2016年度工学院大学 先進工学部機械理工学科

生物学(General Biology)[6310]

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1単位
鈴木 基文 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
生物学は、この世にある全ての生きもの(生命)の学問である。それは分子生物学を基盤にした生命科学であり、食品・健康・医療・環境と密接に関連している。すべての生物(生命)は細胞からなり、その細胞は無生命の種々の分子の集まりであるが、生命特有の性質(生命の本質;Nature of Life)をもっている。本授業のねらいは、生命の本質となる自己複製する「遺伝子DNA」と二つになることを夢みる「DNAを包む細胞」にある普遍性と多様性の二面性を理解することである。また、遺伝子情報発現の調節機構、細胞間相互作用、シグナル伝達系などについて、細胞や分子レベルで理解する。さらに、環境保全問題や医療問題に関連する生物多様性および生命哲学(生命倫理、環境倫理など)について理解を深める。

<受講にあたっての前提条件>
生物学に関心があること。

<具体的な到達目標>
到達目標は以下の通りである。(1)生命には歴史があり、生命の分子的基礎となる生体分子は多様な化学構造をもつことを認識し、その生物学的意義を理解する。(2)細胞の生存・分裂・増殖・分化を細胞周期、アポトーシス(細胞死)、がん化と関連させて、細胞レベル及び分子レベルで理解する。(3)個体の発生や再生について細胞および分子レベルで理解できる。(4)生体の恒常性(免疫系、内分泌系、神経系)について細胞および分子レベルで理解できる。(5)生物と環境との相互関係に基づく生態および進化について理解できる。(6)生命科学における生命哲学、生命倫理および環境倫理の重要性について理解できる。

<授業計画及び準備学習>
1. 「生命とは」 生命の本質について考える。その入り口として、生命のある「いきもの」の学問である生物学の歴史を学ぶ。分子生物学の誕生から生命科学への発展過程を知り、生命科学における生物学の意義について学ぶ。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
2. 「生命と分子」 生命を担う分子としてDNA、RNA、タンパク質、糖鎖および脂質の構造と機能ならびに遺伝情報の流れ(生命のセントラルドグマ)について学ぶ。また、生命分子の普遍性と多様性について学ぶ。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
3. 「生命と細胞」 生命が遺伝子DNAを包む細胞からなり、その細胞には多様性があることを学ぶ。遺伝子DNAの複製、細胞分裂と細胞周期、増殖とがん化について学ぶ。遺伝子の転写、翻訳、突然変異および修復機構について学ぶ。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
4. 「生命の連続性」 遺伝、生殖、発生および再生について学ぶ。核移植、ES細胞やiPS細胞に関連した再生医療や生命倫理について考える。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
5. 「生命の恒常性」 免疫系、内分泌系、脳神経系について学ぶ。これら3つの系の細胞間における分子シグナルの伝達機構、自己と非自己を識別する免疫系の異物排除機構や感染防御機構などを理解する。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
6. 「生命と環境」 生命の進化と系統、生態系について学び、生物多様性や環境保全について考察する。
準備学習:次回の講義のためのプリントを配布しますので、講義前までに予習する。
7. 「学習を振り返る」 本授業で学んだ生物学の工学との関係について考察する。

<成績評価方法>
定期試験のみで評価する。
Grade D以上の者に単位を認める。

<教科書>
指定教科書なし

<参考書>
「生命科学入門」 丸山工作、丸山 敬 著 (東京教学社)
 「ニューステージ 新生物図表」 浜島書店編集部 (浜島書店)
 他の参考書は授業にて紹介します。

<オフィスアワー>
授業終了後、教室にて質問を受けます。

<学生へのメッセージ>
プリントを中心に授業を行います。生物学は種々の幅広い分野を包含するので、基幹となる項目から様々な分野にどのように繋がっているかを伝えたいと思います。授業で、生物学に関する時事ニュース、有名な科学者の伝記、科学の啓蒙書などを紹介し、生物学に興味をいだくきっかけをつくりたいと思っています。原則として毎回、授業のテーマに関する基本用語の理解度テストを行います。基本用語については、定期試験で再確認いたしますので、復習しておいてください。


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