2016年度工学院大学 情報学部情報デザイン学科
△ネットワーク応用論(Advanced Networking)[1D22]
2単位 武本 充治 非常勤講師
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 | | 5. 創成能力 |
- <授業のねらい>
- ネットワークは利用者だけではなく、様々な機器を接続することで、新たな価値を生んでおり、現在の社会生活には不可欠なものである。そのため、現在の社会は情報社会(情報化社会)とも呼ばれる。
我々は、日常生活において、様々なサービスをインターネットに接続されたパソコン・スマートフォンで享受している。しかしながら、これらのサービスがどのようなネットワーク技術・コンピュータ技術に支えられているかを理解できている人は少ない。
本講義では、現在の情報社会を支えるネットワーク技術・コンピュータ技術を、それらを活用したサービス例と合わせて、解説を行う。
本講義を通して、各受講生は情報社会に今後も次々と現れてくる新しいサービスを理解できるレベルの技術と活用方法を、それらの基本概念ともに、習得してもらいたい。
- <受講にあたっての前提条件>
- 既習科目または並行履修科目は特に必須ではないが、ネットワーク基礎論を受講済みであることが望ましい。
また、パソコン・スマートフォン等を通じてネットワークを日常的に活用している経験があることが極めて望ましい。
- <具体的な到達目標>
- 本講義の受講後には、受講生が現在利用しているネットワークサービスがどのように実現されているかを理解できるようになっていることを目標とする。特に、インターネットにおけるネットワークレイヤとトランスポートレイヤについては必ず理解できるようになっていることを目標とする。
また、今後、新しいサービスが出現した場合に、その解説記事中の用語が理解できるスキル、もしくは、調べることができるスキルが身につくことも併せての目標とする。
- <授業計画及び準備学習>
- 1.ガイダンス:情報社会におけるネットワークの役割
・本講義の目的と進め方(全15回の講義内容について、シラバスに準じて説明)、成績評価方法、参考図書、オフィスアワーについて説明する。 ・また、アンケートを取って、受講者のこれまでの情報社会と各種サービスへの意識を測る。(これにより、2回目以降の講義の内容・レベルを変更することがある。ただし、講義の達成目標は変更しない予定である。) ・事前の準備:情報社会に生きている人間として、自分の周囲にあるサービスがどのような技術で実現されているかを調査(・できなければ想像)してくること。
2.インターネットの説明(講義全体にかかわる全体知識)1 ・内容:インターネットの歴史・基本概念を解説する。 ・予習:各受講生が「インターネット」から想像する物が何であるかを考えてみること。 ・復習:インターネットの基本概念と現在のインターネットの構成について理解すること。
3.インターネットの説明(講義全体にかかわる全体知識)2 ・内容:ネットワークで重要となる概念・用語(レイヤ・プロトコル等)を解説する。 ・予習:各受講生が「インターネット」から想像する物が何であるかを再度考えてみること。 ・復習:「ネットワークは人が構築してきたもの」という考え方を反芻すること。
4.インターネットを構成している基本的技術 ・内容:インターネットを構成しているプロトコルと対応する機器について解説する。 ・予習:日常的に使っているサービスにおいて、どのようにデータが流れているのかを調べておくこと。 ・復習:第3回講義内容と合わせて、プロトコルとハードウェアの例を理解すること。
5.インターネットを安全・便利に活用するための応用的技術 ・内容:第4回講義に引き続き、インターネットを構成しているプロトコルと対応する機器について解説する。 ・予習:日常的に使っているサービスにおいて、どのようにデータが流れているのかを調べておくこと。 ・復習:第3回、第4回講義内容と合わせて、プロトコルとハードウェアの例を理解すること。
6.インターネットを実現するプロトコル(導入) ・内容:主にトランスポートレイヤに関する説明を行う。 ・予習:第3回、第4回、第5回までの用語を使った解説記事を少なくとも1つは読んでくること。 ・復習:TCP, UDPについて理解すること。
7.学習成果の確認(中間試験) ・目的:第2回から第6回までの講義で、インターネットの基本的な概念とインターネット上での通信動作は理解できたはずなので、確認のための中間試験を行う。
8.中間試験の復習 ・内容:第2回から第6回までの講義を復習する。
