2016年度工学院大学 先進工学部環境化学科

移動現象(Transport Phenomena)[4G29]

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2単位
高羽 洋充 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
並木 則和 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
移動現象論は粘性流体の運動量移動(流動)、各種形態の熱移動(伝熱)、拡散等の物質移動(分離)について取り扱う基礎工学の一つであり、これら三つの移動現象を統一した考え方で取り扱う学問である。本講義では流動、伝熱の基礎的理論を理解し、流体を輸送するための所要動力を計算する手法や、熱交換器を設計する手法を学び、さらにこれら設計方法を、今日の地球環境問題(地球温暖化、省資源、省エネルギーなど)の解決法として利用できる能力の修得を目指す。

<受講にあたっての前提条件>
本講義の内容を良く理解するために「移動現象演習」も併せて受講することを強く推奨する。
数学および物理的要素が多いので、1、2年次に習った数学、物理学を良く復習しておくこと。

<具体的な到達目標>
粘性流体の運動量移動(流動)、各種形態の熱移動(伝熱)、拡散等の物質移動(分離)についての基礎理論を理解すること。流体を輸送するための所要動力を計算する手法や、熱交換器を設計する手法を修得すること。

<授業計画及び準備学習>
1. 流動(1) 流体力学の基礎となる静水力学での圧力および流体の粘性・圧縮性について理解する。
準備学習:シラバス中の該当部分についてテキストの掲載内容を確認しておくこと。
2.流動(2) 理想流体のエネルギー保存則である連続の式およびベルヌイの式を理解する。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
3. 流動(2) 円管内の層流、乱流;無次元数であるレイノルズ数の仕組み、臨界レイノルズ数の意味を学び、層流、乱流の違いを理解する。微小区間の運動量収支から層流の速度分布式を誘導する。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
4. 流動(3) 乱流速度分布の普遍的表示式;乱流の表示方法および円管内乱流の構造を理解し、代表的な速度分布を表わす指数速度分布式と対数速度分布式を学ぶ。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
5. 流動(4) 円管内流れの摩擦損失;円管内流れの摩擦によるエネルギー損失を理解する。ファニングの式を誘導し、層流、乱流の摩擦係数の算出法について学ぶ。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
6. 流動(5) 流体輸送の所要動力;摩擦損失係数の導入を理解し、機械的エネルギー保存の法則から流体輸送の所要動力を求める式を誘導する。また様々な流体輸送機について説明する。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
7. 中間総合演習(流体)
準備学習:1〜6週の小テストおよび演習の復習を行うこと。
8. 伝熱(1) 平板状固体壁の伝導伝熱;一次元定常熱伝導におけるフーリエの法則を学び、物質による熱伝導度の違いを確認する。
準備学習:シラバス中の該当部分についてテキストの掲載内容を確認しておくこと。
9. 伝熱(2) 円筒状個体壁の伝導伝熱;円筒状固体壁の伝導伝熱における対数平均面積の導入を理解する。
準備学習:前回の講義内容を復習しておくこと。
10. 伝熱(3) 対流伝熱;固体壁表面と流体間の熱移動機構を学び、境膜および有効境膜の考え方、境膜伝熱係数を用いた熱伝達式の応用を理解する。また熱貫流と総括伝熱係数について学ぶ。
準備学習:前回の講義内容を復習しておくこと。
11. 伝熱(4) 境膜伝熱係数の推算;次元解析により無次元式を誘導し、対流伝熱に関係する無次元数の意味を理解するとともに様々な場面における境膜伝熱係数を推算する方法を学ぶ。
準備学習:前回の講義内容を復習しておくこと。
12. 伝熱(5) 熱交換器の設計;向流型、並流型の違いを理解し、熱収支、対数平均温度差、伝熱面積など熱交換器の設計に必要な項目、設計手段を学ぶ。多管式熱交換器の構造を説明し、平均温度差に対する補正を理解する。
準備学習:前回の講義内容を復習しておくこと。
13. 伝熱(6) 放射伝熱、地球温暖化;固体からの放射伝熱の機構を学び、地球温暖化との関係を理解する。放射伝熱に関するプランクの法則、ウイーンの法則、ステファン・ボルツマンの法則などを理解する。
準備学習:前回の講義内容を復習しておくこと。
14. 授業の振り返り
   準備学習:小テストおよび演習の復習を行うこと。
試験期間中に期末試験(伝熱)を行う。

<成績評価方法>
成績は、中間試験および期末試験(70%)、小テスト(30%)により総合的に評価し、到達目標に照らして、6段階のGrade(A+,A,B,C,D,F)で評価し、D以上の者に単位を認める。

<教科書>
「基礎化学工学」化学工学会編 培風館
適宜補助プリントを配布する。

<参考書>
「図解伝熱工学の学び方」、北山 直方 (著)、オーム社

<オフィスアワー>
高羽洋充:金曜日16時00分〜17時00分 場所:12号館210号室
並木則和:木曜日19時30分〜20時00分 場所:12号館207号室

<学生へのメッセージ>
複雑な現象でも数式でモデル化することで本質から理解することができます。数式が多く出てきますが計算自体はそれほど難しいことはありませんので最後まで理解できるよう努力して下さい。


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