2016年度工学院大学 建築学部

構造力学II(Structural Mechanics II)[6A08]

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2単位
河合 直人 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
構造力学は、各種構造の構造設計や構造解析の基礎を成すものであるが、構造力学IIまでの内容は、建築を学ぶ者にとって構造の基本的な考え方を身につける上でも必須である。構造力学Iでは主に、力の釣り合いのみで解ける静定構造を学んだが、構造力学IIでは力の釣り合いの他に変形条件を考えなければ解けない不静定構造の解法を主に学ぶ。静定構造の復習を行ったのち、不静定とは何か、応力度とひずみ度の定義を学び、変形の計算方法、不静定構造の解法を修得する。

<受講にあたっての前提条件>
構造力学IIでは、1年後期の構造力学Iで学んだ静定構造の応力の解法を習得していることが前提となる。ただし、本科目で静定構造の解法の復習を行うので、構造力学Iの内容が十分理解できていない学生は、これらの復習を並行して行い、理解を深めることが必要である。

<具体的な到達目標>
静定のはり、ラーメン架構、トラスなどの変形計算、不静定のはり、ラーメン架構、トラスなどの応力計算の方法を理解し、簡単な不静定構造物の応力が解けること。また、座屈の原理を理解し、座屈荷重の計算ができること。

<授業計画及び準備学習>
1.ガイダンス、力の釣り合い・反力
 授業の内容と進め方について説明を行う。
 平面内での力の釣り合い式の立て方、静定構造物の力の釣り合い式による反力の計算方法を復習する。
 準備学習:構造力学Iで習った反力の計算方法を理解しておくこと。 
2.静定構造の復習:応力
 はりの軸力と曲げモーメントの概念、単純ばりの曲げモーメントの解法を復習する。
 準備学習:構造力学Iで習った軸力および曲げモーメントの計算方法を理解しておくこと。
3.静定構造の復習:静定トラス
 静定トラスの軸力の解法として、節点法および切断法の復習を行う。
 準備学習:構造力学Iで習ったトラスの解法を理解しておくこと。
4.静定と不静定、応力度とひずみ度
 静定と不静定の定義と判別式、応力度とひずみ度の概念について学び、変形計算の初歩を習得する。
 準備学習:配付資料から応力度とひずみ度の概念を自分なりに理解しておくこと。
5.曲げ材の応力度と断面の諸量
 曲げ応力度と断面二次モーメントなどの断面の諸量、および、はりの基本式の誘導について学ぶ。
 やや複雑な形状の断面について、断面二次モーメントの計算方法を習得する。
 準備学習:断面内での曲げ応力度の分布について、配付資料から自分なりに理解しておくこと。
      また、微分、積分を用いるので、理解が不十分な場合は復習しておくこと。
6.曲げ材の変形
 はりの変形計算法として、はりの基本式、モールの定理、仮想仕事の原理を用いる方法を学ぶ。
 仮想仕事の原理を用いる方法により、簡単なはりの変形計算が行えるようにする。
 準備学習:はりの基本式の誘導を復習しておく。n次式の積分が躊躇無くできるようにしておく。
7.せん断応力度・一次不静定梁
 断面内のせん断応力度の分布について学ぶ。また、一次不静定ばりの解法を学ぶ。
 準備学習:一次不静定ばりの解法では静定ばりの変形計算を用いるので計算方法を復習しておくこと。
8.仮想仕事の原理と応用
 仮想仕事の原理とこれを用いた変形計算の一般式を学び、静定トラスの変形計算法を習得する。
 準備学習:トラスの変形計算ではトラスの軸力の解法を用いるので復習しておくこと。
9.不静定構造物の解法
 一次不静定構造物および高次の不静定ラーメンの解法について学ぶ。
 簡単な一不静定構造物の解法を習得する。
 準備学習:静定ラーメンの応力および変形の計算方法を復習しておくこと。
10.たわみ角法の基本式
 不静定ラーメンの解法の一つであるたわみ角法の基本式の誘導を学び、たわみ角法を理解する。
 準備学習:モーメント荷重を受ける単純ばりの応力の解法を復習しておくこと。
11.たわみ角法
 たわみ角法を用いた簡単な不静定ラーメンの解法を習得する。
 準備学習:たわみ角法の基本式の意味を復習して理解しておくこと。
12.固定法
 不静定ラーメンの解法の一つである固定法の考え方を学び、不静定ラーメンの解法を習得する。
 準備学習:モーメント荷重を受ける片持ちばりの応力の解法を復習しておくこと。
13.座屈
 弾性座屈について座屈荷重の考え方を学び、その計算方法を習得する。
 準備学習:座屈荷重の誘導にははりの基本式を用いるので復習しておくこと。
14.学習内容の振り返り
 準備学習:定期試験で解けなかった問題の解き方を考えておく。

なお、原則として毎回、授業時間の最後に演習問題を行い、提出してもらう。
これが時間内に解けない場合には次回までによく復習しておくこと。
また、授業の進行状況に応じてレポート課題を出す。

<成績評価方法>
成績評価は、演習問題の提出状況、レポート課題、定期試験で行う。定期試験では、主として静定構造の変形および不静定構造の応力の解法を理解し、簡単な不静定構造の応力が解けることを確認する。GPAの評価における「定期試験」と「演習問題提出状況及びレポート課題」の評価割合は8:2とし、A+からFの6段階評価でD以上のものを合格とする。なお、過年度生については、「定期試験の得点」A(100点満点)と「演習問題提出状況及びレポート課題による得点」B(20点満点)を用い、0.8A+Bを評価点とし、60点以上を合格とする。

<教科書>
Kuportの電子教材として配布するので、各自印刷して持参すること。
ただし、履修登録が終わるまでの期間においては印刷物を配布する。

<参考書>
力のつり合いを理解する構造力学 小野里憲一、西村彰敏 彰国社
変形を理解する構造力学―考えるプロセスがわかる 小野里憲一、西村彰敏 彰国社
建築学テキスト 建築構造力学I  静定構造力学を学ぶ 坂田弘安、島崎和司 学芸出版社
建築学テキスト 建築構造力学II 不静定構造力学を学ぶ        同上

<オフィスアワー>
八王子:講義の前後(教室にて)
新 宿:火曜日 16:00〜17:00 25階A-2517建築構造研究室4(河合研)

<学生へのメッセージ>
構造力学は、前に学んだことを踏み台にして次に進んでいきます。必ず講義に出席し、理解の不十分なところは質問や復習をして次の講義に備えてください。また、自分で問題を解くことが重要です。演習問題に取り組み、わからない所はよく復習して下さい。


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