2016年度工学院大学 先進工学部応用化学科

論理学A(Logic A)[1K57]

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2単位
田村 慶一 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
わたしたちがともかくも思考していることは事実です。とはいえ,論理的であるとはどういうことか,あるいは,論理とは何かを知らないままに,またそうしたことを意識的,自覚的に考えたことがないままになってはいないでしょうか。問題を解決しよう,目標を達成しようと努力しているときであっても,人間の思考活動は必ずしも論理的であるとは限りません。しかし,日常生活においても,科学的研究においても、理にかなった思考をすることが必要であり大切であるということは強調するまでもないでしょう。理にかなった思考のためには、思考が理にかなっているかどうかを理解し確認できなくてはいけません。論理的思考について反省してみることが必要になってきます。「思考についての思考」が問題となるところに「論理学」は登場します。
 この講義は、「論理的に思考する」ということに意識的、自覚的になることをめざして、論理学の基本的な理論と技術を習得することを目的とします。
 内容としては、概念、命題、推理について古代ギリシア以来の伝統的論理学に即して学んでいきます。具体的な到達目標の各項目を達成できるように学習を進めてください。

<受講にあたっての前提条件>
はじめて論理学を学ぶための授業です。特に前提とすべき既習事項はありませんが、新しい論理学用語が毎回のように出てきますので、それらの用語を正しく理解し覚えていこうとする学習意欲が必要です。

<具体的な到達目標>
1.概念の論理的な働きを概念の内包と外延として説明できる。
2.命題と推理を形式に注目して類別できる。
3.推理の妥当性を推理の形式と関連づけて理解し判定できる。
4.定言命題と定言三段論法を図式で表現し、推理の妥当性の判別に役立てることができる。
5.自分の考えを論理的に整理し理路整然と述べるために、論理学的な知識を活用することができる。

<授業計画及び準備学習>
下記の順で講義中心に各回の授業を進めます。授業では毎回、しめくくりとしてポイント確認のための小問題を出題し回答してもらいます(授業時間の都合により、練習問題プリントを配布し復習課題とすることもあります)。この小問題(または練習問題プリント)について模範解答はしませんが、授業ノートを見れば正解が確認できるはずです。
 この授業ではテキストを使用しません。練習問題プリントを配布することもありますが、プリントは授業ノートの代わりにはなりません。毎回の授業では、板書などを手がかりにしてしっかりノートをとるようにしてください。
 準備学習は復習が大切です。各回の授業について授業ノートを中心に復習し、次回の授業に備えてください。ポイント確認の小問題(または練習問題プリント)にまちがいなく正解できるようになれば復習完了です。

第1回 論理学とは
    準備学習:「論理的に考える」ということについて自分がどのように理解しているか、簡単な文章にまとめておく。
第2回 概念:その内包と外延
    準備学習:論理学の対象と観点、論理学の法則とその特性、論理学における「形式化」について復習し、簡潔な説明としてまとめておく。
第3回 定義・区分・分類
    準備学習:概念の見分け方、概念の「内包」と「外延」、その両者の関係について、例をあげて簡潔に説明できるようにまとめておく。
第4回 概念の相互関係と分類
    準備学習:概念の様々な定義・区分・分類を一覧できるような表を作成する。
第5回 命題(判断):命題の真偽と命題形式
    準備学習:「上位概念(類概念)と下位概念(種概念)」という分類について復習し、両者の外延どうしの関係に注目し、例をあげて説明できるようにまとめる。また、両者の内包どうしの関係に注目し、例をあげて「類」と「種」と「 種差」を説明し、さらに発展させ「ポルピュリオスの木」まで説明できるようにまとめておく。前回授業時に配布(予定)した確認問題プリントを学習し、概念についての理解を再確認する。
第6回 定言命題とオイラーの図式
    準備学習:命題の特性として真偽という二値性についてポイントをまとめておく。命題の組み立てと分類について一覧できるような表を作成する。
第7回 推理:その妥当性と組み立て
    準備学習:4種の定言命題について、それぞれの名称・略記号と命題型を確認し覚える。命題型に応じて定言命題で主張されていることがらをオイラー図に描けるように練習する。
第8回 直接推理:定言命題の対当関係
    準備学習:推理の組み立て、演繹的推理と蓋然的推理、演繹的推理の妥当性について復習し、簡潔な説明としてまとめておく。演繹的推理についての伝統的な分類を一覧できるような表を作成する。
第9回 間接推理:定言三段論法
    準備学習:定言命題どうし間にどのような対当関係が成り立つかを確認し、「対当の正方形」を描いて覚える。前回授業時に配布(予定)した確認問題プリントを学習し、特に定言命題についての理解を確実なものにする。
第10回 定言命題の存在的意味
    準備学習:前回授業時に配布(予定)した例題プリント中の定言三段論法について、それぞれを伝統的な記号法で記号化し、その「格式」を識別できるように練習する。
第11回 ヴェンの図式:対当関係の再検討
    準備学習:授業ノートを再読し、特に全称命題について、伝統的な解釈と現代的な解釈との相違を確認しておくこと。
第12回 ヴェンの図式:定言三段論法の再検討
    準備学習:4種の定言命題のヴェン図を描くことができるようにしておく。また、その図から矛盾対当の関係が簡単に読み取れることを確認する。
第13回 総復習のための例題演習と試験前の確認
    準備学習:配布してある定言三段論法の例題プリントを使い、定言三段論法を記号化しその「格式」を識別できるように、特にヴェン図を描いて妥当性の判定ができるように練習しておく。
第14回 学習内容の振り返り
    準備学習:定期試験で解けなかった問題について説明や解き方を考えておく。

<成績評価方法>
毎回の授業に出席すること、授業中のポイント確認小問題(または練習問題プリント)に回答すること、以上は点数として評価するものではありませんが、成績評価を受けるための前提です。単位の認定は原則として学期末定期試験の成績によるものとし、成績が60点以上である場合に単位を認めます。ただし、2015年度以降の入学者については、成績がDランク以上である場合に単位を認めます(基準となる成績評価方法では不合格であっても、プリント課題等の達成度が十分であると認められる場合にDランクとして評価します)。

<教科書>
指定教科書はありません。
授業時に適宜、確認問題プリント、練習問題プリント、例題プリント等を配布する予定です。

<参考書>
平野耿編『思考の回路−論理学ABC−』(富士書店)
沢田允茂著『考え方の論理』(講談社学術文庫)
山下正男著『論理的に考えること』(岩波ジュニア新書)

<オフィスアワー>
授業終了後に教室または兼任講師室で。

<学生へのメッセージ>
念のための確認ですが、効果的な学習環境を確保するために、対象学科・学年の履修についても制限する場合があります。


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