2016年度工学院大学 建築学部

現代の論理学(Modern Logic)[1K28]

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2単位
田村 慶一 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
わたしたちがともかくも思考していることは事実です。とはいえ,論理的であるとはどういうことか,あるいは,論理とは何かを知らないままに,またそうしたことを意識的,自覚的に考えたことがないままになってはいないでしょうか。問題を解決しよう,目標を達成しようと努力しているときであっても,人間の思考活動は必ずしも論理的であるとは限りません。しかし,日常生活においても,科学的研究においても、理にかなった思考をすることが必要であり、大切であるということは強調するまでもないでしょう。理にかなった思考のためには、思考が理にかなっているかどうかを理解し確認できなくてはいけません。論理的思考について反省してみることが必要になってきます。「思考についての思考」が問題となるところに「論理学」は登場します。
 この講義は,「論理的に思考する」ということに意識的、自覚的になることをめざして、論理学の基本的な理論と技術を習得することを目的とします。
 内容としては、現代の「記号論理学」への入門として「命題論理」について学んでいきます。具体的な到達目標の各項目を達成できるように学習を進めてください。

<受講にあたっての前提条件>
はじめて論理学を学ぶための授業です。特に前提とすべき既習事項はありませんが、新しい論理学用語が毎回のように出てきますので、それらの用語を正しく理解し覚えていこうとする学習意欲が必要です。

<具体的な到達目標>
1.論理的結合子の定義を理解し、論理式を構成できる。
2.命題と論理式の区別と関連性、推論と推論形式の区別と関連性を説明できる。
3.命題とその真理値の関連を「真理関数」として説明できる。
4.命題をその真理値の可能性から類別でき、特に命題の恒真性を判定できる。
5.命題の恒真性と関係づけて推論の妥当性を判定できる。
6.自分の考えを論理的に整理し理路整然と述べるために、論理学的な知識を活用することができる。

<授業計画及び準備学習>
下記の順で講義中心に各回の授業を進めます。授業では毎回、しめくくりとしてポイント確認のための小問題を出題し回答してもらいます(授業時間の都合により、練習問題プリントを配布し復習課題とすることもあります)。この小問題(または練習問題プリント)について模範解答はしませんが、授業ノートを見れば正解が確認できるはずです。
 この授業ではテキストを使用しません。練習問題プリントを配布することもありますが、プリントは授業ノートの代わりにはなりません。毎回の授業では、板書などを手がかりにしてしっかりノートをとるようにしてください。
 準備学習は復習が大切です。各回の授業について授業ノートを中心に復習し、次回の授業に備えてください。ポイント確認の小問題(または練習問題プリント)にまちがいなく正解できるようになれば復習完了です。

第1回 論理学とは
    準備学習:「論理的に考える」ということについて自分がどのように理解しているか、簡単な文章にまとめておく。
第2回 命題論理における命題:要素命題と複合命題
    準備学習:論理学の対象と観点、論理学における「形式化」とそのための「記号化」について復習し、簡潔な説明としてまとめておく。
第3回 命題の記号化:論理的結合子の定義
    準備学習:命題の特性として真偽という二値性についてポイントをまとめておく。命題の組み立て、特に命題の分解と複合という点に注目して、要素命題と複合命題の区別を確認し、簡潔な説明としてまとめておく。
第4回 命題と論理式:論理式の定義
    準備学習:それぞれの論理的結合子の定義を真理表として書き出せるように練習する。論理的結合子とその「読み」として使われる日常語との用法上の共通点と相違点を簡潔にまとめておく。
第5回 命題の真理値と真理表
    準備学習:命題と論理式の区別を確認し、命題論理における各種記号の用法を覚える。論理式の定義、論理式中のカッコの用法と省略規則を覚え、
        論理式中での記号の結合順を読み取ることができるように、授業ノートの例で練習しておく。
第6回 真理関数と真理関数的命題
    準備学習:命題の真理表を作り、命題の真理値を計算できるように練習する。さらに、簡略化した真理表を作れるように練習しておく。
第7回 トートロジーと論理法則
    準備学習:論理的結合子が基本的な真理関数であることを確認し、命題論理の論理式で表現できる命題は「真理関数的である」という点についてまとめる。論理式と命題の区別に注意して、「真理関数」と「真理関数的命題」の説明をそれぞれ簡潔にまとめておく。
第8回 論理的結合子間の定義的関係
    準備学習:真理表を作り、論理式や命題が恒真か、恒偽か、偶然的かを判定できるように練習しておく。前回授業時に配布(予定)した確認問題プリントを学習し、命題と論理式ついての理解を確実にする。
第9回 論理的結合子の一般的考察
    準備学習:前回授業時に配布(予定)した資料プリントと練習問題プリントを学習し、ある論理的結合子を別の論理的結合子を用いた論理式で定義できるように練習する、またそのように定義できる理由を真理表を作って示すことができるように練習しておく。
第10回 命題論理における推論:推論の妥当性と推論形式
    準備学習:授業ノート中の例と前々回授業時に配布(予定)した練習問題プリントを学習し、論理的結合子は真理表で定義されることから、どんな論理的結合子も否定記号と連言記号と選言記号を用いた論理式によって定義できることを確認しておく。
第11回 恒真性と妥当性:推論の妥当性のテスト
    準備学習:推論の組み立て、演繹的推論と蓋然的推論、演繹的推論の妥当性について復習し、簡潔な説明としてまとめておく。また、推論と推論形式の区別を確認しておく。
第12回 演繹的論証
    準備学習:前回授業時に配布(予定)した例題プリントを学習する。推論を記号化し、その推論形式を明示する。次に、対応する論理式を作り、その論理式が恒真であると示すことにより元の推論は妥当であると判定する。この一連の作業ができるように練習しておく。
第13回 総復習のための例題演習と試験前の確認
    準備学習:配布してある資料プリントと推論の例題プリントを学習し、演繹的論証を構成することにより推論の論理的な正しさを確認できるように練習しておく。
第14回 学習内容の振り返り
    準備学習:定期試験で解けなかった問題について説明や解き方を考えておく。

<成績評価方法>
毎回の授業に出席すること、授業中のポイント確認小問題(または練習問題プリント)に回答すること、以上は点数として評価するものではありませんが、成績評価を受けるための前提です。単位の認定は原則として学期末定期試験の成績によるものとし、成績が60点以上である場合に単位を認めます。ただし、2015年度以降の入学者については、成績がDランク以上である場合に単位を認めます(基準となる成績評価方法では不合格であっても、プリント課題等の達成度が十分であると認められる場合にDランクとして評価します)。

<教科書>
指定教科書はありません。
授業時に適宜、確認問題プリント、練習問題プリント、例題プリント等を配布する予定です。

<参考書>
平野耿編『思考の回路−論理学ABC−』(富士書店)
沢田允茂著『考え方の論理』(講談社学術文庫)
山下正男著『論理的に考えること』(岩波ジュニア新書)

<オフィスアワー>
授業終了後に教室または兼任講師室で。

<学生へのメッセージ>
念のための確認ですが、効果的な学習環境を確保するために、対象学科・学年の履修についても制限する場合があります。


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