2016年度工学院大学 教職課程科目

物理学総論(Introduction to Physics)[4601]

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2単位
渡部 勇 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
物理学は、実験や自然観察と数学を用いた論理展開の双方に基づいてこの世の仕組みを明らかにしようという学問であり、また化学・生物・地学や工学等の他分野を理解する上での基本法則を与える役割も果たす。
この授業では、理系教員として必要な物理学の基礎的な素養を身に付けることをねらいとする。
物理学の対象となる現象は広範囲に及ぶが、ここでは距離の2乗に反比例する中心力の下での運動を例に取り、古典力学と量子力学の双方について具体的な問題の解法を学ぶ。
数学的な取り扱い方法を具体的に体得する事も重要であるが、全てを原理から説明しようとする物理学の方法論を理解する事が一番大切である。

<受講にあたっての前提条件>
授業中にも微積分とベクトルについて解説するが、高等学校等で学習した基礎的な数学を理解していること。

<具体的な到達目標>
(1)古典物理学と量子力学の成立の歴史を理解できる。
(2)古典力学の下での惑星運動の基本法則を理解できる。
(3)古典力学の下での惑星運動を定量的に計算できる。
(4)量子力学の下での水素原子の電子の表現を理解し、簡単な計算が実行できる。

<授業計画及び準備学習>
1.物理学の成立と歴史
 準備学習:天動説と地動説について調べる。地動説が正しいと言える理由を考える。
2.数学の準備1:微分
 準備学習:微分の元々の意味について調べる。偏微分と全微分について調べる。
3.数学の準備2:積分
 準備学習:積分の元々の意味について調べる。グラフの面積と積分の関係について考える。
4.数学の準備3:ベクトルと座標系
 準備学習:三角関数について調べる。三角関数の加法定理を調べる。
5.ケプラーの法則とケプラー方程式
 準備学習:ケプラーの3法則について調べる。太陽系の惑星の公転周期と軌道長半径の値を調べる。
6.ニュートンの運動方程式
 準備学習:ニュートンの3法則について調べる。万有引力の法則について調べる。
7.エネルギー保存則と角運動量保存則
 準備学習:ベクトルの内積と外積について調べる。
8.惑星運動のシミュレーション1・オイラー法の直交座標と極座標
 準備学習:極座標について復習しておく。
9.惑星運動のシミュレーション2・テイラー展開とルンゲクッタ法での高次計算
 準備学習:テイラー展開について調べる。
10.量子力学の成立と歴史
 準備学習:量子力学について調べる。
11.ボーア模型と水素原子のスペクトル
 準備学習:水素原子について調べる。電磁気学のクーロンの法則について調べる。
12.シュレーディンガー方程式
 準備学習:力学的エネルギー保存則について復習しておく。
13.角運動量の量子論と球面調和関数
 準備学習:フーリエ級数展開について調べる。
14.水素原子の波動関数
 準備学習:原子軌道について調べて、図を見付けておく。
15.学習成果の確認(試験)
 準備学習 :これまでの学習全般について復習する。

<成績評価方法>
期末試験(50%)、平常点(30%)、冬休みレポート(20%)を総合して評価する。
期末試験は試験期間に実施する。
平常点は、毎週提出を求める課題の内容で評価する。

<教科書>
指定教科書なし。適宜プリントを配布する。

<参考書>
加藤 潔著「理工系物理学講義(改訂版)」(培風館)
天文年鑑編集委員会編「天文年鑑2016年版」(成文堂新光社)

<オフィスアワー>
授業の前後に講師室(高層棟12階A-1211室)で受け付ける。
電子メール(kt13229@ns.kogakuin.ac.jp)でも随時受け付ける。数式を含む返信にはPDFファイルを添付する場合がある。

<学生へのメッセージ>
(1)この現実世界が数学的モデルで理解出来るという事自体の素晴らしさと不思議さに感動して欲しい。
(2)第5回と第8〜9回授業では、関数電卓か表計算ソフトウェア(Excel等)を使用する。数値計算が出来る道具どれか一つを持参すること。また、冬休みレポートでも、それ等を使う具体的計算問題を出題する。


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