2016年度工学院大学 先進工学部応用物理学科

応用力学II(Applied Mechanics II)[4G30]

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2単位
渡部 隆史 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
応用力学Iで学んだ内容を踏まえ、解析力学を使って力学原理を理解し、問題を解くことを学ぶ。また、解析力学を道具として量子力学への道筋を辿っていき、最終的にハミルトン‐ヤコビ偏微分方程式からシュレディンガー方程式を導出を理解する。
講義は
  1. 一般化された座標・運動量の導入
  2. ラグランジュ形式とハミルトン形式
  3. 正準変換
  4. 古典力学から量子力学への飛躍

の4要素からなる。

<受講にあたっての前提条件>
1年次履修科目である「微分」,「積分」,「偏微分」,「重積分」,「線形代数1,2」などの数学科目,「物理学1,2」などの物理学科目を受講していること。

<具体的な到達目標>
  • 任意の質点系のラグランジアンが定義できる。
  • ラグランジアンを使って運動方程式を解析的に書き下すことができる。
  • ハミルトンの正準方程式が理解できる。

<授業計画及び準備学習>
  1. 座標と座標変換
    デカルト座標,極座標を題材に,速度,加速度などの具体的な物理量を使って座標変換の復習を行う。
    [準備学習] デカルト座標と極座標の座標変数を理解する。行列と逆行列の関係を復習する。教科書1〜11ページを熟読する。
  2. 一般化座標
    具体的な座標系を一般化,抽象化し一般化座標を理解する。また,一般化運動量,一般化された力を学ぶ。
    [準備学習] デカルト座標と極座標を使って,座標変換を復習する。教科書11〜19ページを熟読する。
  3. ラグランジュ方程式
    ラグランジアンを定義し,デカルト座標における具体的な質点系の運動を使って,それぞれのラグランジアンを設定することを学ぶ。ラグランジアンを用いてラグランジュ方程式を書き下す。
    [準備学習] デカルト座標などの具体的な座標系を使って,運動量,運動エネルギー,ポテンシャルを復習する。教科書21〜27ページを熟読する。
  4. 回転座標系でのラグランジュ方程式
    慣性系に対して回転する座標系では慣性力が現れる。このニュートンの運動法則ではやや複雑な内容がラグランジュ形式の解析力学では自動的に含まれることを学ぶ。
    [準備学習] デカルト座標におけるラグランジアンの設定,ラグランジュ方程式の書き下しを復習する。教科書27〜36ページを熟読する。
  5. 変分原理
    作用積分を考え,変分原理の意味するところを理解する。
    [準備学習] ラグランジアンの定義を確認する。自由落下運動などの具体的な例を使って,ラグランジュ方程式からニュートンの運動方程式を求める。教科書36〜41ページを熟読する。
  6. 仮想仕事の原理と変分原理
    仮想仕事の原理を理解し,作用積分と変分原理の関係を学ぶ。
    [準備学習] ラグランジアンを用いて定義される作用積分が変分原理を満たすことを確認する。教科書41〜48ページを熟読する。
  7. ハミルトンの正準方程式
    ハミルトニアンを定義し,ハミルトン形式の解析力学を学ぶ。
    [準備学習] 一般化座標,一般化運動量の内容を確認する。ラグランジアンを復習する。教科書53〜62ページを熟読する。
  8. ポアッソン括弧と保存量
    ポアッソンの括弧を定義し,演算練習を行う。ハミルトンの正準方程式をポアッソン括弧を用いて表す。
    [準備学習] ハミルトニアンを復習し,1次元調和振動子などの具体的な例題を使ってハミルトニアンを書き下す。教科書62〜64ページを熟読する。
  9. 位相空間
    配位空間と位相空間において運動の時間発展がどのような形で表現されるかを学ぶ。また,運動の時間発展がリウヴィルの定理によって説明されること学ぶ。
    [準備学習] ベクトル演算を復習し,ベクトル積などの演算練習をする。教科書64〜74ページを熟読する。
  10. 正準変換
    正準共役変数の変換性を学び,ハミルトン力学形式の統計力学への広がりと量子力学への進展を誘導する。
    [準備学習] 教科書74〜86ページを熟読する。
  11. 量子力学への導入
    ハミルトン-ヤコビの偏微分方程式を導きだす。新しい正準共役変数について作用変数と角変数を定義し,これより量子化の導入を学ぶ。
    [準備学習] ハミルトニアンを復習し,1次元調和振動子などの具体的な例題を使ってハミルトニアンを書き下す。教科書89〜93ページを熟読する。
  12. エネルギーの量子化
    水素原子を例にボーアの仮説によりボーア-ゾンマーフェルトの量子化条件を導く。エネルギーとエネルギー固有値について学ぶ。
    [準備学習] クーロン力による円運動を極座標で表す。「前期量子論」について調べる。教科書93〜106ページを熟読する。
  13. 量子力学の基礎方程式
    粒子の運動にド・ブロイの波動性を取り入れ,シュレディンガー方程式を学ぶ。また,シュレディンガー方程式のもつ物理学的意味を考える。
    [準備学習] 古典的波動方程式を確認し,波動関数や波に関する物理量を復習する。2階の偏微分方程式の解法を確認する。例題,類題を解く。教科書109〜117ページを熟読する。
  14. 学習内容の振り返り
    [準備学習] これまでの13回の講義内容を復習する。

<成績評価方法>
期末試験の成績をもとに理解度をGradeで評価する。Grade D以上を合格とする。

<教科書>
「解析力学(裳華房フィジックスライブラリー)」(久保謙一:裳華房)

<参考書>
[読物] 「なっとくする解析力学(なっとくシリーズ)」(都筑卓司:講談社)
[標準] 「古典力学 上・下(物理学叢書)」(ゴールドスタイン,ポール,サーフコ:吉岡書店)
[標準] 「量子力学を学ぶための解析力学入門(KS物理専門書)」(高橋康:講談社)
[上級] 「力学(ランダウ=リフシッツ理論物理学教程)」(ランダウ,リフシッツ:東京図書)
[上級] 「解析力学I, II(朝倉物理学大系)」(山本義隆,中村孔一:朝倉書店)

<オフィスアワー>
金曜日 12:40~13:50 (八王子キャンンパス総合教育棟 01W-332)

<学生へのメッセージ>
質問は歓迎する。オフィスアワー以外の時間でも歓迎するが必ず居室にいるとは限らないので,その場合にはE-mailを利用するか事前にアポイントメントを取るように(ft11196[at]ns.kogakuin.ac.jp)。


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