| 2016年度工学院大学 情報学部
 
 
○電気回路理論演習I(Practice on Circuit Theory I)[5222]
 1単位
 古   博 助教
 
 
<授業のねらい>電気回路に関する問題を解きながら電気回路理論の理解を深めると共に、その応用能力を養うことを目標とする。 毎回、本科目の直前の講義科目である「電気回路理論I」の内容に沿って演習問題を授業中に解き提出。回答例は次週の授業中に示す。計算力や回路変形のセンスを要求されるケースも多く、数多くの問題に触れる。また実際の就職試験等で出された問題も解いてみる。
<受講にあたっての前提条件>・分数計算は間違いなくできること。・三角関数の計算ができること。(高校で学んだ三角関数の復習をしておくことが望ましい)
 ・複素数の基本的な計算ができること。
 ・複素数のベクトル表示(複素平面)を理解していることが望ましい。
<具体的な到達目標>・抵抗の合成抵抗値を導出できる。・回路についての基礎的な法則や定理を理解する。
 ・回路図を数式で表し解析できる。
 ・様々な回路網の解析法を使える。
 ・正弦波交流の瞬時値表示、実効値表示の違いを理解し、与えられた波形から導出できる。
 ・正弦波交流における電圧・電流・インピーダンス等の複素表記が理解できる。
<授業計画及び準備学習>それぞれの回において、本科目の直前の講義「電気回路理論T」で学んだことに関する演習問題を3〜4問解き、提出。
 提出した用紙は次週に返却し、解答例とともに解説を行う。
 
 1.【電気の基本・電流・電圧・抵抗・電圧降下と逆起電力の概念】
 電圧とは、電流とは、抵抗とは、電気回路図の表し方。
 抵抗に加える電圧、流れる電流の関係(オームの法則)を理解し、オ
 ームの法則を使って計算ができるようにする。
 
 2.【キルヒホッフの法則・抵抗回路の合成抵抗】
 合成抵抗の式導出や回路解析に必要な基本的な法則の1つであるキル
 ヒホッフの法則(電圧則、電流則)を理解する。電気回路図に徐々に
 慣れると共に、基本的な抵抗の  並列・直列接続の式の導出をでき
 るようにする。
 また、基本的な合成抵抗の式を用い、抵抗を任意の状態で接続(直
 列、並列、それらの混合)したときの合成抵抗を自由に計算できるよ
 うにする。
 
 3.【抵抗による分圧、分流】【電圧計・電流計・電源:1】
 抵抗を用いて電圧や電流を分配できることを理解し、分圧の公式、分
 流の公式を導けるようにし、これらの式を自由に使いこなせるように
 する。
 計測器や電源に内部抵抗が存在することを学ぶ。
 電圧計、電流計にそれぞれ「分圧」、「分流」を応用することで、本
 来の許容値以上の電圧、電流を測定できることを理解する。
 
 4.【電圧計・電流計・電源:2】
 前回の講義の続き。計測器や電源に内部抵抗が存在することを学び、
 電圧計、電流計にそれぞれ「分圧」、「分流」を応用することで、
 許容以上の電圧、電流を測定できることを理解する。
 電池のつなぎ方(直列・並列)による内部抵抗の影響を理解する。
 
 5.【電流と電力】
 抵抗体に電流が流れると熱(ジュール熱)が発生することを学び、電
 力について学ぶ。効率よく電力を供給する条件(最大消費電力)につ
 いて学び、電源の内部抵抗と負荷抵抗の関係と最大消費電力の関係を
 理解し、条件を導けるようにする。
 
 6.【回路解析・回路方程式:1】
 キルヒホッフの法則を理解し、回路網解析法を解析例を通して学ぶ。
 (枝電流法、ループ電流法)
 これによりより複雑な電気回路を解析できるようにする。
 
 7.【回路解析・回路方程式:2】
 前回の講義の続き。
 キルヒホッフの法則を応用し、回路網解析法を解析例を通して学ぶ。
 (ループ電流法、接点方程式法)
 これによりより複雑な電気回路を解析できるようにする。
 
 8.【電圧源・電流源・テブナンの定理・ノルトンの定理】
 電源に電圧源、電流源が有ることを学び、任意の回路網が1つの抵抗
 と1つの電源(電圧源あるいは電流源)で表せることを理解し、これ
 らの変換を自由にできるようにする。また、その他の電気回路の定理
 についても学ぶ。
 
 9.【相反定理・補償定理・重ね合わせの定理】
 回路解析の手法の1つである重ね合わせの定理について学び、自由に
 使えるようにする。
 
 10.【Δ−Y変換、Y−Δ変換、対象回路、ホイートストンブリッジ】
 抵抗の特別な場合の接続法(Δ接続、Y接続)の変換を学ぶ。
 ブリッジ回路について学び平衡条件を導けるようにする。
 
 11.【正弦波交流:振幅・角周波数・初期位相・位相差】
 交流回路を学ぶ上での基本的な概念を学び理解する。
 特にこの講義以降頻繁に三角関数が出てくるので十分な数学的な復習
 や理解が必要となる。
 
 12.【正弦波交流:瞬時値・実効値】
 交流回路を学ぶ上での基本的な概念を学び理解する。
 瞬時値や実効値を理解し、計算できるようにする。
 
 13.【LRCの基本的性質】
 コイルやコンデンサの交流回路での働きを十分理解する。
 複素数と正弦波交流の複素数表示・複素インピーダンス、複素アドミ
 ッタンス複素数を用いることで、コイルやコンデンサが直流回路にお
 ける抵抗と同様に扱えることを学ぶ。
 
 14.学習内容の振り返り
<成績評価方法>授業に出席していることが成績評価の前提。(出席日数が2/3以上のこと)毎回の授業での提出物の評価が25%、期末試験の結果が75%とし、成績をA+からFの6段階に評価し、D以上の者を合格とする。
<教科書>無し授業中に問題を示す。
<参考書>・電気回路教本 秋月影雄、橋本洋志[オーム社]・基本からわかる電気回路:西方正司 監修、岩崎久雄、鈴木憲史、鷹野一朗、松井幹彦、宮下収「オーム社]
 ・テキストブック電気回路:本田徳正[日本理工出版会]
 ・電気学会大学講座「電気回路論 2版改訂」:平山 博 大附辰夫 共著、(電気学会)[オーム社]
<オフィスアワー>金曜日13:30〜14:30,八王子校舎5-602室にて質問等を受け付ける.※連絡用メールアドレスなど,詳しいことは初回授業時に知らせる.
<学生へのメッセージ>最近の学生の傾向として、つまらない計算ミスが非常に目立ちます。頻繁に計算を行うので、つまらないところでミスの無いように。 多くの問題を自分で考えて、必ず紙に書きながら最後まで(答えの単位まで)答えを出すようにして下さい。
 また授業中にやった問題で、自分が間違えたところは理解するまで、こだわって下さい。
 三角関数、複素数など苦手分野は早めに復習しておくことを勧めます。(学習支援センターの活用)
 
 
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