2016年度工学院大学 情報学部コンピュータ科学科

デジタル信号処理(Digital Signal Processing)[1L11]

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2単位
中島 弘史 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
デジタル信号処理は,音や画像,電波などを扱う分野で広く使われている技術である。本講義では,デジタル信号処理の理論のみならず,実践的に理論を応用する力を身に着ける事を目的とする。具体的には,デジタル信号処理の基礎である,AD変換やDFT,Z変換などについての理論を深く理解するとともに,実際に手を動かしてDFTやZ変換の計算をしたり,MATLABを用いて信号の分析などが可能になることをねらいとする。

<受講にあたっての前提条件>
原則として,本講義の基礎となる6つの関連科目(数学I,数学II,情報数学,線形代数学,線形システム論,計測制御プログラミング)の単位を修得していることを受講条件とする。また受講希望者数が演習室の定員を上回った場合,関連科目の成績状況を鑑みて,一部の受講希望者には受講を許可しない場合がある。

<具体的な到達目標>
信号の標本化と量子化,畳み込みとインパルス応答,周波数応答,DFT,FFT,Z変換などの信号処理の考え方,基本演算法を身につけるとともに,MATLABを用いてそれらを応用した信号処理のプログラムを構築できるようになることを到達目標とする。

<授業計画及び準備学習>
授業計画は下記の通りである。準備学習として,各回の講義内容についての予習復習を行うとともに,基礎となる数学的な知識についても事前に理解を深めておくこと。例えば3回目の講義では対数計算,5回目では線形システム論,6回目では三角関数と加法定理,8回目では線形代数学,9回目では複素数の性質などについて十分に理解を深めておく必要がある。

1.ガイダンス:授業の進めかた,評価基準,習熟度調査,デジタルとは
2.データの収録:AD変換とその回路,アンチエイリアシングフィルタ,サンプリング定理
3.信号のレベル:RMS値,デシベル,フレーム処理
4.デジタルフィルタ:移動平均,差分,FIRフィルタ,IIRフィルタ
5.畳み込み:定義,物理的意味,手計算の仕方,FFTによる高速化
6.Z変換:定義,計算の仕方,畳み込みとZ変換,周波数特性
7.線形時不変システム:DA変換とその回路,線形時不変とは,インパルス応答,出力信号の計算
8.信号の合成:正弦波,矩形波,三角波,音階
9.信号の分析:線形加算モデル,逆行列による分析,内積による分析
10.正弦波の性質:振幅と初期位相⇔sinとcos,複素正弦波
11.周波数特性の分析:複素内積,離散フーリエ変換(DFT),振幅特性,位相特性
12.FFTとスペクトログラム:FFTの原理,窓関数,フレーム処理
13.音質の補正:周波数振幅特性の加工,IFFTによるFIRフィルタの設計
14.学習内容の振り返り

<成績評価方法>
期末試験の結果で評価する。特別な理由がある場合を除き,再試験,追試験は行わない。

<教科書>
指定教科書なし

<参考書>
「デジタル信号処理」 貴家 仁志著(昭晃堂)
「デジタル信号処理」 電子情報通信学会編(コロナ社)
「デジタル信号処理」 辻井重男,久保田 一(オーム社)

<オフィスアワー>
月曜日,3限,新宿校舎A2472(数理音響学研究室)

<学生へのメッセージ>
デジタル信号処理は,通信,画像,音響などの処理で広く使われている技術です。これらの分野に興味がある人や,音や画像の処理を扱う研究室への配属を希望する人は必ず受講してほしいと思います。


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