2016年度工学院大学 第2部情報通信メディア工学科
△宗教論A(Religious Studies A)[3S04]
2単位 田口 博子 非常勤講師
- <授業のねらい>
- 死者供養についての諸研究を精読することを通して、死者の救済とは何か、そして死者の共同体における位置について、自分なりの見解を得ることを目標とします。
- <受講にあたっての前提条件>
- とくにありませんが、慰霊に関するニュースや記事に関心を向けるようにしてください。
- <具体的な到達目標>
- 副題:死者の救済と共同体における死者の位置
8月15日が近づくと諸外国、特に近隣諸国のメディアの視線が注がれる慰霊の場があります。その場に象徴されるように、戦没者慰霊祭祀は戦死者の顕彰、あるいは国家ナショナリズムを涵養するものとして語られてきました。ところがアジア・太平洋戦争が終結して70年あまり。この慰霊祭祀は転換期を迎えています。戦没者「遺族」世代が少なくなり、慰霊のありかたは今後どのように変化して行くのか。またその記憶を継承して未来に資するにはどのようにしたらよいのか。 今学期はこの問題についての理解を深め、「家族」「地域」「国家」という、レヴェルの異なる共同体における慰霊の系譜を考察したいと思います。
- <授業計画及び準備学習>
- 1. 導入
準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 2. 『死者の救済史』第一章 苦しむ死者と日本の民衆宗教:(1)日本人の他界観 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 3. 『死者の救済史』第一章 苦しむ死者と日本の民衆宗教:(2)仏教の役割 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 4. 『死者の救済史』第二章 仏教説話集に見る死者の救済:(1)祀りと供養 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 5. 『死者の救済史』第二章 仏教説話集に見る死者の救済:(2)供養と調伏 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 6. 『死者の救済史』第三章 供養システムの深化と定着:(1)日本仏教の葬祭化 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 7. 『死者の救済史』第三章 供養システムの深化と定着:(2)顕彰の系譜 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 8. 『社会的宗教と他界的宗教のあいだ』―公共における死者祭祀:(1)祖先祭祀と英霊祭祀 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 9. 『社会的宗教と他界的宗教のあいだ』―公共における死者祭祀:(2)死者のリアリティー 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 10.『慰霊の系譜』:(1)近代国家と死者の「記憶」の問題 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 11.『慰霊の系譜』:(2)戦後地域社会における戦争死者慰霊祭祀 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 12.『慰霊の系譜』:(3)東日本大震災による被災死者の慰霊施設 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 13.『慰霊の系譜』:(4)慰霊、継承、教訓の場としての御巣鷹の尾根 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 14.『慰霊の系譜』:(5)変質する慰霊行事 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、次週に提出。 15.『慰霊の系譜』:(6)「慰霊の系譜」と「慰霊研究の系譜」 準備学習:授業に対するリアクションペーパーを作成し、所定の期日までに提出。
- <成績評価方法>
- (1)評価方法:レポート(3000字程度)とリアクションペーパー(毎回提出)による評価。
(2)成績の配分:レポート80%、リアクションペーパー(15回)15%、授業への貢献度5%で評価。ただしリアクションペーパーに「〜が分かりました」、「理解できませんでした」とだけ記してあるものは評価の対象外とします。
- <教科書>
- ・授業時にプリントを適宜配布します。
- <参考書>
- ・授業で講読する著書は以下の通りです。
池上良正、『死者の救済史−供養と憑依の宗教学』、角川書店(角川選書) 末木文美士、『日本仏教史−思想史とアプローチ』、新潮社(新潮文庫) 津城寛文、『社会的宗教と他界的宗教のあいだ−見え隠れする死者』、世界思想社 村上興匡・西村明[編]、『慰霊の系譜−死者を記憶する共同体』、森話社
- <オフィスアワー>
- 水曜6限、授業の前後(教室)
- <学生へのメッセージ>
- 受講者の関心により、テキストを一部変更する可能性があります。
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