2016年度工学院大学 建築学部

西洋建築史(History of Western Architecture)[5211]

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2単位
中島 智章 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
 西洋は「建築」という概念のふるさとである。その歴史について、各時代の装飾やデザインの特徴のみならず、どのような人々がどのような状況下でどのような意図を持ちどのような建築を建設していったか、多角的に学び理解する。さらには近現代の建築やわが国の伝統的な建造物とは異なる背景を持つ近代以前の西洋建築のあり方を学ぶことにより、近現代建築の真の革新性とわが国の伝統的な建造物の特質に対する理解を深める。

<受講にあたっての前提条件>
 既習科目、または並行履修科目についての前提条件は特にないが、高校の世界史の教科書を復習し、古代から近代までのヨーロッパ史の基本をおさえておくことが望ましい。

<具体的な到達目標>
1) 古典主義建築のオーダーを理解し、その知識を適用して、実際に用いられたオーダーを判別できるようになる。
2) 教会堂建築の各形式(バシリカ式と集中式)とその各部を示す用語を理解し、教会堂建築をみるときにその知識を適用できる。
3) 古代から近代初頭までの各建築様式の特徴を理解し、その知識を適用して、西洋建築の様式・特徴を分析できるようになる。

<授業計画及び準備学習>
1. 「建築」の語源とウィトルウィウスの建築論
 古代ギリシア・ローマの「建築」についての考え方について
 準備学習:第1回授業レジュメを熟読し、該当する過去問を解く。
2. 壁の建築と柱の建築−アルベルティとロージエ−
 建築のオーダーと構法の関係、デザインと構造の関係について
 準備学習:第2回授業レジュメ、教科書コラム2、3を熟読し、該当する過去問を解く。
3. 『ガリア戦記』のパリ−国立中世(クリュニー)博物館の大浴場跡−
 +サン・ジェルマン・デ・プレのロマネスク建築
 +初期キリスト教建築
 古代末期から中世にかけての教会建築の形式と用語について
 準備学習:教科書第1、2章、コラム4を熟読し、該当する過去問を解く。
4. シテ島−十字軍の時代とゴシック建築の誕生−
 中世後期の教会建築の形式と用語について
 準備学習:教科書第3章を熟読し、該当する過去問を解く。
5. ヴァンセンヌの森−百年戦争と城塞建築−
 中世築城の形式と用語について
 準備学習:教科書第4章を熟読し、該当する過去問を解く。
6. ゴシックとルネサンスの融合−サントゥスターシュ聖堂−
 +ルネサンス建築の誕生
 近世前期イタリア・フランスの聖俗の建築のデザイン的特徴と用語について
 準備学習:教科書第5章、コラム5、6、7を熟読し、該当する過去問を解く。
7. ポン・ヌフ−王たちのルネサンス−
 近世前期フランスの世俗建築のデザイン的特徴と用語について
 準備学習:教科書第6章を熟読し、該当する過去問を解く。
8. フランス学士院−イタリア・バロックへのあこがれ−
 +ローマ・バロック
 近世後期イタリア・フランスの聖俗の建築のデザイン的特徴と用語について
 準備学習:教科書第7章、コラム8を熟読し、該当する過去問を解く。
9. ルーヴル−絶対王政の殿堂−
 近世後期の宮殿建築のデザイン的特徴と用語について
 準備学習:教科書第8章を熟読し、該当する過去問を解く。
10. 偉人たちの聖なる墓所パンテオン−啓蒙の世紀と新古典主義−
 +ロココ様式
 近世末期・近代初期の聖俗の建築のデザイン的特徴・構法・用語について
 準備学習:教科書第9章、コラム9を熟読し、該当する過去問を解く。
11. ラ・ヴィレットの関門−革命前夜の建築−
 +ナポレオン1世とエトワール凱旋門
 近代前期の聖俗の建築のデザイン的特徴と用語について
 準備学習:教科書第10章を熟読し、該当する過去問を解く。
12. パリのノートル・ダム大聖堂の修復−ゴシック建築の復活−
 過去の建築様式に基づく近代の建築のデザイン的特徴と用語について
 準備学習:教科書第11章を熟読し、該当する過去問を解く。
13. 旧オペラ座(現パレ・ガルニエ)−ナポレオン3世の都市計画−
 過去の建築様式に基づく近代の建築のデザイン的特徴と都市との関係について
 準備学習:教科書第12章を熟読し、該当する過去問を解く。
14. 学習内容の振り返り
 準備学習:定期試験で解けなかった問題の解き方を考えておく。

<成績評価方法>
 定期試験を実施し、それによって最終成績を評価する。2015年度以降の入学生については、定期試験によって達成目標1)〜3)の理解度が十分だと認められる者に単位を授けることとし、達成目標1)〜3)の適用・分析の能力の度合いに応じてグレードを決定する(定期試験の得点とグレードの関係については「定期試験情報」を参照)。2014年度以前の入学生については、定期試験の得点が60点以上の者に単位を授ける。

 なお、再履修生は所定のレポートを必ず提出しなければならない。このレポート提出が定期試験採点の前提であり、レポート未提出の者の定期試験答案は採点しない。レポート概要については「定期試験情報」を参照すること。

<教科書>
中島智章: 『図説 パリ 名建築でめぐる旅』、河出書房新社、2008年

<参考書>
日本建築学会編:『三訂版 西洋建築史図集』、彰国社、東京、1990年
鈴木博之編:『図説年表 西洋建築の様式』、彰国社、東京、1998年
グルッポ7:『図説 西洋建築史』、彰国社、東京、2005年
陣内秀信等著:『圖說西洋建築史』、蔡青雯訳、臉譜出版、台北、2009年(繁體中文)(上記書籍の繁体字・中国語訳)
中島智章:『図説 キリスト教会建築の歴史』、河出書房新社、2012年

<オフィスアワー>
時間:後期火曜日の17:25〜17:55
場所:新宿キャンパス高層棟26階2676号室
その他、簡単な質問は授業前後に教室でも受け付ける。

<学生へのメッセージ>
 学士の学位を持って建築に携わるものとして恥ずかしくない知識は得てほしいが、昔の人がどのように建築物を建てたのかを学ぶことにより、彼らの苦労を身近なものとして感じてくれると幸いである。

<備 考>
 授業に関する情報はキューポート経由(メール転送はしない設定)で行うので、随時、個人宛お知らせを確認すること。下記ウェブサイトでも知らせることがある。

<参考ホームページアドレス>
https://www.facebook.com/kogakuin.architectural.history


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