2016年度工学院大学 建築学部建築デザイン学科

建築保全学(Theory of Building Surveys)[5B16]

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2単位
小林 直弘 特任助教  
田中 淳 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
近年建築物は、地球環境に配慮したものであることが求められている。そのためには、建築物を良好な状態で維持管理し、その長寿命化を図ることが求められている。本授業では、そのために必要な基礎知識を習得することを目標とし、建築の保全の概念、建築の保全に関わる社会的動向や、関連する法規・資格等の諸制度、実務の概要について学ぶ。また、一般の建築保全の延長線上にあるものとして、歴史的建築物の保存修復をとらえ、その実務のために必要な基礎的な知識を学ぶ。

<受講にあたっての前提条件>
2年次必修科目全般の知識を前提とするが、特に2年次科目では建築法規、建築施工、建築構法、日本建築史と関係が深い。3年次科目では建築の安全、構造材料施工、内外装材料施工、ファシリティマネジメントと関係が深いので、あわせて履修することを希望する。

<具体的な到達目標>
建築を良好に保全していくための、基礎的な専門用語と考え方を習得する。また、建築保全と歴史的建築物の保存修復に関連する法規について、その目的と仕組みを理解する。授業で学んだ知識をもとに、建築の保全計画や調査診断等の基礎的な部分の作業を復習やレポートを通して実際に試み、その具体的な方法や考え方を習得する。

<授業計画及び準備学習>
1 授業の進め方、基本的な用語・実務
準備学習:身近にあるリフォーム、リニューアルされた建築物の実例を確認する
2 建築物のライフサイクル、保全の概念
準備学習:身近にある建築物の維持管理、改修等の保全の実態を確認する
3 建築物のマネジメント
準備学習:建築物の竣工後、建築物を管理するためにどのような行為が必要か考える
4 保全に関わる法規・資格
準備学習:建築物の保全に関わる法制度や資格を調べてみる
5 設計段階における保全(ライフサイクル設計)
準備学習:建築物の建設時に必要な費用と、竣工後に必要な費用を調べてみる
6 検収・引渡、計画的な管理
準備学習:建築物の管理に必要な費用を軽減するための方法を考える
7 診断・改修・情報処理
準備学習:身近にある建物の破損を見つけ、その原因と対処方法を考える
8 保全に関連する近年の動向−不動産取引・PFI事業
準備学習:国土交通省等の行政機関が示している保全に関するデータを集める
9 地球環境と維持保全
準備学習:ビルで使われるエネルギーや建設時に出る廃材とその処分法を調べる
10 維持管理・保全の優れた事例
準備学習:前年度にBELCAで表彰されたビルの実例とその理由を確認する
11 学習成果の確認(レポート課題作成)
準備学習:維持管理・保全の優れたビルの事例を調べ、これまでの学習成果を復習する
12 歴史的建築物・地区の保全
準備学習:日本建築史で学んだ歴史的建築物保存の授業の内容を復習する
13 歴史的建築物・地区に関わる法規・資格
準備学習:文化財保護法、景観法、歴史まちづくり法について調べる
14 歴史的建築物・地区の保全実例
準備学習:具体的に保存されている歴史的建築物や地区について調べる
15 学習成果の確認(レポート課題作成)
準備学習:歴史的建築物又は歴史的地区の事例を調べ、これまでの学習成果を復習する

<成績評価方法>
2回のレポート課題作成(ともに100点満点)で、平均60点以上の成績をおさめた者に単位を認める。レポートの課題及びその留意点については、授業中に説明するが、建築保全、歴史的建築物の保存修復でそれぞれ1課題(各課題ごとに複数の提出物をもとめる場合あり)とする。

<教科書>
建物のライフサイクルと維持保全−地球環境世紀のビル保全学入門−(第3版),BELCA(公益社団法人ロングライフビル推進協会)

<参考書>
新建築学大系50 歴史的建造物の保存,伊藤延男他、彰国社

<オフィスアワー>
水曜日12:00〜13:00/面談希望者は事前にメールで連絡すること

<学生へのメッセージ>
新学部の授業として開講された授業のため、試行錯誤しながら進める形になるが、ご容赦いただきたい。


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