2016年度工学院大学 情報学部情報デザイン学科

情報デザイン先端技術(Technical Topics of Information Design)[2E29]

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2単位
蒲池 みゆき 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
現代社会において、情報に関する技術は、我々が日常生活を送る上で欠かせないものである。しかしながら、情報に関する技術は広範囲にわたっており、分野だけではなく、研究開発のフェーズも、基礎研究から応用、さらには実用化、商品開発まで多岐にわたっている。本講義では、社会の第一線でご活躍されている講師を大学外部からお招きして、オムニバス形式で講義を進める。本講義を通して、情報に関するさまざまな分野の知識と研究開発に触れ、自らの視野を大きく広げてもらいたい。

<受講にあたっての前提条件>
各講義分野について、事前によく調べ講義に臨むこと。質問時間がある場合には積極的に質問すること。
毎回ノートを必ず取ること。

<具体的な到達目標>
各回の講義を通して、情報が関係するさまざまな分野の研究、開発状況やその方法論を学修し、他の講義に活かすこと。また就職、大学院への進学を考えるヒントを得ること。

<授業計画及び準備学習>
(初回に説明した日程変更の修正済)

1.9月13日 情報デザイン先端技術概要
この授業の進め方、予習復習内容と講師についての説明を行う。
担当教員: 蒲池みゆき

2.9月20日 講師:坂本真一(株式会社 オトデザイナーズ、代表取締役)
  講義題目:聴覚心理学と音が伝わる技術 〜研究成果の実用化と起業〜
  内容:日本の聴覚心理学研究は古い歴史を持ち、世界的に知られる数多くの研究成果を産み出してきているが、これらの研究成果が実用化された事例は数少ない。本講義では、聴覚心理的知見の産業応用を目指して創業された(株)オトデザイナーズの事例を基に、研究成果の産業応用に関する問題点などを議論したい。
参考図書:「オトデザイナーが教える!伝わる技術(WAVE出版)」「サウンドと
オーディオ技術の基礎知識(リットーミュージック)」

担当教員: 近藤公久

3.9月27日 講師:野澤昭雄(青山学院大学,准教授)
  講演題目: 製品設計と感性計測
  内容:現代は「人間重視」「感性社会」などの語句が頻出するほどに,製品や情報シス テムにおける「感性」の重要性が認識され,「感性」はヒトに関わるシステムにおいて考 慮すべき最重要事項とも言われています。近年は,製品の性能評価や嗜好評価に関して, 従来のアンケートを中心としたマーケティング手法に加えて,より客観的な指標としての 「感性」に注目が集まっています。感性とは「感覚から心理までの情報処理過程の個人 性」を意味し,人間そのものと言えます。この講義では,人間の心と身体のメカニズムを通 じて人間の感性を科学的に理解すると共に,快適感・ストレス・嗜好等の様々な感性の定 量的かつ客観的な評価方法と,その製品開発への応用例をご紹介します。
 
  担当教員: 田中久弥

4.10月4日 講師:谷岡健吉(東京電機大学、客員教授)
講義題目:超高感度HARP撮像管の発明と応用
内容:HARP撮像管とは、非晶質セレン半導体の光電変換膜に強い電界をかけた時に生じるアバランシェ(電子なだれ)増倍による感度増加現象の発見を基に開発した超高感度撮像デバイスである。講義では、HARP撮像管の発明の経緯を述べるとともに、この撮像管の放送や医学研究などでの活用例を動画を用いて紹介する。また、40年にわたる自らの研究経験を基に、発見、発明に大事なセレンディピティ(serendipity)を高めるための技術者、研究者の心の持ち方についても触れたい。

担当教員:合志清一

5.10月11日 講師: 内山俊朗(筑波大学 芸術系、准教授)
  講義題目:デザインと創造力
  内容:デザインに関わる仕事をしていると「なぜそのようなユニークなものをつくることができるのか?」とクライアントに尋ねられることがよくある。また「自分には新しいものをつくる才能がなく創造力に自信がない」とデザインを学ぶ学生から相談を受けることもよくある。このような人たちと話をすると、デザインには生まれ持った才能が必要で、創造力は鍛えることができないと信じているケースが多いことに気がつく。本講義では、プロダクトデザイン、インタラクションデザインの制作プロセスを通して、それらにはポイントやコツがあることについて解説をする。
     参考URL: http://www.kansei.tsukuba.ac.jp/~uchiyamalab/

  担当教員:張

6.10月18日 講師:和田有史(食品機能研究領域 食認知科学ユニット、主任研究員)
  講義題目:食と感覚・認知情報処理
内容:おいしさや安全など、食については誰もが興味を持つところだが、日常的 に使われている食に関する用語が学術用語と意味がずれていたり、間違った知見 が常識化していたりすることが多く、非専門家による科学的理解を困難にしてい る。そこで本講義では、味嗅覚と多感覚知覚、ステレオタイプなどの食の心理・ 認知科学的知見の基礎を概説する。

  担当教員:蒲池みゆき

7.10月25日 講師:中山剛(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 障害工学研究部 主任研究官)
  講演題目:障害者を支援する機器の分類とその適合
  内容: 福祉機器あるいは支援機器を有効に活用するためには、利用者等の身体状況や環境等に合わせた適合という作業プロセスが重要である。福祉の現場における支援機器の適合の事例を紹介するとともに、支援ロボットを実際に導入する際の困難さについて紹介する。また、障害者のための支援機器の分類および用語の国際的な規格ISO 9999「Assistive products for persons with disability --Classification and terminology」の最新動向も合わせて紹介する。

