2016年度工学院大学 情報学部コンピュータ科学科

幾何学(Geometry)[1D19]

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2単位
鈴木 敏行 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
この講座で,受講者は座標と計算を用いて図形の性質をとらえる方法を身につける.このためには,線形代数学の知識が必要不可欠である.しかし,情報学部は線形代数学を1年後期に履修するが半年だけで,1年間であれば後半で習う線形代数学の重要な単元である固有値・固有ベクトルがどのように応用されるかまで学習するのは難しい.
そこで,線形代数学に登場する固有値・固有ベクトルを理解し,具体的に計算し,それを幾何学(2次曲線・2次曲面)に応用し,構造をとらえたり,分類したりすることができるようにする.

<受講にあたっての前提条件>
1年次に開講されている線形代数学の修得は必須であると考えられる.ただし,重要な部分については講義内でも復習をする予定である.
3次までの行列の掛け算や行列式は講義で活用するので,できれば予習の段階で慣れておいてほしい.
また,高校数学の「図形と方程式」「高次方程式」(数学II),「ベクトル」(数学B)は既知のものとして授業を進行する予定なので,復習をしてください.
(数学IIIの「式と曲線」の話は知っていた方が取り組みやすいと考えられるが,前提ではない).

<具体的な到達目標>
具体的な達成目標は以下のとおりである.
(1) 2次曲線の分類ができ,性質や概形がわかる.例えば,焦点の座標が計算できる.
(2) (2次および3次の)正方行列の固有値・固有ベクトルを理解し,具体的に計算できる.
(3) 2次曲面の分類ができ,性質や概形がわかる.

<授業計画及び準備学習>
前半は「平面上の2次曲線」,後半は「空間上の2次曲面」について考える.

〜2次曲線〜
第01回 楕円・双曲線・放物線 (1)
 定義と標準形を理解する.
 (焦点・長軸・短軸・漸近線・準線)
 
 【事前学習】
 座標平面についてよく復習しておくこと.直線と円の方程式がわかっていること.
第02回 楕円・双曲線・放物線 (2)
 平方完成に基づき、平行移動を考える.
 また,離心率について理解する.
 
 【事前学習】
 2次式の平方完成ができるようにしておくこと.
第03回 平面上の点の運動と変換
 平行移動・対称移動・回転移動を数式で表す.
 行列の必要性を理解する.
 
 【事前学習】
 極座標のことを知っていると理解が進む.
 行列の計算ができるようにしておくこと.
第04回 行列と2次形式
 2次式を対称行列を利用して表現し,単純な2次式への変換を考える.
 
 【事前学習】
 行列の計算ができるようにしておくこと.
第05回 2次曲線の中心と軸
 一般の2次曲線に対し,中心座標を求める方法,軸の方程式を求める方法を考える.
 固有ベクトルのありがたみが理解できるだろう.
 
 【事前学習】
 2次の行列式をよく復習しておくこと.
 クラーメルの公式や固有ベクトルの求め方をおさらいしておくこと.
第06回 2次曲線の分類 (1)
 複雑な2次式を変換して標準形にすることにより,2次曲線を分類する.
 
 【事前学習】
 出来上がった標準形から楕円・双曲線・放物線の区別ができるようにしておくこと.
第07回 2次曲線の分類 (2)
 2次曲線に関する補足をする.
 
 【事前学習】
 3次の行列式を使うので,復習しておくこと(授業でも触れる).

〜2次曲面〜
第08回 3次元空間の平面と曲面
 空間における直線・平面の方程式を紹介する.
 特に,平面の方程式を求める方法を考える.
 
 【事前学習】
 平面の場合の復習をしておくこと.
第09回 2次曲面の紹介
 楕円面・双曲面・錐面・放物面を紹介する.
 簡単な性質(対称性や断面)にも触れる.
 名前と概形が対応付けできるのが望ましい.
 
 【事前学習】
 楕円・双曲線・放物線の標準形と概形を復習しておくこと.
第10回 2次曲面の標準形を目指して
 3次対称行列の固有値・固有ベクトルを計算する.
 
 【事前学習】
 3次の行列式を復習しておくこと.連立方程式の解き方もおさらいしておくとよい.
第11回 2次曲面の分類 (1)
 2次式の変換により,2次曲線の分類を行う.
 
 【事前学習】
 固有値の計算ができるようにしておくこと.
第12回 2次曲面の分類 (2)
 中心の座標を考え,平方完成と平行移動により,2次曲線の分類を行う.
 
 【事前学習】
 クラーメルの公式を用いるので,3次の行列式を復習しておくこと.
第13回 2次曲面のまとめ
 より一般の2次曲面を考える方法を紹介する.
 計算が煩雑なため,2次曲線と似たことをすることが理解できればよい.
 
 【事前学習】
 2次曲線の分類でやったような事実を復習しておくこと.
第14回 学習成果の確認(授業内試験)
行列計算に慣れ,講義の内容を理解してもらうために,ほぼ毎回レポートを課す(計12回を予定).採点して返却し,成績にも反映するので,取り組むようにしてください.
また,レポートを含め,日頃の学習への取り組みは大事である.

<成績評価方法>
・定期試験の点数(7割ほど)
・レポート課題の解答状況(3割ほど)
これで100点満点の素点を計算する.
2015(平成27)年度以降に入学した者については,素点に基づきGradeを算出し,Grade D以上を合格とする.
2014(平成26)年度以前に入学した者については,素点に基づき60点以上を合格とする.

<教科書>
指定教科書なし.プリントを配布する.
KUPORT(キューポート)を活用するので,使えるようにしておくこと.

<参考書>
授業内で適宜紹介する.
なお,1年次の線形代数の教材は十分に役立つはずである.

ちなみに,この講義は,以下のテキストに基づいて構築されたものである.
石原繁 竹村由也 共著「解析幾何」(森北出版)

<オフィスアワー>
授業の前後で受け付ける(12階講師室).
念のためにメールアドレスを載せておく. fu41118@ns.kogakuin.ac.jp


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