2016年度工学院大学 情報学部
○電気回路理論I(Circuit Theory I)[5129]
2単位 根岸 和義 非常勤講師
- <授業のねらい>
- 電気回路の理論は、電磁現象を形式化し、複雑な電磁現象を簡単に取り扱えるようにした理論体系と言うことができる。簡単な電気回路から、コンピュータ、スマートフォン、通信関連の回路などのトランジスタやICなどを応用した複雑な電子回路まで、全ての電気・電子回路の基本となるため、この講義内容を十分に理解することが必要である。本講義では、直流回路についての基礎的事項、交流回路の基礎的事項について学ぶ。
- <受講にあたっての前提条件>
- ・分数計算は間違いなくできること。
・三角関数の計算ができること。(高校で学んだ三角関数の復習をしておくことが望ましい) ・複素数の基本的な計算ができること。 ・複素数のベクトル表示(複素平面)を理解していることが望ましい。
- <具体的な到達目標>
- ・抵抗の合成抵抗値を導出できる。
・回路についての基礎的な法則や定理を理解する。 ・回路図を数式で表し解析できる。 ・様々な回路網の解析法を使える。 ・正弦波交流の瞬時値表示、実効値表示の違いを理解し、与えられた波形から導出できる。 ・正弦波交流における電圧・電流・インピーダンス等の複素表記が理解できる。
- <授業計画及び準備学習>
- 1.【電気の基本・電流・電圧・抵抗・電圧降下と逆起電力の概念】
電圧とは、電流とは、抵抗とは、電気回路図の表し方。 抵抗に加える電圧、流れる電流の関係(オームの法則)を理解し、オ ームの法則を使って計算ができるようにする。
2.【キルヒホッフの法則・抵抗回路の合成抵抗】 合成抵抗の式導出や回路解析に必要な基本的な法則の1つであるキル ヒホッフの法則(電圧則、電流則)を理解する。電気回路図に徐々に 慣れると共に、基本的な抵抗の 並列・直列接続の式の導出をでき るようにする。 また、基本的な合成抵抗の式を用い、抵抗を任意の状態で接続(直 列、並列、それらの混合)したときの合成抵抗を自由に計算できるよ うにする。
3.【抵抗による分圧、分流】【電圧計・電流計・電源:1】 抵抗を用いて電圧や電流を分配できることを理解し、分圧の公式、分 流の公式を導けるようにし、これらの式を自由に使いこなせるように する。 計測器や電源に内部抵抗が存在することを学ぶ。 電圧計、電流計にそれぞれ「分圧」、「分流」を応用することで、本 来の許容値以上の電圧、電流を測定できることを理解する。
4.【電圧計・電流計・電源:2】 前回の講義の続き。計測器や電源に内部抵抗が存在することを学び、 電圧計、電流計にそれぞれ「分圧」、「分流」を応用することで、 許容以上の電圧、電流を測定できることを理解する。 電池のつなぎ方(直列・並列)による内部抵抗の影響を理解する。
5.【電流と電力】 抵抗体に電流が流れると熱(ジュール熱)が発生することを学び、電 力について学ぶ。効率よく電力を供給する条件(最大消費電力)につ いて学び、電源の内部抵抗と負荷抵抗の関係と最大消費電力の関係を 理解し、条件を導けるようにする。
6.【回路解析・回路方程式:1】 キルヒホッフの法則を理解し、回路網解析法を解析例を通して学ぶ。 (枝電流法、ループ電流法) これによりより複雑な電気回路を解析できるようにする。
7.【回路解析・回路方程式:2】 前回の講義の続き。 キルヒホッフの法則を応用し、回路網解析法を解析例を通して学ぶ。 (ループ電流法、接点方程式法) これによりより複雑な電気回路を解析できるようにする。
8.【電圧源・電流源・テブナンの定理・ノルトンの定理】 電源に電圧源、電流源が有ることを学び、任意の回路網が1つの抵抗 と1つの電源(電圧源あるいは電流源)で表せることを理解し、これ らの変換を自由にできるようにする。また、その他の電気回路の定理 についても学ぶ。
9.【相反定理・補償定理・重ね合わせの定理】 回路解析の手法の1つである重ね合わせの定理について学び、自由に 使えるようにする。
10.【Δ−Y変換、Y−Δ変換、対象回路、ホイートストンブリッジ】 抵抗の特別な場合の接続法(Δ接続、Y接続)の変換を学ぶ。 ブリッジ回路について学び平衡条件を導けるようにする。
11.【正弦波交流:振幅・角周波数・初期位相・位相差】 交流回路を学ぶ上での基本的な概念を学び理解する。 特にこの講義以降頻繁に三角関数が出てくるので十分な数学的な復習 や理解が必要となる。
12.【正弦波交流:瞬時値・実効値】 交流回路を学ぶ上での基本的な概念を学び理解する。 瞬時値や実効値を理解し、計算できるようにする。
13.【LRCの基本的性質】 コイルやコンデンサの交流回路での働きを十分理解する。 複素数と正弦波交流の複素数表示・複素インピーダンス、複素アドミ ッタンス複素数を用いることで、コイルやコンデンサが直流回路にお ける抵抗と同様に扱えることを学ぶ。
14.学習内容の振り返り
- <成績評価方法>
- きちんと授業に出席し講義を聴いていることが成績評価の前提。
期末試験の結果をA+からFの6段階に評価し、D以上の者を合格とする。
- <教科書>
- 電気回路教本 秋月影雄、橋本洋志[オーム社]
- <参考書>
- ・基本からわかる電気回路:西方正司 監修、岩崎久雄、鈴木憲史、鷹野一朗、松井幹彦、宮下収「オーム社]
・テキストブック電気回路:本田徳正[日本理工出版会] ・電気学会大学講座「電気回路論 2版改訂」:平山 博 大附辰夫 共著、(電気学会)[オーム社]
- <オフィスアワー>
- 授業の前後 教室にて質問を受け付ける。
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