9.インターネットを実現するプロトコル(例) ・内容:主にネットワークレイヤとトランスポートレイヤに関する説明を統合的に行う。(第3回、第4回、第5回講義と第6回講義の詳細解説。) ・予習:第3回、第4回、第5回、第6回講義の用語を使った解説記事を少なくとも3つは読んでくること。 ・復習:ネットワークレイヤとトランスポートレイヤについて理解すること。
10.日々使っているインターネットのサービスと実現している技術1 ・内容:メイルの送受信を実現する技術について解説する。 ・予習:メイルの送受信の時にスマホ・PCに表示されるメッセージの意味を調べてくること。 ・復習:メイルに関するプロトコルを理解すること。
11.日々使っているインターネットのサービスと実現している技術2 ・内容:「Webページ」の閲覧の実現に関する技術について解説する。 ・予習:「Webページ」が閲覧できるまでの流れを調べてくること。 ・復習:「Webページ」閲覧を実現するために必要になっている技術を理解すること。
12.ネットワークに関する標準化活動 ・内容:ネットワーク、特に、インターネットに関する標準化活動を解説する。 ・予習:「標準化」の意味を調べてくること。 ・復習:標準化活動の意義、種類、団体の種別について理解すること。
13.今後のインターネットの研究と実用化 ・内容:IoT等のニュース・新聞でも出てくるキーワードを中心にビジネス領域に近いところで活用されるインターネット関連技術を解説する。 ・予習:IoT等が何を意味するのか調べてくること。 ・復習:現在の「インターネット上のサービス」でのビジネスについて理解すること。
★★.学習成果の確認(期末試験)(後期定期試験期間中) ・試験範囲:中間試験は行っているが、中間試験前の内容についても、中間試験後の講義で理解が深まっている、もしくは、正しい理解になっているはずなので、全部の回についての内容を試験範囲とする。
14.学習内容の振り返り ・内容:本講義の全範囲を復習する。
○備考:毎回の講義の開始時(具体的締め切りのタイミングは指定する)に、復習・予習(自主学習)をしてきた内容を「自由レポート」としてで任意提出することも可能である。また、講師から「自由レポート」の課題を示すこともある。その内容は、アンケートとともに、講義内容に反映する。また、本自由レポートは成績評価にも考慮する。
- <成績評価方法>
- ・毎回出席を取る。また、必要に応じて、講義中にアンケートを取るが、アンケート不提出は欠席扱いにする。出席が3分の2に満たない場合は、試験の成績に関わらず不合格とする。
・毎回の講義の開始時に、復習・予習(自主学習)をしてきた内容を「自由レポート」で任意提出することも可能である。ただし、既存情報の単なるコピー&ペーストは成績評価に加味しない。(既存情報を受講者自身で理解して記述することを推奨。)
・中間試験(40点)、期末試験(60点)の受験は必須である。受験においては、筆記用具以外の持込・使用は不可である。この結果に、自主学習の内容(「自由レポート」)で上乗せ点(各回最大10点)を加味した上で成績を評価し、60点以上を合格とする。
・中間試験は第7回講義にて、期末試験は定期試験期間中に行う。再試験、追試験は原則行わない。
・受講者の習得レベルは、既存・今後のサービスを理解できる技術レベルに達しているかどうかの観点で、各講義の段階(概念、基本技術、応用事例)毎に評価する。つまり、期末試験の終了後には、忘れてしまうようなレベルの習熟度では高い評価は得られない。
- <教科書>
- ・指定教科書なし(15回講義分をカバーする本が出版されていないため)。
・必要に応じて、資料を配布する。
- <参考書>
- ・講義中に適宜紹介するが、特に中間試験後の事例を事前に調査したい場合は、以下のような網羅性のある文献を参照すること。
例:インターネット白書編集委員会(編):インターネット白書
- <オフィスアワー>
- ・相談事等は、後期の期間の毎週月曜2限の講義終了後の教室で受け付ける。
・質問は講義時間中または講義終了後に受け付けるが、講義時間中を推奨する。
- <学生へのメッセージ>
- ねらいや目標にも記載していますが、日常使っているサービス(これまでの生活で「サービス」と認識していないかも知れませんが)は、様々な技術によって実現されています。また、新しいサービスも次々と生まれていますが、基本的技術は全く新しいものが突然出現するわけではありません。情報社会で生きていく上でこれらのサービスは使い続けるので、最低限、どのように実現されているかを理解して頂きたいです。
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