2016年度工学院大学 先進工学部応用物理学科

応用力学I(Applied Mechanics I)[3D22]

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2単位
疋田 光孝 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
本授業科目は応用物理の基礎知識の一つで、材料、構造等の強度や変形に関する静力学の基本的事項から、変形に起因する振動、更に振動の伝搬すなわち波動に関する動力学の基本事項までを含んでいる。初めに固体、気体中のひずみと応力の関係や弾性定数(ヤング率、ポアソン比、体積弾性率)、フックの法則等の基本的な静力学を学ぶ。更に時間的に変化するひずみや応力を生ずる振動の基礎を勉強する。また、時間と共に振動が伝搬する波動や波等の動力学の基礎も習得する。

<受講にあたっての前提条件>
本科目を履修するに当たり、微分、積分、線形代数1, 2, 3, 4、物理学1, 2、複素関数論を履修し合格しておくことが望ましい。本科目で履修した内容は、電磁気学などと同様に工学の基本を形成し、回路理論や制御工学などの専門科目の履修においても基礎知識として役立つものです。

<具体的な到達目標>
本授業の目標は、工学上良く直面する比較的簡単な力学上の課題を解決し、振動や波動を用いた物理的な測定装置、機械的な測定装置などの設計や試作を行なうことが出来るようになることです。

<授業計画及び準備学習>
1. ガイダンスと静力学1(a):初めに「応用力学」の位置づけ、学習内容、他の科目との関連付け等に関して説明する。静力学の基礎である固体中のひずみと応力について学ぶ。1年次の物理学を復讐しておくこと、また授業資料の「ひずみと応力」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
静力学1(b):固体の弾性変形を記述するフックの法則、固体の弾性的性質を体系的に記述するヤング率(弾性定数)、ポアソン比に関して学ぶ。授業資料の「フックの法則」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
2. 静力学1(c):弾性変形の応用として「ひずみゲージ」に関して学ぶ。物理定数表(理科年表)から定数を選定し、ロボットハンド等を想定し用いるひずみゲージの設計を行い、制御用出力信号等を導出する。授業資料の「ひずみゲージ」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
静力学2(a):回転運動の基礎に関して学ぶ。直線運動を記述するニュートンの運動方程式から質点の回転運動を導く。変位、速度、加速度と角変位、角速度、角加速度の各関係を学ぶ。授業資料の「回転運動の基礎」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
3. 静力学2(b):回転運動する質点の運動方程式を基本に、トルク、仕事、動力を導出する。また、質点の慣性モーメントを学び、慣性モーメントを用いた回転体の運動方程式を導出する。授業資料の「質点の回転運動」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
静力学2(c):モーターの回転子(ローター)を例に、連続物体(剛体)の慣性モーメントを導出する(特に3重積分に関して学ぶ)。簡単な例について、連続物体の回転の運動方程式を解くことで具体的に把握する。授業資料の「連続物体の回転運動」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
4. 静力学2(d):モーターを例に、連続物体(剛体)の回転の運動方程式からモーターのトルク、モーターから取り出せる動力を導出する。モーターの回転数とトルクの関係、トルクと駆動電流の関係等を導き、最大効率条件等を求める。授業資料の「回転体のトルクと回転数」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
動力学1(a):動力学の基礎として、振り子の運動を学ぶ。運動方程式に小振幅の振動近似を導入することで2階の微分方程式を導出する。2階の微分方程式に正弦波、余弦波を用いた実時間解法を適用し固有振動解を求める。授業資料の「振り子の運動(1)」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
5. 動力学1(b):2次微分方程式に複素指数関数を用いた一般的解法を適用し固有振動解を求める。オイラーの公式より、複素指数関数と正弦波、余弦波による表現は等価であることを学ぶ。授業資料の「振り子の運動(2)」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
動力学1(c):振動の応用として、スプリング(バネ)−マス(質量)振動系を学ぶ。バネ定数の概念と発生する力の関係を把握し、運動を表す2階の微分方程式を導出する。正弦波、余弦波による解法結果と複素指数関数による解法結果を比較する。授業資料の「スプリング−マス振動系」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
6. 動力学2(a):無限長スプリング−マス系の振動に関して学ぶ。バネによる応力と質点の加速に起因する力をニュートンの方程式に導入し、座標と時間に関する2階の微分方程式を導出する。微分方程式が物理的には、振動の伝搬に対応することを概念として把握する。授業資料の「無限長スプリング−マス振動系」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
動力学2(b):変数分離法による座標と時間に関する2階の微分方程式の解法を学ぶ。正弦波、余弦波による解法結果と複素指数関数による解法結果を比較し、物理的にはどちらも振動(波動)の伝搬を表すことを学ぶ。授業資料の「無限長スプリング−マスを伝搬する振動」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
7. 動力学2(c):無限長スプリング−マスと空気の膨張/圧縮の対比から体積弾性率、粒子速度、音圧を学ぶ。また、無限長スプリング−マスの2階の微分方程式より、空気中を伝搬する音に関する2次微分方程式を導出する。授業資料の「無限長スプリング−マスから空気の振動へ」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
動力学2(d):音に関する2階の微分方程式を正弦波、余弦波による解法と複素指数関数による解法で求め、物理的にはどちらも音の伝搬を表すことを学ぶ。ニュートンの運動方程式の「動力速度力」より、音による伝搬エネルギー(ポインティングベクトル)は「粒子速度音圧(W/m2)」で与えられ、微分方程式の解から求まることを学ぶ。授業資料の「空気中を伝搬する音」関係を予習しておく。ホームワークを行い復習する。
本回は、「全学習内容の振り返り」も実施する。

<成績評価方法>
授業中の中間試験4回(各100点満点)と期末試験(100点満点)の点数を各々1/5:1/5:1/5:1/5の比重で配合し合計点が60点以上を合格点とする。ただし、無断欠席は3までとし、4回以上は履修放棄と見なす。

<教科書>
授業の初日に、用いる授業資料を配布します。

<参考書>
中山正敏、“基礎力学”、裳華房
原島 鮮、“力学1 –質点・剛体の力学”、裳華房
後藤憲一、“詳解 力学演習”、共立出版
今井 巧、“演習力学”、サイエンス社
など

<オフィスアワー>
八王子:
金曜日12:30-13:20 @ 講師室
新宿:A1778室
火曜日 18:00-19:00
水曜日 16:00-18:00
木曜日 16:00-18:00

<学生へのメッセージ>
基礎的なことから例題を用いて丁寧に説明しますが、分からないことがあったら、授業中に積極的に質問して下さい。毎回ホームワークを出しますので、次週に提出して下さい(学んだことはその週の内に理解して下さい)。本科目は、将来社会に出てから、技術者として必要な基本的な知識の一つともなります。


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