2016年度工学院大学 建築学部

日本建築史(History of Japanese Architecture)[2A10]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
後藤  治 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
小林 直弘 特任助教  
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
我が国の歴史的建築物が持つ技法・構法・デザインの特徴、時代による変化を、具体的な事例を通して学びながら、建築(特に木造建築)に使われる基礎的な専門用語についての知識を身に付ける。建築を造る際に、過去のものから学ぶ視点を磨くと同時に、歴史的建築物の保存についての問題意識を持つ。

<受講にあたっての前提条件>
1年次・2年前期の授業(基礎設計・建築設計等)で学んだ建築物の基本図面(平面図、立面図、断面図)に対する理解を深め、基本図面を見ると建築物の外観や内部空間が想像できるようになっておくことが必要である。

<具体的な到達目標>
授業で身に付けた基礎的な専門用語を用いて、著名な歴史的建築物の構造・形式・規模等の表記や、屋根・床・天井といった各部の仕様に関する記述ができるようになることを目標とする。また、我が国の代表的な歴史的建築物やそれに用いられている基礎的な構法や技術に対する理解度を高め、学んだ内容を3年次の建築設計に生かすことができるようになっていただきたい。

<授業計画及び準備学習>
1.ガイダンス、授業の進め方、時代区分、基本的な用語
授業の進め方を紹介すると同時に、全授業で用いる基本的な専門用語(歴史学、建築学)について解説する
準備学習:中学、高校で習った歴史の教科書を見直し、その中に記された建物を確認しておく
2.住宅・民家建築(1)
日本の歴史的建築物の残存状況を解説し、寝殿造、書院造に代表される上層階級の住宅建築について解説する
準備学習:文化庁のホームページにアクセスして、日本の文化財建造物(国宝・重要文化財)の指定状況を確認しておく、教科書の寝殿造、書院造のページをみて、後ろにある解説に目を通しておく
3.住宅・民家建築(2)
江戸時代の農家、町家を中心に、民家建築について解説し、民家の要素を取り入れた茶室、数寄屋等の建築についても解説する
準備学習:教科書の民家建築のページをみて、後ろにある解説に目を通しておく
4.寺院建築・神社建築(1)
寺院・神社の建築に使われる特徴ある部位について、寺院・神社に共通するもの、寺院特有のもの、神社特有のものをそれぞれ解説する
準備学習:自宅の周辺にある寺院、神社に授業の前に行き、そのなかにある建物ひとつについて見学し、授業後に再度行って特徴的な部位について確認する
5.寺院・神社建築(2)
寺院・神社を構成する各建物とその配置について、時代、地形、機能との関係から解説する  
準備学習:自宅の周辺にある寺院・神社に再度行き、各建物の配置計画、アプローチ、周辺環境(町並を含む)との関係を観察しておく。
6.木・木材と日本の建築
日本と世界の木造建築を比較し、日本の歴史的建築物が自国の森林資源や木材をどのように使用しているのか解説する。
準備学習:林野庁のホームページにアクセスして、日本の森林の状況を確認する
7・基礎・軸組
日本の歴史的建築物に用いられている基礎と軸組の工法について、その歴史的変遷と構造原理を、現代の木質構造の建物と比較しながら解説する。
準備学習:近隣にある住宅建設の現場をみて、その工法について観察しておき、授業後に再度見学して、歴史的なものとの違いを確認する
8.軸組・小屋組
日本の歴史的建築物に用いられている小屋組について、その工法と構造原理を解説する
準備学習:教科書に載っている様々な建物の断面図をみて、小屋組の形を確認しておく
9.屋根
日本の歴史的建造物に用いられている屋根について、各種の葺き材(瓦、茅、檜皮等)ごとに工法と仕様を解説する
準備学習:近隣の建物の屋根の葺き材をみて、その工法と仕様について学習しておき、授業後に再度行き、歴史的なものとの類似点と相違点を確認する
10.軒
日本の歴史的建築物に用いられている軒について、大きな軒の出を支える工法や部材、軒裏を構成する部材やその役割について解説する
準備学習:自宅の周辺にある寺院や神社を訪れ、本堂や本殿等の建物について、軒の出や、軒を支えている部材、軒裏の仕様について観察し、授業後に再度行きその実態を正確に把握する
11.壁
日本の歴史的建築物に用いられている土壁、漆喰壁等の工法や仕様、材料並びに歴史的変遷について解説する
準備学習:身の回りにある建物の壁を観察し、各種の仕上げや材料について観察しておき、授業後に再度行き、歴史的なものとの類似点や相違点を確認する
12.天井・床、開口部、建具他
日本の歴史的建築物に用いられている天井、床、開口部の建具について、工法、仕様や歴史的変遷について解説する。
準備学習:身の回りにある建物の天井、床、開口部、建具を観察し、その工法や仕様について観察しておき、授業後に再度行き、歴史的なものとの類似点や相違点を確認する
13.歴史的建造物の保存
教科書に載っている建物のほとんどは、文化財保護法によって保護されている。文化財保護法とその歴史的変遷について解説し、歴史的建造物の保存について関心を高める。
準備学習:文化庁のホームページにアクセスして、建造物の国宝・重要文化財、登録有形文化財並びに伝統的建造物群保存地区について確認しておく
14.学習内容の振り返り
身近にある歴史的建築物を見学し、授業で学んだ部位、工法、仕様等が用いられている状況を確認する。見学した建物の緒元(構造、形式、規模他)や仕様等を記述してみる

<成績評価方法>
定期試験及びレポート課題によって評価する。定期試験は、主に教科書に掲載されていない歴史的建築物の図面を見て、規模や各部の部位、工法、仕様が記述でき、その役割が解説できるかどうかを確認する。100点満点で採点し、60点以上の者に単位を与える。レポートについては、その内容が優れたものについては、試験結果に加点を行い、合計60点以上の者にも単位を認める。試験、レポートともに、構造、形式、規模に関する記述の正確さ、構法や技術に対する理解度(各部の仕組みや役割に対する理解度)によって評価を行う。

<教科書>
『日本建築史図集 新訂第三版』日本建築学会編(彰国社)

<参考書>
『改訂 伝統のディテール』広瀬鎌二他(彰国社)
『コンパクト版・建築史【日本・西洋】』大橋竜太他(彰国社)
『建築学の基礎6 日本建築史』後藤治(共立出版)

<オフィスアワー>
新宿校舎2672号室(後藤研究室):水曜日18時00分〜18時30分

<学生へのメッセージ>
授業中に参考文献を提示するので,それらにも出来る限り目を通し,知識を広げる努力をしてもらいたい。可能な限り、自宅の周辺や通学路近辺にある歴史的建築物の見学を行ってもらいたい。


このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2016 Kogakuin University. All Rights Reserved.