  担当教員: 長嶋祐二

8.11月8日 講師:樋口知之(統計数理研究所、所長)
  講義題目:ビッグデータ時代に生きる力を育む情報デザイン学
  内容:スマホ、セキュリティセンサー、駅の改札、コンビニでの購買、などなど、私たちの身の回りの生活行動がまるごとデジタル化され、クラウド上に集積される時代がもう目の前です。このような状況に対応して、これまで人間が行ってきた認識・予測・判断をコンピュータにおきかえる研究開発も大学・産業界を問わず活発です。いずれホワイトカラーの多くの仕事は人工知能に置き換わることを予想する研究者もいます。本講演では、ビッグデータ時代に私たちが身につけねばならない情報リテラシーを概説し、近い将来、私たち人間に残された(人間しかできない)仕事は何になるのかをみんなで考えてみたいと思います。

下記のホームページを参照すること。
     http://tswww.ism.ac.jp/higuchi/index_jp/new/index.html

  担当教員:橘 完太

9.11月15日 (14回目1月24日へ)

10.11月29日 講師:Premachandra Chinthaka(プレーマチャンドラ チンタカ)(東京理科大学、助教)
講義題目:空陸両用ロボットの開発について
  内容:数十年前から移動ロボットに関する研究開発が幅広く行われており,様々な作業への応用も可能となっている.一方,近年飛行ロボットに関する研究も盛 んに行われており,近い将来人間にとって危険な現場などでの応用が期待される.本講義は上述移動及び飛行ロボットを組み合わせた新しいタイプの空陸両用ロ ボットの開発について述べるもので,主にロボットの製作及と移動・飛行制御における基礎内容を述べる.

  担当教員:ナイワラ・P・チャンドラシリ

11.12月6日 講師:講師:坂本 隆(独立行政法人産業技術総合研究所、主任研究員)
講義題目:色覚バリアフリー技術−シミュレーション、色変換、情報保障−
内容:私たちの身の周りには,特定の色を使って情報を伝え,色の違いを識別しなければならない視覚表示物が多数存在する.特に危険や重要な情報を知らせる視覚表示物は,どのような色覚特性の人にも,識別できなければならないが,実際にはそうなっていない.本講義では,人の色覚特性の多様性と,色覚バリアフリーに関する課題を紹介した後に,色覚の多様性に配慮したバリアフリー化
技術(色覚モデルに基づく画像処理技術など)について解説する.

参考文献:坂本, ヒューマンインタフェース学会誌, vol.16, No.4, pp.269-274 (2014)

  担当教員:市原恭代

12.12月13日 講師: 高橋敏(NTTメディアインテリジェンス研究所)
  講演題目: 音声認識研究の歴史と実用化最前線
  内容: 40年以上にも及ぶ音声認識研究の成果,ならびにコンピュータの高速化・モバイル化・大容量化によって,近年では様々な用途に音声認識技術が活用されるようになってきた.本講演では,その研究開発の歴史を振り返るとともに,最先端の音声認識技術がどんな目的に使われようとしているかを紹介する.

 担当教員: 管村昇

13.12月20日 講師:佐藤いまり(国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系、教授)
  講義題目:「質を見極める」スペクトル分析に基づく画像解析
  内容:私たち人間は、光を三刺激値(赤緑青)に変換して世界を知覚していることが知られている。しかしながら、私達を取り巻く“光”は単純なRGBの三刺激値では把握しきれないほどの豊かな情報を秘めている。様々な波長の光で解析してみると、食品の品質や美味しさが予測できたり、工芸品の色合いの複雑さを見ることができたり,多くの発見がある。本講義では、実シーンの光源環境の分光特性をモデル化する技術や光を用いて対象物の内部状態を解析する技術を紹介する。
参考URL http://research.nii.ac.jp/~imarik/

  担当教員:福田一帆

14.1月24日 講師:岡田真人(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 教授 )
  講義題目: スパースモデリング入門
  内容: ビッグデータやIoT(Internet of Things)などに代表されるように,大量のデータに隠された規則性を抽出するデータ解析の系統的技術の開発は,今後のビジネスにおいて重要な課題です.まず,そのキーテクノロジーの一つであるスパースモデリング(SpM: Sparse Modeling)を紹介します.SpMの基本的な考え方は(1) データを説明する本質的な変数 (説明変数)がデータの次元数よりも少ない(スパース)と仮定し,(2)説明変数の個数が小さくなることと,データへの適合とを同時に要請することにより,(3)人手に頼らない自動的な説明変数の選択を可能にする枠組みです.SpMの適用例として,電波望遠鏡の信号からブラックホールを撮影する試みと,MRIの高速撮像などを紹介し,SpMが今後の科学技術の発展やビジネスに与える影響を議論します.

  担当教員: 竹川高志

<成績評価方法>
毎回出席を取る。成績は講師が要求するレポート等の合計点で評価する。
レポート提出方法などの指示は一回目ガイダンスで行う。

<教科書>
指定教科書なし

<参考書>
各講師の指示する参考書、HPなど。

<オフィスアワー>
質問は講義時間中または講義終了後
新宿校舎 原則午前10時から午後5時(ただし講義、会議の時間帯は除く)
面談希望者は事前にメールで連絡、確認すること

<学生へのメッセージ>
本講義は、昨年度(2015年度)から、新しく開講されたものである。最新の分野を代表するさまざまな外部の講師をお招きしご講演をいただく。めったにない機会なので、講義には真剣に臨んでもらいたい。


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