2016年度工学院大学 情報学部コンピュータ科学科
個人情報保護(Protection of Privacy)[2H23]
2単位 影井 良貴 特任教授
- <授業のねらい>
- 情報社会においては様々な情報が流通しているが、その中の1つが個人に関連する情報、いわゆる個人情報である。本講座では、個人情報とは何かを明確にし、個人情報の利用方法と不正利用された場合の問題、個人情報の保護に関する法制度と技術等について学習する。これにより、実際の社会における個人情報の取り扱いに関する基本を身につけるとともに、個人の生活の中における自己の情報の管理についても併せて身につける。
- <受講にあたっての前提条件>
- 特定になし。
- <具体的な到達目標>
- ・個人情報とは何かを理解し、それが情報社会の中でどのように使われているかを理解し、説明できる。
・個人情報が不正に利用される状況とその影響について理解し、説明できる。 ・プライバシーや個人情報保護に関する国際的・国内的な原則や動向について理解し、説明できる。 ・個人情報を利用・保護するための技術・制度等について理解し、説明できる。 ・新しい技術やサービスが個人情報の流通に与える影響の分析ができる。
- <授業計画及び準備学習>
- 概ね以下のように進める。
1.個人情報保護概論 現在の情報ネットワーク社会における個人情報の位置づけとその利用・保護に関する全体像について解説する。 事前学習:個人情報に関連する最近の記事の中で気になるものを2つ調べ、まとめておく。
2.個人情報の利用 現在の社会における個人情報の利用方法等について解説する。 事前学習:サービスを受ける際に要求される個人情報について調べておく。(様式は別途周知)
3.個人情報保護とプライバシー 個人情報保護に関する国内及び国際的な検討経緯を解説する。 事前学習:OECDのプライバシ―の8原則を読んで理解しておく。
4.我が国の個人情報保護法制 我が国における個人情報保護法の体制及び内容について解説する。 事前学習:個人情報保護法の第一章を読んで理解しておく。
5.個人情報保護ガイドライン 実際に企業が守るべきセクター別の個人情報保護に関するガイドラインの位置づけと内容について解説する。 事前学習:業界別に必要なる個人情報のガイドラインにどのようなものがあるか調べておく。
6.個人情報の取得 企業活動等における個人情報の取得に関する規則や実際の状況等について解説する。 事前学習:オプトインとオプトアウトについて調べ、理解しておく。
7.個人情報の管理 企業活動等における個人情報の管理に関する規則や実際の状況等について解説する。 事前学習:経済分野における個人情報ガイドラインの中の安全管理措置に関する部分を読み、理解しておく。
8.個人情報の活用 個人情報の第三者への提供・共同利用及び個人情報の蓄積と解析について解説する。 事前学習:SUICA情報の外部提供問題について調べ、理解しておくこと。
9.行政における個人情報 行政の窓口における本人確認と電子政府サービスにおける本人認証について解説する。 事前学習:電子署名技術について理解しておくこと。
10.マイナンバー法と改正個人情報保護法 マイナンバー法制の導入と個人情報保護法の改正を行った現在の我が国の個人情報に関する状況を解説する。 事前学習:自分のマイナンバーの通知資料を再度見て、内容を確認しておくこと。
11.個人情報保護に関わる技術 個人情報保護に使われる技術について解説する。 事前学習:匿名化について調べて、理解しておくこと。
12.プライバシー バイ デザイン プライバシー バイ デザインの概念と実際の適用について解説する。 事前学習:プライバシー バイ デザインについて調べておくこと。
13.ケーススタディ 想定のケースを用いて、個人情報の利用と保護について、全体的に学習する。 事前学習:事前に提示するケースについて検討してくること。
14.学習内容の振り返り
- <成績評価方法>
- 基本的には学期末の試験で60点以上の者に対して単位が認定される。その他として、適宜指示するレポート及び小テストの内容(最大30%)及び授業への参画態度(最大10%)が考慮される。
- <教科書>
- 毎週、KuPortにて資料を配布する。
- <参考書>
- その他の参考書及び参考資料については、講義の中で紹介する。
- <オフィスアワー>
- 質問については、基本的には授業の中で受け付ける。
後期 火曜日 3時限 (13:40〜15:25) (新宿キャンパス A-0712 教室)
- <学生へのメッセージ>
- 情報社会における個人情報の利用と保護については、実際にはそのバランスをどうするかということが問題であり、従来から多くの議論がされてきている。これを理解することは、これからの情報社会を構築していく諸君にとっては、非常に大きな基礎的な概念となるはずであり、これをベースにして、より良い情報社会を作り上げていくことを期待している。
このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2016 Kogakuin University. All Rights Reserved. |
|