしい教育原理」新版補訂版P.39〜55)
10.日本の学校の歴史について考える(1)。日本における公教育制度の始まり。
  (「やさしい教育原理」新版補訂版P.62〜68)
11.日本の学校の歴史について考える(2)。日本における公教育制度の確立。
  (「やさしい教育原理」新版補訂版P.68〜72)
12.日本の学校の歴史について考える(3)。明治後期・大正期・昭和前期の日本の公教育の展開。
  (「やさしい教育原理」新版補訂版P.72〜77)
13.日本の学校の歴史について考える(4)。アジア太平洋戦争後の教育改革及び戦後教育改革の
   修正。 (「やさしい教育原理」新版補訂版P.78〜86)
14.日本国憲法と教育及び教育基本法・学校教育法と教育改革について考える。又、現代の教育課題
   について。 (「やさしい教育原理」新版補訂版P.108,109,242〜247,262〜270,78,79,283〜294)
15.前期のまとめと課題レポート「私の教育観」の提出
〔後期〕〈社会における教育の意義や教育制度等を学ぶとともに学校経営を通して教師のあり方について考え
   る。〉
16.前期課題レポートの講評と問題意識のまとめ及び教育観と社会からの要請について考える。
17.教育の社会的要請について考える(1)。学力のとらえ方と本質的検討など。
   (「やさしい教育原理」新版補訂版P.90〜97)
18.教育の社会的要請について考える(2)。学力の国際調査結果の検討及び今後の学習指導のあり方の検討
   など。  (「やさしい教育原理」新版補訂版P.97〜98)
19.教育の社会的要請について考える(3)。学校の基本的な役割としての進路指導(キャリア教育)と
   社会的自立。
20.教育の制度について考える(1)。教育行政の組織と運営、教育委員会制と地方自治体、教育行政と
   学校の法制など。(「やさしい教育原理」新版補訂版P.81〜82)
21.教育の制度について考える(2)。教師に求められるもの、教師の社会的責任と服務、教師の力量とは。
   (「やさしい教育原理」新版補訂版P.177〜193)
22.教育の制度について考える(3)。教員養成の制度。その原則、教員免許制度、教員に求められる資質
   など。  (「やさしい教育原理」新版補訂版P.178〜181)
23.教育の制度について考える(4)。子どもをどうとらえるか、子どもの権利の歴史、子どもの権利条約
   と教育など。(「やさしい教育原理」新版補訂版P.233〜241,304〜313)
24.学校経営について考える(1)。学校の意義と制度、学校のあり方と教員の仕事など。
   (「やさしい教育原理」新版補訂版P.168〜174)
25.学校経営について考える(2)。教育課程とは何か。その編成原理と類型など。教育課程に関する
   制度、教育課程編成力など。
   (「やさしい教育原理」新版補訂版P.117〜132,81,82,88〜90,281,282,295〜304)  
26.学校経営について考える(3)。授業の意味、授業をつくる過程、授業のあり方など。
   (「やさしい教育原理」新版補訂版P.194〜202,151〜168)
27.学校経営について考える(3)。授業力とはなにか。その向上について。教育評価の目的と課題、教育評価   の変遷とあり方など。 
   (「やさしい教育原理」新版補訂版P.133〜149,194〜202,151〜168)
28.学校経営について考える(3)。生徒指導・生活指導、学校行事の意味。
   (「やさしい教育原理」新版補訂版P.〜,)
29.授業のまとめ。この授業を通して自分の教育観や教師像がどのように変化したかを現代の教育課題と
   関連させてまとめ、提出する。試験について。
   (「やさしい教育原理」新版補訂版P.237,256〜258,263)
30.学習成果の確認(試験)及び講評。最終まとめ。

◎準備学習:各時間ともテーマに関係する教科書の該当ページ(主なものを上記)及び事前配布の資料を読み、疑問 点や自分の考えをまとめておく。

<成績評価方法>
前期課題レポート(30%)、試験(40%)、授業時の提出物,グループ討論などでの発言及び授業内発表等(30%)

<教科書>
田嶋一・中野新之祐・福田須美子・狩野浩二著「やさしい教育原理」新版補訂版
有斐閣アルマ 2011

<参考書>
必要に応じて示す。

<オフィスアワー>
授業前後 教室又は講師室

<学生へのメッセージ>
皆さんには、厳しい社会の現実の中で、人間と教育の明るい未来を語る人になって欲しいと思います。それは、教育に対して自分が抱いている問題意識を大事にして、教育の現状をよく見て、教育の歴史から学び、互いに意見を交換することを通して、自分の教育観や教師像を創っていくことで可能になります。そのような授業を共に創っていきたいと思っています。


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