2016年度工学院大学 情報学部コンピュータ科学科
自然言語処理(Natural Language Processing)[3P20]
2単位 近藤 公久 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい>
- 自然言語処理の基本を理解し習得するとともに、人間の言語処理のしくみや、その研究手法についても学ぶことで、自力で研究を行う基礎を身につけることを目標とします。
- <受講にあたっての前提条件>
- 「福祉情報工学」「心理・生体計測」「ヒューマンインタ−フェース」「音情報処理」「コミュニケーション心理学」「認知科学」などを合わせて履修することが望ましいが、履修条件ではない。
- <具体的な到達目標>
- 自然言語処理は、人間が普段使用しているままの「ことば」をコンピュータによって処理する学術的領域です。かな漢字変換や音声入力インターフェース、機械翻訳など、既にサービスとして使われています。しかし、コンピュータが言語の意味や人間の意図を理解するには、まだまだ課題が多く残されています。このような残された課題を解決する研究を開始するための基礎的知識を身につけます。
- <授業計画及び準備学習>
- 1.自然言語とは、自然言語処理とは
準備:自然言語処理システムが使われているサービスを探してみよう 2.辞書とコーパス 準備:国語辞典や英和辞典と自然言語処理のための辞書・コーパスは何が違うか考えておく 3.正規表現とテキスト解析 準備:正規表現を用いた検索を体験しておく 4.形態素解析 準備:形態素と単語の違いを考えておく 5.読解と音声言語理解 準備:文字メディアと音声メディアの違いを考えておく 6.構文解析と文法 準備:日本語の文法を復習しておく 7.意味解析 準備:日本語の特徴をまとめておく 8.応用についての議論 準備:自然言語処理の応用例を集めておく(事前レポート提出) 9.自然言語解析モジュールとコーパス解析(概論) 準備:これまでの復習としてまとめておこう(レポート提出) 10.心理言語学的実験手法とコーパス言語学 準備:人の言語処理過程を解析するにはどうすればいいか考えてみよう 11.人間の単語処理から構文解析とレキシコン 準備:語彙、メンタルレキシコン、人とコンピュータの違いを考えてみよう 12.読みと韻律、言語障害、言語算出 準備:黙読時に内生される音・声について考えてみよう 13.自然言語解析モジュールとコーパス解析(実践を踏まえて総復習) 準備:形態素解析、構文解析ソフトにどのようなものがあるか調べてみよう 14.学習内容の振り返り
- <成績評価方法>
- レポートの評価の合計(30%)、および、定期試験期間中に実施する期末試験の得点(70%)の総合評点60点以上を合格とする。
- <教科書>
- 特に指定しない
- <参考書>
- 奥村 学 自然言語処理の基礎 コロナ社
辻幸夫監修 認知言語学研究の方法 他
- <オフィスアワー>
- 新宿 A2316室にて、水曜日の4限を本科目に関する質問等を受ける。他の曜日、時間でも事前にアポがとれた場合には受ける。
- <学生へのメッセージ>
- 言語は、人間のコミュニケーションを担う最も重要なメディアです。しかし、その柔軟さゆえにコンピュータによる言語理解には複雑な処理を要し、現在においても未解決な課題が多く残されています。また、人間の言語処理過程が完全に解明されているわけでありません。
自然言語処理に関して、現在の技術の応用や、未解決な課題にチャレンジする意欲のある学生の参加を期待します。
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