2016年度工学院大学 先進工学部応用物理学科
△物理計測(Physical Metrology)[2G32]
2単位 森田 真人 特任助教
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 | | 5. 創成能力 |
- <授業のねらい>
- 応用物理ならびに理工学全般に関わる基本技術となる計測の基礎を学ぶ。計測の概念と必要性、計測値の取り扱いや評価方法(誤差、精度、不確かさ)、単位系・標準器(トレーサビリティ)といった基本を習得する。
- <受講にあたっての前提条件>
- とくにない。
- <具体的な到達目標>
- 電気磁気・光・物質計測の3分野について計測の原理を解説し、それらに用いられるセンサ(熱、磁気、光、真空)、計測器(テスタ、オシロスコープ、分光器)、信号処理技術(AD/DA変換、フーリエ変換)を学ばせる。最後に計測・分析システム全般まで講義する。この講義では,電気・電子計測における基礎的な項目の理解を深めることを目標とする.
- <授業計画及び準備学習>
- 1.計測の基礎(1)
物理計測とはなにか、その必要性と応用の実際について理解し、今後の講義内容修得の基礎とする。これに加え、計測の基本方式である偏位法と零位法の違い、感度・分解能・ダイナミックレンジなど、計測器の性能の表し方を学ぶ。 2.計測の基礎(2) 計測には誤差がつきものである。それを正しく理解したうえで計測結果を扱うことが重要である。この回では計測の誤差とその表現方法、および計測器が計測対象に及ぼす影響(負荷効果)について修得する。 3.物体の計測(1) 計測の基本単位を表わす度量衡単位について、その定義と変遷を学ぶ。次いで、距離(長さ)の計測、長さの計測を学ぶ。 4.物体の計測(2) 物体の動きや振動(変位・角度・速度・加速度)の計測、力・トルク・動力の計測を学ぶ。また、圧電素子や加速度センサーなど各計測に利用される電子デバイス等の原理について学ぶ。 5.状態量の計測(1) 同じ物体でも、その状態を把握することも計測の一種である。この回では応用物理学において頻繁に利用される圧力計測について学修する。流体圧力というが、とくに真空を計測する技術を重点的に学ぶ。 6.状態量の計測(2) 状態量でもう一つ重要な温度の計測を学ぶ。温度とは何か、その物理化学的な意味や高温〜低温それぞれの温度領域での計測技術を扱う。また、温度を計測するセンサー類(熱電対など)の原理も学ぶ。 7.物質の計測(1) 物質の計測は「分析」と呼ばれる分野である。1回目は機器分析の概要として、その原理を学ぶ。次いで、元素の測定方法(分光分析)、気体の測定方法(各種センサなど)を学ぶ。 8.物質の計測(2) 物質計測の2回目はより複雑な化合物の分析方法を学ぶ。食品添加物、環境汚染物質、医療方面での化学検査、放射線計測の概要とその原理について修得する。 9.信号処理(1) 多くの計測は物体に何らかの形でエネルギーを与え、それに対する物体の反応を光、電気などの信号として記録することによって行われている。計測において信号の変換や処理は重要な要素である。1回目は計測量の電気信号への変換方法(光センサ、音響センサ)、および電気信号のアナログ計測と処理について修得する。 10.信号処理(2) 計測情報は最終的に電気信号として記録することが多い。さらに、近年のコンピュータ技術の発展に伴って殆どがディジタル信号として記録される。2回目はアナログ信号からディジタル信号への変換(A/D変換)、ならびにディジタル信号処理について学ぶ。 11.計測の信頼性とデータの取り扱い(1) 計測値の信頼性は計測の目的に応じて適切に把握しておかなければならない。計測の分野では「不確かたさ」と表現されるが、この不確かさの考え方、各種不確かさの合成について学ぶ。 12.計測の信頼性とデータの取り扱い(2) 計測値の信頼性はその不確かさがどこまで遡って検証できるのか、ということと同じ意味である。これをトレーサビリティと呼び、各種の標準、定義、基準値が設けられている。2回目はトレーサビリティについて学ぶ。 13.計測・分析システム(1) 計測・分析システム全体を学び、これまでに学修してきた各種要素がどのように使われているのかを理解する。第1回は電子顕微鏡を採りあげ、計測原理・ハードウェア等について学ぶ。 14.計測・分析システム(2) 2回目は元素分析システムの一種である、二次イオン質量分析装置(SIMS)について学ぶ。SIMSは半導体産業では多用されている手法でるので、物理計測手法としてだけではなく、実際の物質・材料開発における計測・分析の意義や課題点を把握する。 15.学修成果の確認(試験)
準備学習: 毎回、次回講義の教科書の範囲を熟読すること。なお、講義で使用する資料を予め電子教材として配布するので、それも活用して予習すること。
- <成績評価方法>
- 期末試験の点数(100点満点)により評価する。なお、欠席が5回を超える者は履修放棄とみなす。
- <教科書>
- 「はじめての計測工学」 講談社(ISBN: 978-4-06-156511-1)
- <参考書>
- なし。
- <オフィスアワー>
- 毎週火曜日 17:00〜18:00 (ただし、事前に連絡のこと)
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