2016年度工学院大学 第2部情報通信メディア工学科
△法学A(日本国憲法1単位含)(Law A)[3V08]
2単位 高橋 基樹 非常勤講師
- <授業のねらい>
- 法を学ぶとは何か。法とは、基本的には、「〜すべし」というルールであり、それに従わなかった場合には国家権力による強制もしくは制裁が加えられる。すなわち法学とは、「何が正義か」を探究する学問である。本授業では、私たちの人権を保障する憲法を中心に日本の統治機構を学び、基礎的な法的知識および法的思考を身につけてもらうことをねらいとする。憲法は私たちの人権をよりよく保障するために、国家機関に権力を授け、かつそれが暴走しないように一定の制限を定めている。こうした憲法の意義を理解し、その上で、国家と国民との関係について考えることのできる能力を養成することを目指す。
本授業は、講義中心に行う。原則、本授業ではレジュメを配布し、それに沿って授業を進めるが、状況によってPower PointやDVD等を用いた授業を行うこともある。その他、授業に必要な資料はプリントして配布する。また必要に応じて、授業の最後にその日の復習問題を提示し、それに対する回答を授業中の指名で求めることや、授業に沿ったテーマに関するレポートを課すことも予定する。
- <受講にあたっての前提条件>
- 本授業は、現在話題となっている問題も新聞記事等をトピックスとして取り上げることを予定する。そのため、日頃から社会問題に関するニュースや新聞、雑誌等に関心をもって授業に参加することが望ましい。法律学の知識を特に有している必要はない。
- <具体的な到達目標>
- ・憲法が定めている国家の統治機構の役割を理解する。
・現代社会における憲法問題(人権問題・政治問題など)に日本の統治機構がどのように対応しているかを考え、実社会における憲法的視野を広げる。 ・現代社会における憲法問題に対し、自身がどのように取り組むべきかについて、自ら考え、解決方法を探る能力を身に着ける。
- <授業計画及び準備学習>
- 第1回 法とは何か・憲法とは何か
法・憲法の意義を解説する。 準備学習:「法」の存在の意味について、考えてくる。 第2回 日本国憲法史(大日本帝国憲法と日本国憲法) 現行憲法の基本原理について解説する。 準備学習:教科書286〜297頁を熟読し、現行憲法の特徴を見出す。 第3回 国民主権とは何か、日本国憲法における「国民主権」 現行憲法が保障する基本原理の1つである「国民主権」の意味について解説する。 準備学習:教科書171〜175頁を熟読し、「主権が国民に存する」という意味を理解する。 第4回 参政権の保障と日本の選挙制度 「国民主権」の行使のために、主権者として政治に参加する国民の意味を解説する。 準備学習:教科書176〜186頁を熟読し、日本国憲法が保障する「参政権」の意味を理解する。 第5回 国会議員の拘束と一票の格差問題 国民から選ばれた代表者である国会議員の役割について解説する。 準備学習:教科書186〜193頁を熟読し、国会議員の選出方法およびその役割について理解する。 第6回 国会と内閣の関係1(権力分立の原理と行政権・立法権の区別) 国政運営の中心である行政権・立法権を区別する意味について解説する。 準備学習:教科書194〜201頁を熟読し、「行政」および「立法」の意味を理解する。 第7回 国会と内閣の関係2(国会の権能) 国政運営における国会の役割について解説する。 準備学習:教科書201〜203頁を熟読し、国会がどのような活動を行っているかを理解する。 第8回 国会と内閣の関係3(内閣・首相の地位) 国政運営における内閣の役割について解説する。 準備学習:教科書204〜213頁を熟読し、内閣がどのような活動を行っているかを理解する。 第9回 裁判所の役割1(司法権の意味と範囲) 立法・行政と並ぶ国家作用の1つである「司法」について解説する。 準備学習:教科書216〜230頁を熟読し、裁判所がどのような活動を行っているかを理解する。 第10回 裁判所の役割2(裁判員制度) 一般市民が関わる司法制度について解説する。 準備学習:教科書231〜236頁を熟読し、一般市民が裁判に関わる裁判制度の問題点を理解する。 第11回 裁判所の役割3(憲法訴訟) 基本的人権の尊重のために作用する裁判所の役割について解説する。 準備学習:教科書237〜254頁を熟読し、裁判所と憲法との関係を理解する。 第12回 日本国憲法が定める地方自治の法制度 住民が地域の未来を自ら決めることのできるための憲法規定について解説する。 準備学習:教科書255〜268頁を熟読し、「地方自治」の意味を理解する。 第13回 平和主義 日本国憲法が規定する平和主義の意味について解説する。 準備学習:教科書269〜285頁を熟読し、平和主義を掲げる日本国憲法の特徴を理解する。 第14回 世界から見た日本国憲法・学習内容の振り返り 世界各国の憲法と日本国憲法のちがいについて、比較して解説する。 準備学習:世界各国の憲法について各自で調べ、日本国憲法の独自性について理解する。 第15回 学習成果の確認(試験) 準備学習:前回までの総復習を行う。
*その他、準備学習として、授業の最後に提示する復習問題を確認した上で次回の授業に臨むこと。授業のはじめに前回の復習を行うことがある。
- <成績評価方法>
- 学期末筆記試験(70%)、授業参加度その他(30%)の割合で評価する。60%以上の評価に達した場合に単位を認める。成績評価方法及び水準の詳細については、第1回目の授業において説明するので、必ず出席すること。
- <教科書>
- 大津浩・大藤紀子・高佐智美・長谷川憲『新憲法四重奏』(有信堂・2015年)
六法(種類は特に問わない)
- <参考書>
- 芦部信喜著(高橋和之補訂)『憲法 第6版』(岩波書店)
浦部法穂『憲法の本 改訂版』(共栄書房) 安念潤司・小山剛・青井美帆・宍戸常寿・山本龍彦『論点日本国憲法』(東京法令出版) 上記以外は講義中に紹介する。
- <オフィスアワー>
- 講義開始1時間前は非常勤講師室、講義終了後は教室。
- <学生へのメッセージ>
- 授業内で取り上げる法学をめぐるトピックスについては、受講者の希望をできる限り取り入れたいと考えているので、随時提案してほしい。
- <備 考>
- 授業内容については、授業の進捗を勘案して適宜調整することがある。また受講者の習熟度によっては、授業内容を変更することもある。
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