2016年度工学院大学 先進工学部環境化学科
△社会思想A(Social Thoughts A)[1K53]
2単位 木下 ちがや 非常勤講師
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | ◎ | 4. 道徳的態度と社会性 | | 5. 創成能力 |
- <授業のねらい>
- アジア・太平洋戦争の敗北という壊滅的な打撃を経て、戦後の日本は「平和国家」として出発することになった。二つの原爆の投下は戦後の日本国民に強烈な「核アレルギー」をもたらすことになった。にもかかわらず、なぜ日本は50数基もの原子力発電を有することになったのか?この歴史的背景を、冷戦と高度成長、開発主義という文脈から考え、3・11の原発震災以後の日本の原子力政策のゆくえを考えていくのがこの授業の目的である。
- <受講にあたっての前提条件>
- 日本における原子力発電の開発と普及については、もっぱら経済的な要因から論じられることが多い。他方で原子力発電の開発と普及の歴史は、戦後日本政治の社会統合の特殊な在りようを示している。この授業では原子力の「政治史」と銘打ち、原子力をテーマに戦後日本政治の特殊な構造を論じていく。
- <具体的な到達目標>
- 本授業は、戦後日本の政治・経済史についての一定の知識を前提とする。この授業では原子力政策をめぐる政治をとりあげつつ、戦後日本の歴史そのものの理解を深めていくことを目標とする。
- <授業計画及び準備学習>
- *何度かの授業で、ドキュメンタリーあるいは核に関連する映画を鑑賞する。
主に以下のことをテーマに、授業をおこなっていく。
【第一回】導入 【第二回】戦時下の日本の核開発 【第三回〜第六回】占領下から独立へ―原発導入のシナリオ 【第七回〜第八回】日本のサブカルチャーにおける「核」−「ゴジラ」 【第九回〜第十〇回】高度成長から開発主義へ―原子力の本格的起動 【第十一回】日本は、スリーマイルとチェルノブイリをどう受け止めたのか 【第十二回】冷戦からグローバル化へ―日本の核政策の「転換」から福島の原発事故へ 【第十三回〜十四回】3・11以後の原発政策―岐路に立つ日本 【第十五回】試験あるいはレポート
- <成績評価方法>
- 学期末に行う試験あるいはレポートと、および授業中におこなう小レポートでおこなう。変更がある場合は授業中に指示する。なお2015年度入学の1年生については、GradeD以上の者に単位を認
める。
- <教科書>
- 特に指定しない
- <参考書>
- 以下の文献をもとに、授業を行っていくので、参考にせよ。
吉岡斉『原子力の社会史―その日本的展開』、朝日新聞出版、2011年 吉岡斉『原発と日本の未来―原子力は温暖化対策の切り札か』、岩波ブックレット、2011年 朝日新聞特別報道部、『プロメテウスの罠―明かされなかった福島原発事故の真実』、朝日新聞社、2012年 小熊英二・木下ちがや共編『原発を止める人々―3・11から官邸前まで』、文藝春秋社、2013年。
- <オフィスアワー>
- 各授業後の教室にて。
- <学生へのメッセージ>
- とにかくおおまかにでも歴史的な事実を知ることが大事です。講義で興味をもったら、こういうものを読んだらいいというアドバイスをしますので、聞いてください。 なお、授業中、必要なコミュニケーション以上の私語を行っていると判断した場合には、ただちに退席してもらいます。
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